今回から始まる新企画「Flat Track Friday!!」は、毎週金曜日更新で日本と世界のフラットトラックシーンの情報を、ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーター・ハヤシがお届けします。我が国ではフラットトラック<ダートトラックの呼び名がポピュラーなので、コラム本文はそちらで統一しますね。記念すべき第一回は、「あなたのきっと知らないダートトラック10の秘密」です。

シンプルだけど、奥が深い・・・それがダートトラックの魅力!

1.使用するコースは左回りのオーバルトラック!

ダートトラックはモーターサイクルを使ってシンプルなルールで競われるオーバル種目。だが他のモータースポーツと比較して、技術を身につけるまでの道のりが特別簡単なわけではない。

2.フロントブレーキはありません !!

ダートトラックではマシンに前ブレーキがなく、基本的な走法としては後ブレーキも使わず走れる。だが競技中のライダーは、実は前後輪を駆使しながら、車両に備わったメカニカルなブレーキシステムにほぼ頼ることなく、"物理的フルブレーキング"を行っている。

画像: 本稿執筆者ハヤシのターン進入。画面右側から滑り込んできた車体を深くバンクさせ、前後両輪のサイドエッジを使って路面との抵抗を増やし "物理的フルブレーキング→旋回" している状態。このシーンでは一般的なダートトラックイメージと違いカウンターステアは当てず、リアブレーキペダルに足は触れていない。ちなみにスロットル開度はまだ全閉ではない。撮影地: 旧オートパーククワ180mオーバル(現在改装工事中) / 撮影: 中尾省吾

本稿執筆者ハヤシのターン進入。画面右側から滑り込んできた車体を深くバンクさせ、前後両輪のサイドエッジを使って路面との抵抗を増やし "物理的フルブレーキング→旋回" している状態。このシーンでは一般的なダートトラックイメージと違いカウンターステアは当てず、リアブレーキペダルに足は触れていない。ちなみにスロットル開度はまだ全閉ではない。撮影地: 旧オートパーククワ180mオーバル(現在改装工事中) / 撮影: 中尾省吾

3.コースの長さと、その特徴はさまざま!!

ダートトラックのレースには1周10秒足らずの世界と、トップスピード200km/hオーバーの世界がどちらも存在する。短距離トラックにはまさに格闘技のような荒々しさがあり、超高速トラックには数センチ単位でのラインを毎周奪い合う緻密な戦略・レース運びの妙があるが、どちらのテクニックの奥深さも甲乙つけがたく、技術的な難易度は必ずしもトラックの大きさや速度域とは一致しない。

4.ダートトラックの必需品・・・それは"ホットシュー" !

ダートトラックのライダーの装備には、ロードサーキットやモトクロスコースを走るのと同等な各種プロテクションアイテムに加え、上達と安全のため絶対に身につけるべき必需品"鉄スリッパー=ホットシュー"がある。レーシングブーツに合わせて一点ずつ手作りされるそれは、あまり安くない。

画像: 左側レーシングブーツに合わせてステンレスや鋼材で作られた鉄スリッパー = ホットシュー。爪先にはトウガードがつきDリングベルトでブーツに固定する。足底接地面は路面との摩擦で激しく摩耗するため、鋼材よりはるかに硬度が高く、接地させても滑りやすい合金を肉盛り溶接し、減り具合に応じて補修を重ねながら使用する。火花によるマシンへの着火誘爆を避けるため、チタニウム製は使用不可。撮影: 山田晃生(FEVHOTS90)

左側レーシングブーツに合わせてステンレスや鋼材で作られた鉄スリッパー = ホットシュー。爪先にはトウガードがつきDリングベルトでブーツに固定する。足底接地面は路面との摩擦で激しく摩耗するため、鋼材よりはるかに硬度が高く、接地させても滑りやすい合金を肉盛り溶接し、減り具合に応じて補修を重ねながら使用する。火花によるマシンへの着火誘爆を避けるため、チタニウム製は使用不可。撮影: 山田晃生(FEVHOTS90)

5.他のモータースポーツのトレーニングに有効・・・と聞くけれど・・・?

ダートトラックを"単独で・転ばず走れる程度のスキルとテクニック"は、ハイスピードの"ロードレース"や走破力の問われる"オフロードレース"には実はあまり役に立たない。かもしれない。

次回からは、これら各項目について、細かくご説明いたします!

6.ダートトラック専用マシンは、「ライダー自身」で仕上げる!

ダートトラックのマシンとしてそのまま使える一般市販のモーターサイクルは世の中にほとんど存在しない。競技の特性・ライダーの好みに合わせて、ベースとして選んだ車両をビルドアップ=最適化することが、"道具を使うスポーツ"であるダートトラックにおいて、回り道することなく短期間でより高いパフォーマンスを実現するとともに、リスク管理=安全面からもとても重要となる。

画像: 2016年の全米選手権で初のグランドナショナルチャンピオンを獲得した42ブライアン・スミスのカワサキER650。ライダーの要求を忠実に反映したオリジナルクロモリパイプフレーム・競技特性に合わせて高度なチューニングの施されたエンジン・タンクカバーやシートカウル、さらにはハンドルバー形状までも、スミス選手の体格とライディングスタイルに合わせてオールハンドメイドで仕立てられた、極めて完成度の高い1台。2016-08-20 撮影: 中尾省吾

2016年の全米選手権で初のグランドナショナルチャンピオンを獲得した42ブライアン・スミスのカワサキER650。ライダーの要求を忠実に反映したオリジナルクロモリパイプフレーム・競技特性に合わせて高度なチューニングの施されたエンジン・タンクカバーやシートカウル、さらにはハンドルバー形状までも、スミス選手の体格とライディングスタイルに合わせてオールハンドメイドで仕立てられた、極めて完成度の高い1台。2016-08-20 撮影: 中尾省吾

7.タイヤの径は前後同一サイズが基本です!

ダートトラックで使われる専用レーシングタイヤは前後同径の19インチ(小排気量のミニバイクでは前後17インチ)。このサイズが基準となり、オフロードバイクは前輪が21インチの大径タイヤに、オンロードバイクは前後17インチの小径タイヤに、目的に合わせて進化していったと言われている。

8.「雨」はダートトラックライダーとレースファンの「天敵」・・・?

ダートトラックはいつでも走れるわけではない。雨の日は中止だし、暑すぎる日・寒すぎる日は路面状況が安定せず満足なコンディションで爽快には走れないかもしれない。相応の知識と労力でもって"その場所の地面"が"競技に適した路面"と呼べるものになるまで、じっとバイクの横に座って待たなければならない場面がある。時には汗を流して土木作業を行い、自ら路面を作っていくことも。

画像: FEVHOTSレース開催日のトラック整備は豊富な経験を持つ専任クルーによって行われる。トラックごとの土質の特徴、当日の気温・湿度・日没予定時刻までをも加味し、撒水や平滑化を適宜繰り返すことで、クオリティの高い=安全な路面を決勝レースまでに参加者とともに作り上げていく。撮影: 齊藤淳一(Flattrack Express)

FEVHOTSレース開催日のトラック整備は豊富な経験を持つ専任クルーによって行われる。トラックごとの土質の特徴、当日の気温・湿度・日没予定時刻までをも加味し、撒水や平滑化を適宜繰り返すことで、クオリティの高い=安全な路面を決勝レースまでに参加者とともに作り上げていく。撮影: 齊藤淳一(Flattrack Express)

9.ビギナーはまず、ごく短距離のトラックからはじめよう!

ダートトラックの特に短距離のオーバルコースは、モーターサイクルを操り始めたばかりの年少者や初心者が、保護者や上級者の目の届く範囲で、エンジン付きの乗り物をシンプルに・リズミカルに・スマートに、全身を使ってコントロールする楽しさを体験するうえで最良のフィールドのひとつ。

10.日本でダートトラックの走りをマスターするには・・・?

ダートトラックを日本で体験するのならば、闇雲に独力で練習しようとするのではなく、各地のすでにあるコースに出向き、あなたを一人前のダートトラッカーへと育てる、正しい知識と熱意のある経験者から的確なアドバイスが得られる場に飛び込んでいくのがもっとも近道。その前にまず、このスポーツを見てみたいと思うのならば、すべてのライダーが明快なルールのもと、それぞれが他の誰よりも速く1位でゴールすることを目指し、全力全開で走行している"レースイベント"が最適。

画像: ダートトラックレースシリーズFEVHOTSにおける最大排気量カテゴリー"オープン DTクラス"のスタートシーン。モトクロッサーベースの"DTX"と専用フレーム車の"フレーマー"の両方が参加し、レースごとに手に汗握る超接近戦を繰り広げている。2017-12-23 撮影: 齊藤孝(FEVHOTS81)

ダートトラックレースシリーズFEVHOTSにおける最大排気量カテゴリー"オープン DTクラス"のスタートシーン。モトクロッサーベースの"DTX"と専用フレーム車の"フレーマー"の両方が参加し、レースごとに手に汗握る超接近戦を繰り広げている。2017-12-23 撮影: 齊藤孝(FEVHOTS81)

「Flat Track Friday!!」は毎週金曜日に更新! & FEVHOTS開幕戦のお知らせ

・・・ということで、毎週金曜日に更新予定の「Flat Track Friday!!」では、折々のホットトピックもからめながら、まずは基礎知識のお披露目ということで、ここにあげた10の秘密について順番に解説していきたいと思います。みなさんからのダートトラックに関する質問・素朴な疑問も受け付けますので、ドシドシご意見をお寄せください。

そして最後に宣伝です!わたくしハヤシが主宰する"日本で最も刺激的なダートトラックレースシリーズ" = FEVHOTS: Far East Vintage Hotshoe Seriesは来たる4月1日(日)、埼玉県川越市のオフロードヴィレッジ・200m常設オーバルトラックにていよいよ6シーズン目の2018開幕戦を迎えます。論より証拠?百聞は一見にしかず? ダートトラックに興味がある方は、ぜひ観戦に現地へ遊びにきてください!WELCOME RACE FANS!!

それではまた来週金曜日の"Flat Track Friday"でお会いしましょう!

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