アメリカンホンダといえばコレよコレ!の青白赤トリコロールカラーをその身に纏い、AFTトップカテゴリーであるスーパーツインズクラスへ今年から参入したダラス・ホンダの"FT750・トランザルプ"。こちらのビッグプロジェクトのデビューまでの大まかなプロセスを、チームオーナー氏が惜しげもなく?リポートしているので、今回はそれをご紹介しましょう。同型マシンを仕立ててこのクラスで走らせたいって方、いらっしゃればオーダー受付中らしいのでご検討材料にいかがでしょうか?

まずはベースエンジン入手のためにNZディーラーから丸車を5台輸入!

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTS "レースプロモーター" のハヤシです。現在USホンダの市販車ラインナップには、アドベンチャー/デュアルスポーツカテゴリーにトランザルプなるモデルが存在しますが (現地ベース価格は$9,999〜) 、この型のエンジンで2気筒ダートトラックマシンを製作するプロジェクトが動き出した当初は、未だ北米では正式販売がスタートしていない段階でした。しかしデビューのタイミングはAFTシーズン開幕に合わせたいわけでして・・・?

画像: まずはベースエンジン入手のためにNZディーラーから丸車を5台輸入!

メイカーから直接のサポートを受けているわけではない独立系ディーラーチームであるダラスさん、すでに海外で先行販売されていた同型エンジンのネイキッドモデル、CB750ホーネットに目を付けニュージーランドのホンダディーラーから独自に調達することとして、丸車5台+エンジン数機を確保。現地に飛んでバラしてヒコーキと船に積み込んで、5ヶ月近くかかってアメリカへ運び、素材?ドナー?の用意が整っていよいよ製作が始まったのでした。

資金力・企画力・そしてフットワークの軽さ!プロジェクトのために集う人材の豊富さも相まって、なにやらとんでもない仕上がりのマシンが期待できそうな予感・・・?

とりあえずポンと積む、のじゃなくエンジン内外に大胆な手が加わってます

ひとまず6機以上のエンジンが手に入りましたが (それ以外の部分・ローリングシャシーはどうなったんでしょう?) 、比較的マイルドでユーザーフレンドリーな味付けとされるそのキャラクターを、AFTで強豪インディアン FTR750やらエステンソンヤマハ MT-07やらと互角にやりあえるパフォーマンスへと生まれ変わらせるためには、エンジン内外に様々なモディファイが必要となってきます。

画像1: とりあえずポンと積む、のじゃなくエンジン内外に大胆な手が加わってます

シリーズに参戦する同じエンジン形式 (パラレルツイン) のKTM DUKE790と比較すると10cm近くエンジン全幅が広いらしいこのホンダ製755ccをいかにシェイプアップするか・・・チームはエンジン左サイドに位置する発電系統を除去し、フライホイールと冷却水通路の一部を再設計。写真中央の左側ケースカバーも高度なメタルワークで作り替え、ダートトラックマシンとしてまぁまぁ適切な寸法 まで追い込んで・・・左ケースがあまりに飛び出ているとバンク角に制限が生じます (かつてロン・ウッドが1台だけ製作したCRF1000Lアフリカツイン・レーサーはココが最大の泣きどころでした) 。

画像2: とりあえずポンと積む、のじゃなくエンジン内外に大胆な手が加わってます

動弁系は耐久性のある素材かつこのスポーツで要求されるキャラクターに合わせてすべて新造。バルブ関係はトータル50%近く重量を削り、高圧縮化するための特注ピストンはメインテナンス性に配慮して純正ピストンリングがそのまま流用可能な仕様で設計されています。写真はありませんがコンロッドなど腰下も純正ストックは使わない方向みたいですね。メイカーそのままなのはエンジン外側 (左ケースカバー以外) くらいなのかも・・・。

エンジンチューニングとともに車体製作も "みんなで" 急ピッチ進行!

エンジンパーツの製作とチューニングメニューに目処が立つと、続いてはメインフレームを用意しなければなりません。フレーム一式とスイングアームはカワサキ ニンジャ650エンジンを搭載したブライアン・スミス号の開発と熟成、チャンピオンシップ獲得でその名を挙げたリッキー・ハワートンが担当し、2人のチームライダーのために6セットのフレームが用意されることになりました。

画像1: エンジンチューニングとともに車体製作も "みんなで" 急ピッチ進行!

ズラリと並んだハワートン製フレームたち。無塗装の手前6セットがホンダ用。奥の黒色3セットはガセットプレートなど仕様の違いから、ブライア・バウマンの駆るKTM DUKE790用と思われます。

車体の骨格が出来上がると、今度はダミーエンジンを搭載して仮組みされたマシンたちは、アルミ製タンク・ラジエーター・排気系統を製作するべく、各地の一流ビルダーのもとに同時進行で送り出されていきます。ワンストップ = 一人親方?方式でイチから丸ごとフルスクラッチ製作してそのまま仕上げるのではなく、各分野の名匠が寄ってたかって (実際にはモノのほうがそれぞれの作業場に送り込まれるわけですが) 1台のマシンを形づくる様子は、分業の進んだ彼の地のレース風土の一端を強く感じさせますね。

画像2: エンジンチューニングとともに車体製作も "みんなで" 急ピッチ進行!

フレームに合わせて製作された専用アルミタンク。中央下面にインジェクション車用フューエルポンプが配されています。後部の四角い切り欠きは巨大なエアクリーナーのための逃げのスペースです。

画像3: エンジンチューニングとともに車体製作も "みんなで" 急ピッチ進行!

同じく専用設計・製作されたラジエーター。全開時間は長いものの、スプリントレースかつ平均速度域の高いダートトラックマシンは、十分な冷却効果が得られるため、比較的小型のものが誂えられることが多いです。ショートトラック戦でのみ大容量ラジエーターに変更する場合もあり。

画像4: エンジンチューニングとともに車体製作も "みんなで" 急ピッチ進行!

マフラー製作のためテキサス州からサウスダコタ州まで片道1,300km以上を陸路で運ばれたローリングシャシー + ダミーエンジンの図。レースの現場ではほとんどお目にかかることのできないニューマシンのストリップ姿は多くの示唆を与えてくれる・・・でしょう?外装を纏っているとき以上に、いにしえからの定番的な寸法とプロポーションをキープしていることがよくわかります。

デビューイヤーの今年、トリコロールが表彰台の一角に立つシーン、見られますかねぇ?
AFTの今期第4戦テキサス・ハーフマイルは今週末27日の土曜日に開催されます。
ではまた次週、金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

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