10年ひと昔・・・と言いますが、2010年前後から各メイカーの市販公道用並列2気筒モデルをベースエンジンに用いてツインズカテゴリー向けマシンを製作することが一種のトレンドとなり、伝統的なV型2気筒エンジン車とは異なるフレームワークが必要とされるようになってきました。このパッケージは徐々に洗練され、今日ではAFTスーパーツインズクラスの新たなスタンダードとでも言うべきスタイルへと進化しています。

進化(変化?)の最大の理由は異なる吸気形式に合わせた合理的なもの

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。小振りな角っぽいタンク + フラットなシート座面とリアカウルで構成された所謂 "トラッカーシート" の組み合わせこそ、気筒数を問わず数十年前からこのスポーツ用の定番的なスタイルでしたが、2000年代初頭からプロ登竜門的位置づけのクラスである450cc単気筒マシンの主流が、モトクロスコンペティションマシンをモディファイする "DTX" スタイルへと移行し、若いライダーたちはそのフラットな着座感により一層親しむようになってきます。今日の若年プロライダーたちのなかには "フレーマー" に乗った経験のほとんどない者もいるとか!?

ベース素材として新たにフィーチャーされた現代的な並列2気筒エンジンは、フューエルインジェクションによって燃料供給される "後ろ上方吸気" が主流です。また燃料タンク底部には直径100mm程度の電磁フューエルポンプを設置する必要があります。そのためタンクは伝統的な、メインフレームに跨がるスタイルから、左右に分岐した細身のフレームに抱き込まれる形式へと変化しました。

画像1: 進化(変化?)の最大の理由は異なる吸気形式に合わせた合理的なもの
画像2: 進化(変化?)の最大の理由は異なる吸気形式に合わせた合理的なもの

コフィン (棺桶) タンクのような角ばった無骨な形状ですが、多くはこの上から樹脂製のタンクカバーを被せるためライディングへの影響はありません。AFTルールブックでは最低容量5リットルと規定されており、見た目よりはるかに小振りで幅も狭く、最大30数周程度の決勝レースを走り切れるギリギリのサイズで製作されるのが一般的です (赤旗中断中に給油しないと足りない場合あり) 。

最終的には全メイカーみーんなこの形になっちゃうかも、しれませんね?

このトレンドの方向性を切り開いた立役者と言えるのは、2016年のチャンピオンを獲得したブライアン・スミス + ハワートン・モータースポーツ + カワサキニンジャ650のパッケージですが、本記事冒頭のKTM DUKE790 (ブライアー・バウマン車) や今期からデビューした新しいホンダ製2気筒マシン (ペットネーム: トランザルプFT750と呼称) はハワートンの手によるフレームワークで、外装デザインの細部に至るまで共通性を見てとることができます。

画像: 最終的には全メイカーみーんなこの形になっちゃうかも、しれませんね?

トラディショナルなVツインエンジンを採用するハーレーダビッドソンXG750RとインディアンFTR750も、よくよく見てみればタンクを抱くツインスパー型メインフレームで構成されています。これからの2気筒クラスのスタンダードは、このようなスタイルのマシンになっていくのは間違いありませんね。ちなみにこれら、AFTスーパーツインズがルールで規定する最低重量は約145kgくらいですから、保安部品付きの250cc単気筒?同等の大きさ重さで100馬力・最高速200km/hくらいを発揮する "ちっちゃめモンスター" であることを申し添えておきましょう。いやー乗ってみたいですよねぇ。

ではまた次週、金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

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