2022年は、"お金さえ払えば誰でも出られる"オープンforパブリックなダートトラックレースが、手入れの行き届いた(?)、お客様のために用意された競技会場で行われることが、我が国でいったん途絶えてから、ちょうど10年目です。もちろんこの期間、筆者が主催するものも含めて、ローカルレベルでのレースやスクール・走行会などのイベントは各地で連綿と続き、新たにこのスポーツに取り組む人は徐々に増え、以前から弛まず走り続ける人たちもまだまだ少なくはありませんが、次の10年をなんとなく想ったとき、"ちょっとヤバめ・・・かな?"と気になることがいくつかあるんです。

自分も年を重ねたけれど、ふと気づけばオッチャンオバハンばっか・・・?

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。20年ちょっと前、筆者が鉄スリッパーを左足に括り付け始めたころだって、若い・・・というか冒頭イメージのようなお子様ライダーたちがキッズバイクでウヨウヨ走っていたわけじゃありませんでしたが、少なくとも筆者に近い20代そこそこのライダーも、30代以上のバイクブーマー世代?にこそ全く及ばないものの一定のボリュームがあって、諸先輩方からガム買ってこいだの出る杭打つぞといやらしく恫喝されたりしながら?、いざ勝負事となればすわ下克上とばかり虎視眈々と勝利を狙っていたものでした。

それがあるころから結婚とか家族が増えたとか家買ったとか仕事が辛くて飛んだとか・・・ひとり減りふたり減り、ふと見回したら特に我々同世代の少なさったら驚くほど。未来を担いそうな生のいいキッズライダー、彼らの懸命に走る姿は誰の目にも楽しいものですが、オトーサンオカーサンが連れてこなけりゃスポーツの現場で走り出すこともできませんから、若いファミリー層 (とその予備軍) がシーンに決して多くはない、というのは・・・先々あまり面白くなる予感を持てません。

レーシングよりライディング・・・ずーっと"打ちっぱなし"に浸ってるの?

筆者は観るのも走るのも "ダートトラック・レース" が好きです。レースのためにトレーニングし、マシンを備え、ライバルの動向を探って戦略を練り戦術に悩み (ふたつは似てるけど個人的には別のイメージです) 、死力を尽くして戦い (大袈裟!) 勝敗に泣き笑う・・・。言ってみるなら老若男女だれもが必死に "勝つ為に走る" ことのできるダートトラック・レーシングとそれを取り巻くカルチャーに心底惹かれている、ということなのだと思っています。

逆に、勝敗関係なしにピュアに走ることを楽しむというのは・・・長くスポーツを続けているとかえって邪念や要求も多く難しいし、それに浸れる時間はここ10年ほとんど全て主催イベントとか他者のために費やしてきたので、正直あまりリアリティがありません。個人的にはうちのちびっ子たちが放っておいても鉄スリッパーのヒモを締めて走り出せるようになるまではお預け、のような気がしています。あるいは彼らが一人前になったらそれはそれでコテンパンにやっつけたくなるのかな??

幸い "走る為に走る" ひとたちの集うコミュニティがそこここで醸成されつつある昨今、競う為の場 (場所と場面) を用意し、そのためのルールと公正性を整え続けること・・・美醜相見える競い事は関わる人の良識だけでは多分コントロールできません・・・、そして本当の意味で新たな "競えるライダー" の登場を待ち構えることが、筆者の次の10年の取るべき立場かな、と考えているところです。

"技術の伝承" は伝え手と受け取り手双方の想いが合致してこそのものですし、一流選手に教わることとその先生を超えていくこととは全く別の取り組みです。素振りの練習だけ続ければホームラン級の打力は身に付くかもしれませんが、試合に勝つのはまた違うチャレンジだと思うんですけどね。

ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

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