デイトナ "らしさ" といえばザクザク白亜のライムストーン・トラック?
WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。全米ダートトラック選手権開幕戦は、1954〜2009年までの実に半世紀以上、 "フットボール場" で行われてきました。フットボール専用スタジアムに白砂を運び込んで・・・と日本ではこれまで紹介されてきましたが、いずれも2輪 / 4輪ダートオーバルレースでの運用を折り込んだ特別な設計です。
そんなかつてのデイトナ・ショートトラックといえば、マシンもレザースも真っ白に汚れる石灰質がその特徴でしたが、これは期間限定で運用されるトラックの路面をレース使用に耐えうる、保水され締め固められた状態を保つ、化学的にも正しい合理的な選択です (石灰安定化処理、といいます) 。
さて、そんなデイトナ開幕戦の舞台となってきたレーストラックには、第二次世界大戦後から現代まで、時代ごとに4つの会場が使われてきました。
Welch Memorial Stadium (1954〜1988)
フットボールと2輪ダートトラックレースの完全共用を狙って建設された初代デイトナ・スタジアム。スタンド収容人数5,000席とフットボールのビッグゲームにおいても充分でないこと、水捌けの悪さに難があることから、新会場に役目を譲り、隣接するデイトナ州立大学の学生用駐車場を拡張するため取り壊されました。現在跡地はサッカーグラウンドに姿を変え、往時の面影はありません。
Daytona Beach Municipal Stadium / Larry Kelly Field (1989〜2009)
元デイトナビーチ市長の名を冠した1万人収容の2代目スタジアムは、より安全な2輪レース開催のため、初代より長いストレートと広いランオフスペースを設けた多目的グラウンド。毎春のバイクウィークでのフラットトラックと、年に数戦のスピードウェイ競技で30年間使用されました。カレッジフットボールの高い人気と、1994年アメリカ開催のサッカーW杯からの影響で、全面人工芝への改良工事を行うため、2009年を最後に2輪レースの開催を終了。トップ画像は近年のこの施設の模様。
Daytona International Speedway 1 (2010〜2016)
2009年の開幕戦後、スタジアムの人工芝化で翌年はレース使用が叶わないことが判明し、秋から造成が始まった第三の会場は、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイの著名なターン1バンクの外側にある常設トラックです。
先代スタジアムからトラック表土を剥ぎ取って運び込んだスリッパリーなライムストーン (石灰石) の土質は、伝統的なデイトナ・ショートトラックらしさを演出しますが、急ピッチで進められた路面下地の工事が不十分で大変荒れやすい "ラフトラック" と評するライダーも多く、また常設観客席がないため動員数が限られることから、短い期間で次のステージにその役目を譲ることとなりました。
Daytona International Speedway 2 TT (2017〜)
2016年までのGNC = グランドナショナルチャンピオンシップから、AFT = アメリカンフラットトラックへとそのシリーズ名を変えた全米プロ選手権は、前年まで単気筒450ccで行われてきたショートトラックとTT戦も、マイル / ハーフマイルと同じく大排気量の2気筒マシンでの戦いへとフォーマットが変更されます。
さらにこれまで慣例的に2日連続のショートトラック2戦 (Wヘッダー) で行われてきたデイトナ開幕戦は、NASCARで使用するスーパースピードウェイのランオフエリアを使った一発勝負のTT戦へと、ガラっとその様相を変えることに。昨年とその前年の当コラム記事は以下からご覧ください。
といった感じで春のシーズンインはもうすぐそこ。なのですが、実は気になる新たなAFTのルール変更?もあったりするようで本国の関係者たちはこの冬激しく議論を戦わせているような気配。こちらの詳報はまた改めて当コラムでご紹介します。
ではまた金曜の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!