経済性と"譲れないポジション"を両立させたい、奇妙なハイブリッドマシン
WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。現代的な樹脂製の外装を纏った最新モトクロス車ベースのDTXと、トラディショナルな鋼管パイプフレームを基本骨格とした古式ゆかしいフレーマー。それぞれの成り立ちと特徴については過去の当コラム (毎週更新で時すでに4年ちょっと前!) をご覧いただくことにしまして・・・
本日ご紹介するマシンは、平たく言えばDTX化されたモトクロスマシン・2006年式ホンダCRF450Rに、1970年代に一世を風靡したチャンピオン・レーシングフレームスタイルのシートカウルとクッションパッドを組み合わせた、一見前後がちぐはぐな車両です。
2つのスタイルからのハイブリッドと言えば簡単そうに聞こえるかもしれませんが、モトクロスレーサーの純正同様に取り外し式となっているシートレールは全くの新規製作。タンク上まで伸びるペラペラに薄いシートパッドもおそらくは玄人の手による一点物です。
スタイルというよりフィーリングの追求でこの形態が完成した・・のかな?
各所細部に目をやっても、旋回中の重心位置を大幅に下げるとともにエンジンの吹け上がり特性を最適化するショートタイプ・直管気味の排気ユニットであるとか、左右高さの異なる伝統的なラバー製フットステップ、その右ステップよりかなり低い位置にセットされたリアブレーキペダル、左右反転可能なクイックチェンジ式リアホイールなど、ダートトラック通の好む良質なディテール (モトクロスやスーパーモトのライダーにとっては逆に新鮮だったり?メイカーの設計技術者は絶句したり?) が随所に見られるなど、ダートトラックの定番的スタイルの重視というよりは実利を追求した合理的モディファイの一形態だと言えるでしょう。
うすーいシートパッドは長距離・長時間の使用にはもちろん向いていませんが、臀部から路面の微細な状況・グリップレベルを感じ、わずかな加重抜重でトラクションをコントロールし "Power to the Ground" を追求する、ダートトラックレーシングならではの形状と言えるでしょう。
なんだかじっと眺めているうちに、市販MX車やスタンダードなDTXよりどこか美しく見えてきました・・・?新車も中古車も450ccレーサー自体が品薄な昨今、絶対流行らないと思いますけど、これはこれでスタイリッシュかも。これぞ (チープに) 戦うマシンって感じ、ちょっとしますよね?
ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!