ロレンス編集部
【1/100の映画評】過酷な環境にいる子供を見ると泣けてしまう・・『僕だけがいない街』
ふとした瞬間にどことなく”嫌な感じがする”。空気が変わり、時間が停止、いや逆に回り始める。それが合図だ。 主人公 藤沼悟(藤原竜也)は、売れない漫画家であり、ピザ屋のアルバイトで生計を立てていたが、時間が巻き戻される<リバイバル>という現象に悩まされていた。不吉な予感と言ってもいい。その感覚が訪れるのは、何か”よくないこと”が起きる前兆だ。悟はその”よくないこと”を未然に防ぐ努力を人知れずしていたのだが、すべての<リバイルバル>の遠因が、小学生時代に自分の同級生たちを巻き込んだ学童連続殺人事件にあると知る。 ©三部けい(KADOKAWA / 角川コミックス・エース)
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【1/100の映画評】この『ホビット 決戦のゆくえ』
苦手なファンタジー映画なのになぜか全て観ているw
ピーター・ジャクソン監督の『ホビット』シリーズ三部作の最終章。『ロード・オブ・ザ・リング』と同じ世界観・時間軸でつながるストーリーであり、具体的に言うと『ロード・オブ・ザ・リグ』シリーズの数十年前のエピソード、ということになる。
そして、『ホビット』シリーズにも闇の力を秘めた指輪と、魔法使いのガンダルフ、オーランド・ブルームの出世作と言えるエルフのレゴラスなどの『ロード・オブ・ザ・リング』の人気キャラクターたちは共通して出ている。
『ホビット』の前二作も、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ三部作も、一応全部観ているのだが、実はこの手のフ...
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【1/100の映画評】『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』。強引な展開と激しいアクションに素直にのめり込め。
本連載「1/100の映画評」とは、年間100本以上映画を観る(残念ながらそのほとんどはDVDでの鑑賞なのだが)僕の、個人的な映画評だ。
今回はこの夏の大作の一つ『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』について語る。
最近の大作映画に共通する「人工知能=AI」への恐怖がテーマ
「ターミネーター」もそうだし、昨年のジョニー・デップのSF映画「トランセンデンス」もそう。古くは「マトリックス」もそうだが、とにかくいま、ハリウッドでは人工知能が世界を滅ぼす元凶、というプロットが大流行している。
まあ、考えればそうだ。戦争をするのも人類、環境破壊をするのも人類、地球上の生態系を乱しているのも人類...
ロレンス編集部
【1/100の映画評】ピボットで経営再生を狙う若者たちの苦闘w『キンキーブーツ』
キンキーとは、Kinky。奇妙とか変態、といった意味だ。だから英語圏の人がKinki Kids と聞けば”変態兄弟”と聞こえるw
キンキーブーツとは、変態さんのブーツ、という意味になる。この場合はその通りの意味で、ドラッグクイーンが履く膝丈の長いブーツのことを指している。
ニッチマーケットにもほどがある、と誰もが思った決断
本作『キンキーブーツ』は、突然死した父親の後を継ぎ、倒産寸前の靴工場の経営再建を目指す若者が、起死回生の秘策として、ドラッグクイーン用のブーツを開発することを思い立つ、という作品だ。
片田舎の紳士靴工場プライス社は、大口の契約を打ち切られて瀕死の状態だ。不良在庫を抱え...
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【1/100の映画評】不朽の名作を原作の映画化は果たして?『寄生獣』(前編)
岩明均原作・山崎貴監督の映画『寄生獣』の前編、を観た。
僕は何を隠そう(隠したことはないが)原作の「寄生獣」の大ファンであり、コミックは全巻持っている。同作品だけではなく、岩明均先生の作品はだいたい持っていて、最近ではアレキサンダー大王の書記官の人生を描いた「ヒストリエ」にはまっている。
その意味で、「寄生獣」の映画化は期待と不安が入り混じる感情で見始めた。コミックを原作にした映画化はファンからするとかなり難しい部分があって、思い入れが強ければ強いほど些細な矛盾が許せないし、「そこ、違う」「わかってない」という小さな怒りを覚えてしまうからだ。
また、実際コミック原作の映画の多くは(特に日...
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【1/100の映画評】同じヒロつながりの『ベイマックス』は、看護だけではなく主人公の警護をするスーパーロボットだった!
兄を亡くした天才少年と、兄の遺産のベイマックス
主人公ヒロ・ハマダは14歳ながら、ロボット工学の天才児だ。彼が暮らすのはサンフランシスコと東京のハイブリッドな仮想シティ サンフランソウキョー。ヒロは金を賭けて自作のロボット同士を戦わせる「ロボット・ファイター」に夢中である。
そんなヒロの将来を憂う兄のタダシは、自分が通う大学にヒロを連れていき、ロボット工学の先駆者であるロバート・キャラハン教授に会わせる。タダシの思惑通りにヒロはキャラハン教授の教えを受けることを熱望するようになるのだが、ヒロが大学への入学を許されたその日に大学構内で謎の大爆発が起き、タダシとキャラハン教授は悲劇的な死を遂...
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【1/100の映画評・番外編】狂気と信念の激走ムービー『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
「マッドマックスが北斗の拳に似ているんじゃない、北斗の拳がマッドマックスのオマージュなんだよ」と何度口にしたことか。
オーストラリアのバイオレンスアクションムービー傑作「マッドマックス」が、同じジョージ・ミラー監督によって新たに蘇った。シリーズ累計四作目になる。
大好きなトム・ハーディー主演で蘇ったマッドマックス
核戦争などで文明が崩壊した世界。
汚染が進み、砂漠化していく地球。世界観としては、いままでのマッドマックスシリーズを踏襲しており、設定はほぼ同じと思われる。
生き残った人類は、暴力と狂った信仰で残り少ない水や燃料などを独占する独裁者イモータン・ジョーによって支配されている。マッ...
ロレンス編集部
【1/100の映画評】デンゼル・ワシントン版レオン?『イコライザー』
一人の娼婦のために命懸けの戦いに巻き込まれる男の話
元CIAの凄腕エージェント、ロバート・マッコール。
不眠症の彼は、毎晩過ごすカフェで一人の娼婦と知り合う。
街の凶悪な存在を抹消し、平準化(イコライズ)する男
テリーが囲われているのはロシアン・マフィア。
あるときテリーが客に暴行を受けた。つい殴り返してしまった彼女は、マフィアから制裁を受けて重傷を負い、入院する。
彼女を放っておけなくなったマッコールは、マフィアのアジトに武器も持たずに乗り込むが、話し合いにならず、そこにいた数人を30秒足らずで皆殺しにしてしまう。
報復に出るロシアン・マフィアは元特殊部隊の殺し屋を差し向ける・・・。
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ロレンス編集部
【1/100の映画評】老いてなおの友情物語『ラストベガス』
悪ガキ四人組(ビリー、パディ、アーチー、サム)。58年後に再会したのは、四人組の一人ビリーのバチェラーパーティー。
ビリーは40歳下の若い女性との結婚をしようとしていた。若い女性と一緒にいると70歳を超えた自分が17歳の気分に戻れるからだ。ビリーは仲間の三人を結婚式を行うラスベガスに呼び寄せるが、最後まで渋るのはパディ。彼の妻であり、四人組のアイドルだったソフィーの葬式に、ビリーが来なかったことを根に持っているからだ。
それでも渋々ラスベガスにやってくるパディたち。さまざまな偶然の出会いを通して、四人の絆は再び強固なものになっていく。
友達っていいよな。本作は、男の友情っていいよな、と単...
ロレンス編集部
【1/100の映画評】ポール・ウォーカーの遺作『フルスロットル』
古典的なバディムービー『フルスロットル』
リュック・ベッソン監督が手がけた超絶アクション作品『アルティメット』(2004年)をハリウッドがリメイクしたものだ。
主役二人のうち、片方(ダビッド・ベル。後述)は留任。片方をポール・ウォーカー(1973年9月12日 - 2013年11月30日)が演じる。この映画はポール・ウォーカーの遺作になる。
ストーリーも設定も、ほぼ『アルティメット』のままだ。
経済的に破綻しつつある街の市長は、無法地帯と化した廃墟「ブリックマンション」に、強力無比な爆弾が仕掛けられる。その爆弾を解除するために送り込まれたのがポール・ウォーカー演じる捜査官。
その相棒は警官...
ロレンス編集部
【1/100の映画評】誰かのために生きることをやめられない優しい人々『ギルバート・グレイプ』
人生には、何度観ても同じ感動を、同じ衝撃を、同じ衝動を与えてくれる映画と巡り会うチャンスがある。
僕にとって『ギルバート・グレイプ』は、そういう映画の一つだ。
1993年に公開された本作は、主演ジョニー・デップ。知的障害を持つ主人公の弟をレオナルド・ディカプリオが演じている。
閉ざされた世界に縛り付けられて、あがくこともできない青年
主人公ギルバート・グレイプは勤勉で、心優しい青年だ。アイオワ州の片田舎、とても小さな町の小さな雑貨屋で、働いている。
彼の母親は、夫が謎の首吊り自殺を遂げたショックで過食症になり、7年もの間一歩も家の外に出たことがない。というより身動きできないくらい太って醜...
ロレンス編集部
【1/100の映画評】ポンコツ&ロートルの傭兵チーム『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』
スタローン版のオーシャンズ11
シルベスター・スタローンが開き直って、笑いも感動もない、純度100%のアクションムービーを作った。それがこのエクスペンダブルズシリーズだ。
屈強な男たちが銃やナイフをもって戦う。ひたすらそれだけの映画である。
アクションとは別に、もう一つ大きな特徴と言えるのは、スタローンの人脈というか人徳を生かして、常に大物俳優をゲストで集められるということだ。ある意味スタローン版の「オーシャンズ11」と言える(ジョージ・クルーニーが、彼自身のネットワークで超一流の俳優陣を、ありえないほど低いギャラで集めたことで有名)。
ただ楽しめばいい映画。それがエンターテインメントだ...