2022年シーズンのAFT: アメリカンフラットトラックシリーズで、インディアンFTR750を駆り圧倒的な強さでスーパーツインズ王者の座に返り咲いたジャレッド・ミース。彼の所有するプライベート・マシン・・・全米プロ選手権では使わない、2016モデルのホンダCRF450Rダートトラッカー (DTX) が豊富な予備パーツ共々ご本人より売り出し中です。こちらの車両の仕様を紐解けば、今日のAFTのトレンドがすこーし見えてくる、かも?

車両単体11,000ドル、7,500ドル相当のスペアパーツ付で14,000ドル!?

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。今回ジャレッドが売りに出している2016年モデルのホンダCRF450R、当方調べの北米での新車定価は8,699ドル (ちなみに国内分は税込定価907,200円・販売台数たった20台・・・) 。6年落ち中古の車両本体に付くプライスタグとして定価 + 2,300ドルっていうのは彼らしく?強気な感じもしますが、ダートトラックでのオーバル走行に特化したDTX化コンバージョン済みということ、そして入念に手入れの行き届いた実績ある現役ライダーの持ち物、という両方の意味で納得される方も多いはずです。

画像: 腰高な印象のモトクロッサー・ノーマル新車 (21/19インチのこちらが正常体ですけど) と見比べると、地を這うかの如き低重心のDTXはもはや "別な乗り物" と言って良いでしょう。お安くないのも当然・・・かな?

腰高な印象のモトクロッサー・ノーマル新車 (21/19インチのこちらが正常体ですけど) と見比べると、地を這うかの如き低重心のDTXはもはや "別な乗り物" と言って良いでしょう。お安くないのも当然・・・かな?

というわけで、ミース車に加えられた各所のモディファイ = DTXマシンとしてのスタンダード ( そして勝ちを狙える+ α ) 仕様?とはどんな様態なのか、順繰りにリストを確認してみましょう。

今の為替レートだと11,000ドル = 1550,000円くらいですけどね・・・

画像: 今の為替レートだと11,000ドル = 1550,000円くらいですけどね・・・

新車から14.3時間使用の車体

エンジンは分解整備・下記メニューでのチューニングから2時間使用
・トランスミッション嵌合部ポリッシュ加工
・著名チューナーの手によるヘッドチューニング
・ハイコンプ鍛造ピストンとダートトラックプロファイルのハイカムシャフト組み込み
・社外ヘビーウェイトクランクとコネクティングロッド
・VORTEX製ECU

前後サスペンションはDTX化 (ショート加工・ダンパー強化済み)
・レーステック製ゴールドバルブ組み込み済みのフロントフォーク
・オーバーサイズ大径シャフトとリバルビング加工済みのリアショック
・社外プリロードアジャスター
・WEISS製DTXオフセットのトリプルクランプキット

TTライド向けにフロントブレーキユニットを強化済み
・スーパーモタード用オーバーサイズローター
・社外マスターシリンダーとメッシュブレーキライン

D&D製デュアル・アップエキゾースト

ワークスコネクション製ラジエターブレースとクラッチレバー

ハンマーヘッド製ブレーキペダルとシフトペダル

社外ビレットクラッチカバー
・内部クラッチユニットはメイカー出荷状態のノーマル

前後19インチホイールとダートトラックレーシングタイヤ
・デュレル製クイックチェンジリアハブ (左右反転可能・40穴)
・フロント2.15&リア3.00リム
・最新のUSダンロップDT4レーシングタイヤ

エンジンケーススタータープラグ (クランク直回し始動用) 取り付け済み

これだけの内容の車両単体で11,000ドル。車体から取り外すことのできない (純正パーツと交換した) 最低限の変更込みの、いわばあちらで走る一般的な "DTXスタンダード" 仕様と言えます。

その他7,500ドル = 100まんえん分!のオプション・スペアパーツあります

画像: その他7,500ドル = 100まんえん分!のオプション・スペアパーツあります

高額パーツ群をざっくり地べたに置いてテキトーに撮影するのがジャレッドっぽい?ですが

排気ユニット5セット (左上から反時計周りに)
・ビルビルト製直管腹下レイアウトのショートマフラー
・D&D製1本出しメガフォンアップマフラー
・USヨシムラ製デュアル・アップエキゾースト
・D&D製デュアル・アップエキゾースト (予備・カーボンサイレンサー)
・ほぼ未使用の純正デュアルサイレンサー

ロワード加工済みのリアサブフレーム

現行のAFT / AMAルールで全車取り付け必須の社外クラッチ2種類と予備パーツ
・ヒンソン製スリッパークラッチ
・リクルス製オートクラッチ

吸気系パーツいろいろ
・エアフィルター4個
・オーバーサイズスロットルボディ
・社外品の高効率吸気インテーク

予備のリアショックユニット
・車体取り付けのものと同内容のチューニング済み

予備のヘビーウェイトクランク (新品)

歯数違いのフロントスプロケット

その他社外品と交換して車体から取り外した純正パーツ各種

倣うより慣れろ?いやいやこれが彼の地のプロシーンでの"標準仕様"です

いかがでしょう?つらつらと羅列しましたが、腕の立つライダーたちの走行写真や動画のみからではかえってなかなか計り知ることができませんよね。車体各所のモディファイがこれだけ多岐に渡り、純正仕様のままでは得られないパフォーマンスを獲得できるのなら、およそ車体2台分の予算でも納得?仮にすべて新品で誂えたらさらに1台分くらいの予算が必要でしょう。

実際にこの騒々しいマシンが必要になるほど、我が国のレースシーンがシビアに醸成しているわけではありませんけど、この仕様でどんな結果 (というか運転手の要求に対するマシンの応答) が期待できるのか、想像してみるだけでも面白いかもしれません。筆者の実体験的に、今日的DTXにはスリッパークラッチと (特にショートトラックなら) ショートマフラーまでは絶対導入したいところです。というか・・・一度そのフィーリングを知ってしまったらもうノーマルで乗る気なくなるかも?信じるか信じないかは貴方次第です。

ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

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