先週の当コラムで、筆者の持つ軽量級ダートトラックマシンを欲しい方いればお譲りしましょうか?とちっちゃく欄外に記したところ、数日間でフタケタ超の問い合わせをいただいてビックリ!というわけで本日は、このスポーツにこれから取り組む挑戦者へ向けた "最初のマシンとお金の話" です。

避けてもあんまり問題ない努力と労力の積み重ね、買って手に入りません?

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。筆者が初めて "ダートトラック走行のためだけのマシン" を手に入れたのは・・・なんと今から20年近く前? 学生さんが家人に内緒で新車を買って、いきなりダンプと喧嘩してみて本人怪我なし親激怒・全損扱いでネットオークションに流れたらしい、走行僅か800kmで3万円のホンダFTR223でした。

画像: さしたる見所もない我がFTR223の走行シーンですが、この長身のパイロットは当時GNC53だったプロライダーのゲイリー・ロジャース。2005年ごろツインリンクもてぎ200mトラックでの1コマ。ゲイリーはすでに引退しましたが、彼のお父上は現在も豪腕チームオーナーとしてGNC9ジャレッド・ミースとタッグを組んでいます。

さしたる見所もない我がFTR223の走行シーンですが、この長身のパイロットは当時GNC53だったプロライダーのゲイリー・ロジャース。2005年ごろツインリンクもてぎ200mトラックでの1コマ。ゲイリーはすでに引退しましたが、彼のお父上は現在も豪腕チームオーナーとしてGNC9ジャレッド・ミースとタッグを組んでいます。

真っ直ぐ走れないほど前輪回りがくちゃくちゃだったFTR、中古フォーク一式を手に入れて、
+1万円。

走り出したらハンドリングに欲が出て18インチから中古の19インチホイール (ブレーキ取付部のないレース専用品) に変更して、
+2万円。

元気よくリズミカルに走りたい20代の若者としては純正マフラーの音無しさに耐え切れず?定価7万円くらいのイカした歯切れのいい音と出力特性のフルエキゾーストを中古で譲り受けて、
+1万円。

レース出始めたらどうにも他と比べマシンの力不足を感じ、腹を括って社外キャブレター購入
+6万円。
・・・車両価格の倍だけに随分長く悩みましたけど。

エンジンはシリンダーヘッドを面研して高圧縮化 (ハイオクじゃないとぜんぜん走らない) ・ポート削ったりあれこれ。毎週1回片道150km下道走って練習行って、年に5戦くらいのレースのためにタイヤ数セット (1レースで片側使い切りのイメージ) 。レーススタートして一回きりしかないシフトチェンジ、よりカチっと確実なフィーリングを求めて様々なオイル銘柄と番手をテスト。

あるいはハンドルバー、エアフィルター数個、壊れたままでは走り続けられない様々な予備パーツ・・・筆者はそこまでしませんでしたけど、周りにはレース毎に状態の良い本番用エンジンに積み替えてくるヒトもいました。

画像: 避けてもあんまり問題ない努力と労力の積み重ね、買って手に入りません?

車両代金3万円で手に入ったのは本当にラッキーでしたが、こうして振り返るとコツコツ一丁前のレースバイクに仕立てるまでには、結構な試行錯誤と自分なりの正解を見出し結果が出るまでに、激しい散財があったような気もします。都合の悪い事は憶えてませんけど・・・。

レースに出る。そして勝つ。という目標を大勢が掲げる以上、このスポーツは運転手の努力や技術の向上だけで争われるわけではありません。道具を正しく整え刃を研ぎ澄ますことが競技の片輪です。

体力を持て余して時間と予算に融通の効く、例えば若い世代なら "寄り道・脇道・ちがう道" をひとつずつ探索しながらゆるゆると目的地へ向かうのも一興でしょうが、限られた条件で戦うことになる先輩気味のお年頃・遅咲き・センス少なめ? な皆さんは、努力と根性だけを信じて無理して頑張るだけでなく、全リソースを投入して最短ルートを選ぶのは恥ずかしくないし悪手でもないはずです。

どんな車種でもいいんだよ?とか申す諸先輩、結構手堅い選択してますよ。

様々なきっかけではじめて我が国のダートトラックコミュニティに足を踏み入れかけた "ビギナー予備軍" に、(おそらく定着してほしいがゆえ) 古株の連中はしばしば安易に優しくこう語りかけます。

"どんな車種でも走れるから、キミもやってみようよ!"

レーストラックで僕と握手!系のなかなか巧妙な誘い文句です。うまく乗せられた新人候補はうおおおおっと舞い上がってテンションぶち上がります。たしかに原付ビジネスバイクでも、1,000ccの多気筒ロードバイクでも、シンプル極まりない原理でオーバルトラックを周回することは "可能" です。ケツを流して逆ハン切って走ることそのものの分かりやすい快楽は、大なり小なり天井知らず。

で・も、ですよ。無責任発言であなたを誘い込んだ先輩諸兄、よくよく見るとあまり奇天烈な変わったマシンを選んで乗ってはいません。なぜなら勝つために遠回りとなる場合も多いから。

・チューニングの余地の少ない車種 (基本設計の善し悪しとか社外パーツの有無とか)
・完調で走れる状態を維持することが容易でない古い車種
・レースの現場で他者とノウハウを共有したりアイディアを参照したりできないマイナー車種

手持ちの車両でなんとかする、とか、誰も目を付けてない変わった車種を選ぶ、とか、長年現場で見る限り、あまり長続きするスタンスではないようです。結局は無駄な出費と大幅な遠回り。時間の空費。唯一、負けても言い訳しやすいのは確かなんですけどね。じゃあ全然ダメじゃん。

そこそこの技術と経験が身に付けば、ちょっと向いてない車両でも乗りづらいマシンでも、なんとか一応、シロウトの方が驚く程度には乗れちゃうものかと思うんですが、イコール誰にでも自信を持ってお勧めできる選択肢、とはならないはずです。グルグル過多の先輩たちはチョー鳥頭のコンサバなので? 駆け出しの頃の瑞々しい感覚なんてきっともう忘れちゃってますけど。

なお先週の当コラムでは売ってもいいかなと呟いた筆者の軽量級・ホンダCRF125F、つい数日前に本場アメリカにて、そこまでやるかぁ?みたいな悪魔的チューニングメニューを見つけてしまったのですよね・・・記事にもできるし、春を待つ間にとことんやってみる???目下大いに悩み中です。

ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

画像: どんな車種でもいいんだよ?とか申す諸先輩、結構手堅い選択してますよ。
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