先週3月15日(木)にいよいよ開幕した2018全米ダートトラック選手権。1950年代以降、長きに渡りGNC: Grand National Championshipと言うタイトルで親しまれていましたが、昨シーズン2017年より "AFT: American Flat Track" シリーズへと名称変更。トップカテゴリーAFTツインズは4ストローク2気筒、サポートクラスAFTシングルスは単気筒450ccモトクロッサーをベースにした"DTX"でそれぞれ全戦が争われます。本日 "写真でRECAP (Recapture)" = リポートする開幕戦"デイトナTT"は、ハイバンクで有名なデイトナインターナショナルスピードウェイのインフィールド芝生エリアに造成された特設トラック、しかもフロントブレーキ装着・右ターンとジャンプありのTT戦。昨シーズン破竹の大活躍を見せたインディアン・ファクトリーチーム "Wrecking Crew" と、栄光のXR750に変わる新たな水冷750ccレーサー・XG750Rを採用したハーレーダビッドソン・ファクトリーチームの対決の行方や如何に?

"BIGGER, BETTER, FASTER"。さらに高速化するニューTTレイアウト。

画像: 2018 DAYTONA TT Track Preview - American Flat Track youtu.be

2018 DAYTONA TT Track Preview - American Flat Track

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2018開幕戦のトラックレイアウトについて語る、AFTコンペティションマネジャーのクリス・カー (GNC全米チャンピオンを7回獲得した名ライダー) と、昨年2017のAFTツインズ王者ジャレッド・ミーズ。21世紀初のTT形式での開催で、安全マージンをたっぷり確保したストップ & ゴーのトラックレイアウトが、ライダーからも観客からも不評だった昨シーズン開幕戦の反省を踏まえ、"BIGGER, BETTER, FASTER"をコンセプトに大幅な見直しを図るとプロジェクトを解説。特設トラックが造成されることになるインフィールド芝生エリアの広さが確認できます。

画像: MXレジェンド: リッキー・カーマイケルによってデザインされた2018スーパークロスのトラックレイアウト。トライオーバルのインフィールド芝生エリアに660トンのダートを運び込み、3月10日夜に行われたこのレースからわずか5日後、まったく同じ場所を完全にフラットに再整備してAFT開幕戦 "デイトナTT" が開催された。 racerxonline.com

MXレジェンド: リッキー・カーマイケルによってデザインされた2018スーパークロスのトラックレイアウト。トライオーバルのインフィールド芝生エリアに660トンのダートを運び込み、3月10日夜に行われたこのレースからわずか5日後、まったく同じ場所を完全にフラットに再整備してAFT開幕戦 "デイトナTT" が開催された。

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多くのプライベーターが新たにインディアンFTR750をチョイス!

昨シーズンのAFTは、60年以上ぶりに復活した "インディアン・ファクトリーチーム" が、前年王者ブライアン・スミス + ジャレッド・ミーズ + ブラッド・ベイカーのいずれも全米チャンピオン経験者3人組を擁して文字通り大暴れ。シリーズ18戦中14勝・表彰台独占6回の成績でハーレーダビッドソン勢を完膚なきまでに叩きのめしました。

その影響から2018開幕戦では、高いパフォーマンスが期待できるインディアンFTR750を選択するプライベーターが急増。エントリー37台のうちFTR750が9台、カワサキER650(米国名: ニンジャ650 / 日本名: ER-6)が19台、ヤマハFZ-07(日本名: MT-07)が5台、ホンダRS750Dが1台、そして昨年デビューもインディアンと明暗を分け、大苦戦を強いられたハーレーXG750Rは、ファクトリーチームの3台のみという内訳になっています。

画像: トップカテゴリーAFTツインズの決勝25LAPSスタートシーン。スーパースピードウェイ・トライオーバル中央のフィニッシュライン付近が本戦でもスタート/フィニッシュラインとなる。先週の当コラムで解説した、オーバルトラック走法の基本原則を飛び越えて "フロントブレーキとシフトチェンジがなければ曲がりきれない" ターン1を目がけて、6台 x3列でスタートした18台が一斉に加速する。 www.americanflattrack.com

トップカテゴリーAFTツインズの決勝25LAPSスタートシーン。スーパースピードウェイ・トライオーバル中央のフィニッシュライン付近が本戦でもスタート/フィニッシュラインとなる。先週の当コラムで解説した、オーバルトラック走法の基本原則を飛び越えて "フロントブレーキとシフトチェンジがなければ曲がりきれない" ターン1を目がけて、6台 x3列でスタートした18台が一斉に加速する。

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時速60マイル+で飛び出す、実はテクニカルなジャンプセクション!

画像: 長いホームストレッチエンドでのハードブレーキングから左回りのコンパクトなターン1を抜けると、TTレイアウトならではのジャンプセクションが現れる。高低差は約1.8mとさほどでもないが、サスペンションストロークの短いダートトラッカーを時速100km以上の速度でジャンプさせ、マシンにダメージを与えないよう丁寧に着地→さらに加速させ続けるには、想像以上にデリケートなライディングスキルが要求される。 www.americanflattrack.com

長いホームストレッチエンドでのハードブレーキングから左回りのコンパクトなターン1を抜けると、TTレイアウトならではのジャンプセクションが現れる。高低差は約1.8mとさほどでもないが、サスペンションストロークの短いダートトラッカーを時速100km以上の速度でジャンプさせ、マシンにダメージを与えないよう丁寧に着地→さらに加速させ続けるには、想像以上にデリケートなライディングスキルが要求される。

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ジャンプのあとはライトハンダー = 右ターン!

画像: ジャンプ着地からの右ターン "ライトハンダー" への進入シーン。伝統的なTTレイアウトの特長として、ジャンプ後すぐに右ターンが設置されることが多い。今回のトラックレイアウトでは、さらにその後に控える右→左の切り返し "シケイン" に向けた、より効率的なライン取りのため、ほとんどのライダーが深い寝かし込みを避け、前後ブレーキを長めに使って前後タイヤを押しつぶし、最大限トラクションを維持している様子が分かる。鉄スリッパ: ホットシューを履かない右足ブーツの接地時間は最少限に抑えるのがTTの基本フォーム。 www.americanflattrack.com

ジャンプ着地からの右ターン "ライトハンダー" への進入シーン。伝統的なTTレイアウトの特長として、ジャンプ後すぐに右ターンが設置されることが多い。今回のトラックレイアウトでは、さらにその後に控える右→左の切り返し "シケイン" に向けた、より効率的なライン取りのため、ほとんどのライダーが深い寝かし込みを避け、前後ブレーキを長めに使って前後タイヤを押しつぶし、最大限トラクションを維持している様子が分かる。鉄スリッパ: ホットシューを履かない右足ブーツの接地時間は最少限に抑えるのがTTの基本フォーム。

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ライトハンダーからクイックな左への切り返し。100馬力のマシンを振り回せ!

画像: "ライトハンダー" から "シケイン" にかけてのバックショット。今期インディアンFTR750を選択した27ロバート・ピアソンは、右ターン手前での減速 ~ 向き変え ~ スロットルONのタイミングが遅れたため、まだ完全な加速態勢に移ることができていない。対して後方の10ジョニー・ルイス (カワサキER650) は、右手首のスロットル開度・フロントタイヤが数センチ浮き上がっていることから、すでにこの地点で横滑りするリアタイヤにトラクションをかけて加速を始め、前を走るピアソンを激しく追撃する様子が見て取れる。 www.americanflattrack.com

"ライトハンダー" から "シケイン" にかけてのバックショット。今期インディアンFTR750を選択した27ロバート・ピアソンは、右ターン手前での減速 ~ 向き変え ~ スロットルONのタイミングが遅れたため、まだ完全な加速態勢に移ることができていない。対して後方の10ジョニー・ルイス (カワサキER650) は、右手首のスロットル開度・フロントタイヤが数センチ浮き上がっていることから、すでにこの地点で横滑りするリアタイヤにトラクションをかけて加速を始め、前を走るピアソンを激しく追撃する様子が見て取れる。

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ここで今回上位入賞の各メイカー製マシンをご紹介しましょう!

画像: 昨年のAFTツインズ王者ジャレッド・ミーズの駆るインディアンFTR750。B.スミス、B.ベイカーと同デザインのマシン・レザースーツを纏うが、純ファクトリー体制の2人に対し、かつてクリス・カーのチューナーだったケニー・トルバートと組み、小回りの効く "サテライトチーム" 枠で独自のチューニングを進化させている。 www.americanflattrack.com

昨年のAFTツインズ王者ジャレッド・ミーズの駆るインディアンFTR750。B.スミス、B.ベイカーと同デザインのマシン・レザースーツを纏うが、純ファクトリー体制の2人に対し、かつてクリス・カーのチューナーだったケニー・トルバートと組み、小回りの効く "サテライトチーム" 枠で独自のチューニングを進化させている。

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画像: スペイン・バルセロナで毎年冬に開催される "スーパープレスティジオダートトラック" の前回覇者、J.D.ビーチのヤマハFZ-07 (日本名MT-07) 。エンジンユニット全体をストレスメンバーとしながら、ステムヘッド周りとスイングアームピボット付近に特に剛性をもたせ、ダートトラック専用マシンとしての基本概念を正しく押さえた、極めてスマートな車体構成。 www.americanflattrack.com

スペイン・バルセロナで毎年冬に開催される "スーパープレスティジオダートトラック" の前回覇者、J.D.ビーチのヤマハFZ-07 (日本名MT-07) 。エンジンユニット全体をストレスメンバーとしながら、ステムヘッド周りとスイングアームピボット付近に特に剛性をもたせ、ダートトラック専用マシンとしての基本概念を正しく押さえた、極めてスマートな車体構成。

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画像: 自他ともに認める "TTマイスター" ヘンリー・ワイルスの乗るカワサキER650。幼い頃からMXライダーとして育ったワイルスの好みか、前後サスペンションとスイングアームには450ccモトクロッサーからの流用パーツを使用。昨年の同大会では、振り回し易さを重視して外装・シートまでモトクロススタイルだったが、トラックの高速化に対応してこちらの伝統的なスタイルに "進化" させている。 www.americanflattrack.com

自他ともに認める "TTマイスター" ヘンリー・ワイルスの乗るカワサキER650。幼い頃からMXライダーとして育ったワイルスの好みか、前後サスペンションとスイングアームには450ccモトクロッサーからの流用パーツを使用。昨年の同大会では、振り回し易さを重視して外装・シートまでモトクロススタイルだったが、トラックの高速化に対応してこちらの伝統的なスタイルに "進化" させている。

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画像: 69号車はサミー・ハルバートのファクトリーハーレーダビッドソンXG750R。型式とエンジン外観こそ同社の公道市販車 "ストリート750" だが、"R = Racing" の名に相応しく実際はヴァンス&ハインズ製・アルミニウム削り出しのレース専用エンジンを搭載。デビューイヤーの昨年は決勝に残ることすら難しい状況だったが、3人のファクトリーライダーのうち2人を入れ替え、新たに開発したDOHCシリンダーヘッドを採用してインディアンの一人勝ちを全力で阻止する構え。 www.americanflattrack.com

69号車はサミー・ハルバートのファクトリーハーレーダビッドソンXG750R。型式とエンジン外観こそ同社の公道市販車 "ストリート750" だが、"R = Racing" の名に相応しく実際はヴァンス&ハインズ製・アルミニウム削り出しのレース専用エンジンを搭載。デビューイヤーの昨年は決勝に残ることすら難しい状況だったが、3人のファクトリーライダーのうち2人を入れ替え、新たに開発したDOHCシリンダーヘッドを採用してインディアンの一人勝ちを全力で阻止する構え。

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本戦一番の大クラッシュ!ジャンプ着地でスイングアーム折れてますけど・・・!?

画像1: Photo by: Stephen Tripp Photography

Photo by: Stephen Tripp Photography

6周で争われたヒートレース3組目・時速100キロ以上で飛び出したジャンプ着地の瞬間に、レースナンバー80: スティーヴィー・ボンジーのカワサキER650のスイングアームが真ん中から破断!ライダーOK、幸い大事には至りませんでしたが、サスペンションストロークの短いダートトラックマシンにとって、TTジャンプ着地は最も負荷のかかるセクションです。過去のGNC単気筒戦ではジャレッド・ミーズの駆るホンダCRF450Rのフロントアクスル (車軸) が同じく着地で破断したことも。昨年からトップカテゴリーとしてスタートしたAFTツインズ、車重がある2気筒マシンにはさらに厳しい条件です。

画像2: Photo by: Stephen Tripp Photography

Photo by: Stephen Tripp Photography

ダートトラック専用マシンで昔から一般的な1インチ x 2インチ角のクロモリ製スイングアーム。ボンジー車で採用された、しなりによるトラクション性能を優先した補強のないデザインと、80年代のアメリカンホンダRS750Dスタイルのユニットリンクで組み上げられた車体は、時速100キロ以上 + 車重150kg超での着地には耐えられなかったようです。

開幕戦ウィナーはやっぱりインディアン。ジャレッド・ミーズが昨年に続いてデイトナTTで2連勝!

画像: 本戦デイトナTTのグランドマーシャルは左から3人目、元ダートトラッカーでもあるフレディ・スペンサー氏。 www.americanflattrack.com

本戦デイトナTTのグランドマーシャルは左から3人目、元ダートトラッカーでもあるフレディ・スペンサー氏。

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蓋を開ければ18台による25周の決勝レース、ウィナーは昨年のデイトナTTでも勝利したジャレッド・ミーズ (インディアン) 。2位にJ.D.ビーチ (ヤマハ) 、3位ヘンリー・ワイルス (カワサキ) と3メイカーそれぞれのマシンを駆るライダーが表彰台を獲得しました。インディアン・ファクトリーチームの残る2人も決勝5位・9位とまあまあ好調な滑り出し。それに引き換えハーレーダビッドソンXG750Rは、ファクトリーチーム3人ともなんとか決勝レースには残れたものの、11位・12位・16位とまだまだ低迷が続いています。栄光の名車XR750を超える日は、はたしてやってくるのでしょうか・・・?

サポートクラスのAFTシングルスでは名チューナーのアドヴァイスを生かした若手が勝利!

画像1: www.americanflattrack.com
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450ccモトクロッサーをベースにしたDTXマシンで競われるAFTシングルス決勝レースは、2度の赤旗中断が入る乱戦となりました。元々ダートトラック出身で、現在はロードレースに活動の中心を移しているジェイク・ルイスやジェームズ・リスポリ、最近スタートしたスペイン・ダートトラック選手権の上位選手なども参加する中、ダートトラック専業のダン・ブロムリー(KTM)が経験豊富な名チューナー、ビル・ワーナーによるバックアップを受け優勝しました。

画像: 2018 Daytona TT American Flat Track Singles Class youtu.be

2018 Daytona TT American Flat Track Singles Class

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本戦で一番の不満はメインフラッガー (チェッカーフラッグマン) が派手なコスチュームのわりにイマイチのアクションだったこと!ライダーとレースクルーとが共に作りあげるショウの一部なのですから、もう少し芝居がかった所作の工夫があってもいいような気が・・・。筆者の主宰する、ダートトラックレースシリーズ "FEVHOTS" では、そのあたりも追求していきたいと常に考えています!

続く全米選手権第2戦は4/7アトランタ・ショートトラック。その前週4/1(日)は埼玉県川越オフロードヴィレッジで、当方主催のFEVHOTSが2018開幕戦を迎えます!

ということで最後に宣伝です!わたくしハヤシが主宰する自称 "日本で最も刺激的なダートトラックレースシリーズ" = FEVHOTS: Far East Vintage Hotshoe Seriesは来たる4月1日(日)、埼玉県川越市のオフロードヴィレッジ・200m常設オーバルトラックにていよいよ6シーズン目の2018開幕戦を迎えます。次週金曜日の "Flat Track Friday!!" では、もうすでに4回も長文連載させていただいてますが、改めて自己紹介を兼ねて、我々のFEVHOTSについて様々にご案内しようかと考えております。ご興味お持ちいただけましたらぜひ、レース会場へも足をお運びください!WELCOME RACE FANS!!

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