流行って消費され、疲弊して衰退してやがて忘れ去られる盛者必衰よりは?
WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。レースプロモーター・・・とは名ばかり?で、例の世界的な流行りものの病禍が始まって以降、本年に至るまで数シーズン、レース主催をお休みしてるんですが。それというのはもちろん当初は感染防止の観点からの対応だったんですけど、収束がなんとなく見えてきてからは、自分たちがここまで作ってきたものを、スクラップ&リビルド (いったん解体して再構成・リセット) したいなぁとマジメに考えているからなのです。
他ジャンル (2輪とかモータースポーツとかに限らず) の世界で、ある時期に爆発的に流行るものの中で、そのまま "定番" だったり地に足のついた "文化" になっていくものってごくごく限られていると思うんですけど、急激に皆が大注目したり人口がどっと増えたものって、むしろ飽きられたり萎んだり忘れ去られちゃったりするのも光の速さだったり・・・しません?
もし仮に、そうですね今度の春先までに、鉄スリッパーを履いてダートトラックライディングを嗜む人口が現状から "倍増" するとしましょう。週末ごとに各地のトラックは大混雑・・・出たり入ったりいつでもできる、所謂フリー走行が同時にできる台数なんてオーバルトラックではタカが知れています。このスポーツならではのマナー (トラックへの入退場・転倒回避のプロトコルとか) やらルール (もしかしたら左回りが基本、と知らないまま走り出す人がいるかも、とか?) 、必須の装備品とか徐々に身に付くはずの専門的な知識をもたない人たちがいきなりドっと増えたとしたら・・・結構大変なことになりそうです。
それでいてレース・・・本来トラック競技なのだからその1つのゴール (あるいは真の意味でのスタートライン) は "よーいドン" であるはずなんですけど・・・に参加する人口はなかなかどうしてそう簡単には倍にはならない、と筆者は予感します。そこがまたイチバン困ったことなんですよ。
筆者が主宰するレースシリーズ "FEVHOTS" が休止中のここ数年、他団体のシリーズへのエントリー台数がやたらと増えた、という話も特に聞きませんし、とりあえず鉄スリッパー持ってます・履いてます・ぐるぐる楽しく乗ってます、みたいな層・・・"ライディングを楽しむ = 鉄スリッパー人口" がどんなに増えたとしても、なんというかこう・・・ガチンコレースに参加するところまでたどり着いていただかないことには、このスポーツの面白さ、深みとか厚みは、その半分くらいしか肌感覚として得られないと思うんですよねぇ。残念ながら。
陸上競技で例えるのが果たして適切かわかりませんが、"ランニング" は好きなときに走り出せばたった1人で成立しますけど、"〜m走" とか42.195kmをソロで走る種目とかは、よーいドンする大会に参加しないと "やってます!" とは多分おっきな声では言えないじゃないですか。だから皆さん、各々覚悟がきまって機が熟したら、ぜひともちゃんとしたダートトラックレースに出ましょう。ハヤシが言っていた血湧き肉踊る感じとはこのことか、とゾクゾクするはずです。FEVHOTSも来春あたりからボチボチ再開、いやリスタートします。前よりきっとよい形、さらにハードコアーでごりごりスポーティーな形態?収益化とかメジャーとかは最早 (いや最初から気にしてませんけど) どうでもいいから、こじんまりした芯食った本質的で濃密な集い、ができたらなぁ、いややるしかないなぁ、と考えているところです。まずはそこから、なんじゃないでしょうか。
ハウツー教室とか物売りとか、当分いいやって感じもしたりしなかったり?
今を去ること2011年、栃木県はツインリンクもてぎ (現モビリティリゾートもてぎ) で開催されていたMFJ公認?承認?ダートトラックレースシリーズが開催地都合で終了して以降、スッパリ足を洗って鉄スリッパーを脱いだ選手も大勢いたんです。筆者ハヤシは個人的な新レースシリーズ FEVHOTS: Far East Vintage Hotshoe Series を立ち上げる上で、新たな参加ライダーを募るべく、本場アメリカから特殊なレーシングパーツを個人輸入して紹介したり、全くの未経験者に鉄スリッパーの履き方から走り方、決勝には残れずとも安全にレースに参加し、できれば五体満足で家まで帰っていただけるよう、ライディングスクールとかプライベートレッスンなどに精を出した時期もありました。
今にして思えば・・・あらゆる面でちょっと手厚くやり過ぎた、ように思います。無心でライディングに取り組み全てを吸収しようとするチョー真面目な生徒さんたちは、ちょっと表現が難しいんですけどやっぱりどこまでもひたすらに受け身だし、次に何をすべきか、どう走りどのレースにどんなマシンで参加するか、といった全ての決断が、どうしてもスローになりがち。センセイ待ちっていうんでしょうかね。コッチが振り返ってついて来てるか確認しても、その方の姿ははるか彼方・・・ (たとえ話ですよ) といったフラストレーションは常にありました。
勝ちたい!と強く念じ、実際その目的に向かって様々な事柄をセルフマネジメントできるライダーって、所謂ライディングスクールからは残念ながらなかなか育たないのかも。本末転倒なんですけど。
あるいは例えばこのようなレーシングパーツ、フロントフォーク・プロテクター。前走者からのルースト (飛び石や砂塵) からインナーチューブを防護するダートトラックレーシングらしい雰囲気満点のアイテムですが、本場アメリカのレース会場・パーツサプライヤーからはPP = ポリプロピレン製 (オフロードバイクのメイカー純正外装パーツの素材) で作られたものが45ドルくらいで購入することができます。日本人の感覚では小ロットの生産というとFRPとかアルミ細工とかってことにすぐなりがちですけど、彼らにしてみりゃココは弾性のあるチープなPP製が最適解、なんですね。なにしろ競争用品ですから。
で、これがまぁ日本に持ってきてビジネスベースで市場に出ますと、送料とか手間賃とかアレとかアレで、驚くことに片側1万円くらいに化けちゃいます (当然ながら左右ペアでないと機能的に意味ないです) 。雰囲気作りを含めてこのスポーツの普及を計る上では果たしてそれで良いのかしら?という。本場で流通する完成されたパッケージを持ってくるのですから当然値が張るのは仕方が無いにせよ、これから始めようという新顔さんからガッツリ頂くのもねぇ。筆者とて損してまで広める気はないですが、ちょっとなんとかならんのか。一番良いのは熱意ある個人が自分自身でインターネッツで探してホンモノを見つけてくることですよ。今のご時世スマホをコスればだいたいのモノは現地から直接手に入るでしょう?
というわけで、来たるリスタートに際しては、あんまり優しくやらない、ことにしようと思います。我々20年選手だって最初のトバグチはスクールだったり走行会だったりしましたけど、あとは自分らでなんとか考えて進んできたわけです。情報に溢れる現代、皆さんにできないはずはありません。カッコよく速くなりたけりゃ他人に頼らずハングリーであれ!ワイワイやるのも楽しいですけどね、勝った負けたが絡んで雰囲気ピリついてくるのも楽しいですよ。シンプルな分、その域をチラ見して体感するのは比較的容易いかも、しれません。だからアメリカン達のグラスルーツなのかも、ね。
デトックスついでに記念すべき?第1回目のコラムはこんな書き出しでした
こちらに記した10の秘密、まだ全くご存じない方も世の中きっとおられるでしょうね。
だとすると未だ可能性は無限大、ということですかね。
紹介はするけど押し売りも安売りもしない、実際門を叩くまではやたら間口の狭い (ように見える) まるで会員制バーみたいな?虎穴に、勇気を出して首を突っ込んでみるなどいかがでしょうか。
貴殿の挑戦を待つ。
ではまた次週、金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!