毎週金曜更新の当コラム、今回は節目の第200話となりました。ここ2シーズンというもの、件のCOVID-19禍のおかげでこれまでに例を見ない変則的な活動 (というか長めのひと休み?) を強いられてきた我らがレースシリーズですが、いい加減そろそろ来期あたりからは姿勢を整え、慎重にリスタートが切れるかな?という心境にもなってきました。本日はようやく見えてきた再始動を前に、これだけは気に留めておきたいこの先のダートトラックシーンのこと、ビタースイート系の筆致?で皆様へのクリスマスプレゼントとして贈ります。

絶対必須のパーツや小物で錬金術するビジネスダートトラックには要注意?

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです・・・という枕言葉で始まるわりに?過去2シーズンというもの完全なNOシーズンでレース・イベント開催をお休みしてきた筆者なんですが、来たるリスタートのおりにはこれまでと全く同じスタイルでの "再開" ということだけではなく、新たなステージへの "進化と深化" をも目論んでいます。

筆者が我が国のダートトラックシーンに足を踏み入れてかれこれ20年になろうとしていますが、かつて年間シリーズで選手権を追いかける現役レーサーだったころには、他種目のライディング・インストラクターとして得た (有り難いことに毎月結構な金額の) 収入の多くを自身のレース活動にブッ込んで、日々の戦いにいそしんでいたものでした。

10年ほど前からレース・イベントを主宰するようになって以降は、それまでの自身のレース資金よりちょっと多いかな?くらいの額を、シリーズ運営予算として毎年溶かし続けてきましたが、最近になって強く思うことは、カテゴリーの間口を拡げようと思うあまり最初の入口でお支払いいただく "木戸銭" をぐっと下げること、あるいは運営の基礎体力を補強するべく?スポーツへの参加者が求める必要アイテムその他からの実入りに期待すること、それぞれの "功罪" についてです。

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たとえばこちら、ダートトラック用レースマシン独特のイメージのひとつとも言うべきフロントフォーク・プロテクター。前走者が巻き上げる小石や礫まじりの "ルースト" から自車のフォークインナーチューブを保護するための特徴的なアイテムですが、古くから我が国のカスタムパーツ業界では本場の舶来品が、"万札ピラピラ (2) でちょっとお釣り" くらいの金額で売られる高級品。が、本場のレース会場で直接ベンダーから買おうと思ったら、実はほんの数十ドルのもの。筆者がひとづてに頼んであちらからまとめて輸入しても、1セット左右単価で送料込み "5ケタ" まではいかないはずです。

画像2: 絶対必須のパーツや小物で錬金術するビジネスダートトラックには要注意?

あるいはこちら、ダートトラックレースに必須のホットシュー = 鉄スリッパー。今アメリカで最も売れてる一級品は底面強化肉盛り込みでブーツに合わせてオーダーメイドして320ドル。往復の送料を加えればまぁだいたい40,000円?ってところですが、こちらの職人さん、たったひとりで年間250足製作、すべての工程がスムーズに進んだなら1足作るのに2時間かからないそうです。価格は我が国の優れたクラフツメンにお願いしても同額で同等かそれ以上のものを手に入れることができますが、ビジネスと割り切って作りまくるあちらのスピードと効率たるやエラいもんだな、と。

どちらもちょっとした例ですが、別にチョー狭小なダートトラックマーケットを食い扶持にすることそのものの善し悪しとかって話ではなくて、フォークガードに2万円は出せない層、あるいは2日も3日もスリッパ叩いて赤字出してまで作る人たち、が置いてきぼりにならないようにしなければ、この先新たな拡がりは期待できないのじゃないかなぁ、と思っているところです。

教える側 / 教わる側という構図を拭い去らない限り、天井はなくならない

筆者が駆け出しだった20年くらい前、ダートトラックライディングを始めようと思ったら、まずは2輪雑誌かなにかからの数少ない情報を頼りに、初心者スクール的なものに数回行ってみたり、あるいはいきなりレーストラックに足を運んで、そこで練習するライダーを質問攻めにしたり盗み見たりしながら見よう見まねでスタートし、そのあとは探究心と興味のおもむくままに走り込んだり、(今日のようなインターネット発達以前のことなので) 海外からの情報を手に入れるのに四苦八苦したりしながら、"地力で" 自分のなかの引き出しを満たしたり技術を磨いたりマシンを整えたりしたものでした。深度の差こそあれ、自分で考えてすべてをセルフ・マネジメントしながら。

スマホ握ればなんでも (軽めに) 知ることのできる今日、動画サイトやSNSでの緩めのハウツーから何かしらネタを得ることは、誰でもできます。が、皆と同じことを横並びでやるだけじゃ、全員ブチ抜いて勝つことはできないし、教えてもらう姿勢のままでは先生を超えられる日も多分来ないです。

画像: 教えてもらったほうが絶対良いし近道だよ、って段階も確かにありますけどね。

教えてもらったほうが絶対良いし近道だよ、って段階も確かにありますけどね。

確かに20年前から後輩にガム買いに行かせるみたいなロクでもないベテランライダーってウヨウヨいましたけどね。やがて淘汰はされるでしょうけど、イタい先輩でも長年やってりゃ走りの技術は相応のものなので、今すぐ彼らをこてんぱんにしたいなら努力を惜しんでいる場合ではありません。

鼻息荒く流行らせようとすると飽きられるのもあっという間、だったりして

世界的なダートトラックの "一大ブーム" と言われる昨今、ついに我が世の春キター!と浮き足立つプロパーさんたち、あるいは新規参入を狙うビギナーさんたちの熱気も日ごとに高まっているように感じられますが、筆者ハヤシはわりと冷静です。いやむしろもう流行らないでほしい・・・かも?

古く街乗りカスタムジャンルならストリート・トラッカーやらビッグスクーター?レース界隈だって熱心な関係者への無礼を承知で言うなら "ビジネス・スーパーモト" とか "ビジネス・エンデューロ" の残念感とか・・・寄せたビッグウェーブは必ず引きますからね、イナゴの大群は防ぎようもないので、我々は狂乱の嵐が過ぎ去った先のことまで考えておくのが今から賢明かな、とか思っています。

画像: フレーマーラバーでDTX嫌い、と思われがちな筆者ですが別にそんなことないです。美しく機能してればね。

フレーマーラバーでDTX嫌い、と思われがちな筆者ですが別にそんなことないです。美しく機能してればね。

最近流行りの猫も杓子もシマシマと市松模様と白パンツっていうアノ敢えての野暮天ルックな雰囲気も個人的にはあまり乗っかりたくないんだなぁ。アメリカ発イギリス経由日本でどかーん!みたいな・・・?まぁ本場AFTも銭ゲバで散々だし、ヨーロッパの世界選手権もまだまだ発展途上みたいだし、ここにきてのワールドワイドに同時多発的な惨状を四方八方唾棄しても仕方ないんですけどね。

結論?: マトモなレースでやたらめったら競いまくるしか未来への道はなし

結局のところ、接近戦が多くて危険で単純なスプリント種目として、ダートトラックが良き形で今後も脈々と成長し続けるには、正しく競えるレースの場数が増えること以外に方策は全くありません。

明快なルール・明文化されたレギュレーション・確立されたレースフォーマットで、本場の歴史的整合性をも尊重したダートトラックレース、ここ10年というもの常に日本で最高の仕事をしてきたのは、筆者ハヤシと愉快な仲間たちが仕掛ける "FEVHOTS: Far East Vintage Hotshoe Series" だと強く自信をもっていますが、どうやら近い将来新たなシリーズ戦が我が国で産声を上げそうな風の噂。

良きことじゃないですか!ついに10年越しでハヤシ自身の出られる (出たくなる) レースが始まることに?世界のオーモリやっつけちゃう?・・・今でも2周くらいならついていけるかな・・・??

実はこの年末にそちらのシリーズ誕生へ向けたテストケースの第1回が行われるそうで、2ヶ月ほど前に我々FEVHOTSもレースディレクション側で協力を要請されたんですが (結局走れないんかい) 、COVID-19対応で丸々2シーズンはっきり休止中の当シリーズ、まして師走の忙しい時期なので、競技監督もメインフラッグマンも計時責任者も黄旗担当数名も軒並み予定が入っちゃってまして、今回は無念の欠席です。連絡くれるの遅過ぎですもん福本さん。当日筆者も遠方に出張中なんですよね。

まあしかし、当団体の知恵と手腕と豊富な人材に強くご期待いただいているわけで、年明けからは今後についての打ち合わせ?擦り合わせ?的なこともおそらく始まっていくのではないかなと!今から楽しみにしています。率直に言うとうちのチビたちともども家族でレース走りたいけどなー・・・。

というわけで明るい芽もある我が国ダートトラック、最後にもうひとつだけ苦言を付け加えるなら・・・特にここ10年で始めた方々、総じて整備スキル低過ぎ!どいつもこいつもマシン汚過ぎ!というわけで年末年始のお休みにはみっちり洗車して来期にお備えください。

良いお年を・・・と言おうかと思ったけど当コラムの年内最終回は次週大晦日、です。
ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

画像: 結論?: マトモなレースでやたらめったら競いまくるしか未来への道はなし
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