不利なマシンで悪を討つ、は幻想だから。今すぐ無駄な努力はやめましょう
WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。先日とある科学雑誌の記事で、日本人のおよそ1/3は科学的考証とか論理的な解説をあまり好んでいない・・・という話題を目にしました (ちなみにアメリカだと半数やや超えらしい) 。なるべく皆さんに解り易く、フィーリングの世界へ安易に逃げず、毎週続けて214本くらいダートトラックに関する話題を綴り続ける名物コラムニスト (私) からすると、うぇぇぇぇぇ・・・って感じなんですが、過去20年近くこのスポーツに接して目にした限り、成功への近道とかよりよい方法をいくら提案しても、頑にスポ根的に地道な積み重ねを選んで盲目的に突き進もうとする人は、常に一定数います。
今日はお楽しみがそこここに溢れるエイプリルフール、遠回しな言い方はやめ端的に言いましょう。道具を使うスポーツ、勝敗のある競技として "モーターサイクルレーシング" を捉えた場合、乗り手の鍛錬とマシンの成熟とは常に一体であるべきです。鏡に映った自分かのように貴方とまったく同じだけのテクニックとフィジカルを備えたライダーと相対し、レーストラックでガチに戦わねばならない場面を想像してみてください。おそらく勝者は相手より1g軽く、1馬力出力が高く、1cmだけ前に出られるマシンに乗っているはずではありませんか?
よりパワフルで、しかし扱いやすく調整され、バランスの取れた成熟したマシンは、技術で劣る相手と戦ううえでも大きな助けとなるでしょう。キャリアと経験の差は完全には埋められませんが、深い溝の一部をマシンのパフォーマンスで補うことは可能です。とかく良い道具をもつことをフェアではないように感じがち? (貴殿はサムライか?) 、マシンに資金を注ぎ込むのならその分練習しろ?とか根性論に走りがちですが、逆説的に言うならば、それは勝負に負けたとき用の言い訳ですよ。
筆者が駆け出しだった20年近く前、SNSも動画サイトもなかったあの頃は、必要な情報は自分で取りにいったものでした。国内外の雑誌とか本場のプロライダーの動向とかマシンセットアップの方向性とか・・・探せばネタは見つかったし、それを実践して吸収するのも今に至る成長の一部だったと思うんです。
シーンを育て、後から来る人たちを引き上げよう、という高い意識をもったチューナーとか先輩ライダーとかもごく少数 (まあ片手くらい?) はいましたけど、結局自分で考えて進むしかなかったんです。失敗も多かったけれど、その代わり学校では教えてくれないことをたくさん実地で知ることができました。いまライディングスクールに足しげく通う人たちって、そこらへんどうしてるんですかね?安くない授業料を払ってるだけあって、さぞかししっかり身に付いてるんだろうか?
走り出す前から、あるいは走っていても、誰もが知っておくべきだと筆者ハヤシが思うことは、だいたいこの連載に載っています。情報を得ずに、知識を持たずに、なにも考えずに走ってる人が少しでも減るように、今一度すべてに目を通して見識を広めていただくのも良いかと思いますよ (何様) ?
気持ちよくリアタイヤが流れてザザーっと滑る路面は "競技場" にあらず?
"条件を整える" という話題繋がりで少しだけ、これからのレーストラックの話もしましょう。
アメリカと違って四輪用ダートオーバルが存在せず、競馬場も使えない日本では、400m級以下のショートトラックこそが今日まで二輪ダートトラックレーシングのメインストリームですが (今後はどうなるかわかりませんけど) 、本場で小さなオーバルでのレースを指して言う表現にこんなものがあります。
"fistfight in a phone booth" = (チョー狭い) 電話ボックスの中で (素手で) 殴り合い
かなりハードコアーな状況ということはご理解いただけるかと思います。この言い回し、実は筆者の大好物です。そんな場面を受け止める器のカナメがレーストラックなわけですが、より安全でハイレベルな戦いを生み出すのは、気持ちよく簡単にリアタイヤが流れる (流れちゃう) 、グリップレベルの低い、コンディションに一貫性のない路面では、ありえません。
そう簡単にはリアタイヤが滑り出さないほどグリップする路面で両輪をブレイクさせること。
日に数回の撒水だけで埃も立たず、ライダーが視界を遮られることなくターンに飛び込めること。
新たにプロデュースするならそんなトラックだなぁ。
なんだかんだ最低1万平米くらい必要だなぁ。
ふふふ。
ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!