いつになったら乗れるだろう?いくつになるまで競えるだろう?どうやらまだまだ先の見えない "出控え期間 = 未知なる困難な状況との戦い" にも、ちょっともう飽き飽き?本日は誰しも陥りかねないそんな沈滞ムードに、少し効きそうな "気の長〜いローカルレーシング小咄" をお届けしましょう!

初めて乗ったのは14歳、初レースは20歳・・・じつに!1960年ですって

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。本日ご紹介するのは、ハーレーダビッドソン社のお膝元、ミルウォーキーの地方新聞でもこの春特集された、御年80歳の現役ローカルダートトラックレーサー、チャールズ・ディキンソンさんのお話。

画像: Behind the Handlebars - Flat Out Friday - Chuck Dickenson Interview youtu.be

Behind the Handlebars - Flat Out Friday - Chuck Dickenson Interview

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彼とモーターサイクルとの出会いは14歳。今からじつに66年前の1954年、隣家のガレージに招き入れられたときでした。翌年ミルウォーキー州選手権のシリーズチャンピオンとなり、58〜60年の3年間、ナショナルナンバー26を纏って全米プロダートトラック選手権で戦った、良き隣人でありプロレーサー、ディック・コートニーとの出会いが、その後の彼の方向性を決定づけることとなります。

18歳で結婚し、20歳にして初のダートトラックレースにエントリーした彼は、その後1964年には地方選手権でのシリーズタイトルも獲得。結婚生活は62年目、初レースからは (中断を挟みつつ) 60年の歳月を重ねています。彼がいま最も情熱を傾けているクラスは "ブレーキレス" 。自身が青春時代を過ごした60年代そのままに、前後ブレーキを装備しない古典的なマシンで競うカテゴリーです。

画像: 競技生活60周年を祝うために集った若いレース仲間たちとチャック・ディキンソン。

競技生活60周年を祝うために集った若いレース仲間たちとチャック・ディキンソン。

というわけで冒頭写真の左側、ディック・コートニーから受け継いだ、レースナンバー26の華麗にでんぐり返っているライダーが、加齢にも骨折にもメゲない "不滅のチャックおじさん" です。

今年も年間25戦のエントリー (!) を目指す、究極的レース好きのオッサン

ダートトラックレーシングの本場アメリカにおけるCOVID-19の拡がりは、報道などからも我が国以上に深刻な様子と見受けられますが、このような状況になっていなければ、レースキャリア60周年の今年、驚くなかれチャックおじさんは、1シーズン25レース出走を目標に活動する計画でした。

画像1: 今年も年間25戦のエントリー (!) を目指す、究極的レース好きのオッサン

20代で金属加工業 (メタル・スピニング = 日本で言う "絞り" の技術) をスタートさせたチャックおじさんは、のちにモーターサイクルの修理改造ビジネスも始め、主として冬場に金属加工、夏場 = シーズン中は仕事の傍ら自身のレースに注力するため (!) 客のバイク弄りに精を出すようになります。

趣味と実益を兼ねた?モーターサイクルビジネスに関してはついに大きく成功することはありませんでしたが、本業のメタル・スピニングでは会社をメキメキと拡大させ、90年代に入ると本末転倒?レース活動を諦めざるを得ないほどに多忙を極めるようになります。

画像2: 今年も年間25戦のエントリー (!) を目指す、究極的レース好きのオッサン

やがて時は流れ、レースキャリアをしぶしぶ中断して20年あまりが過ぎた2010年、そろそろ70代になるチャックおじさんは何を思ったか、やおらガレージに留め置いたままにしてあったレース用マシンたちからカバーを引きはがし、再びレースに出始めます。引退後の余技・・・ではなく仕事はバリバリ続けたままで、です。

"一度憶えた自転車の乗り方を忘れないのとおんなじで、このスポーツの基本的なスキルと駆け引きの感覚は消えてしまったりしなかったんだ" とチャックおじさんは言います。

レースの世界に復帰して今年で10年、彼がこれまでのキャリアでもっとも大きな達成感を得た一戦は、2018年8月にハーレーダビッドソン社115周年事業の一環として行われた、インドア・コンクリートのショートトラックレースだったと言います。

画像3: 今年も年間25戦のエントリー (!) を目指す、究極的レース好きのオッサン

"気持ちの良い夏のある日、気の合う仲間たちと数千人の観客の前で、私はそのレースに優勝したんだ。その少し前に腕や足に結構大きな怪我をして、あわや引退かってところを医者に無理させてなんとか治してもらったんだよ。しかもハーレー本社のあるミルウォーキーのインドアアリーナで (彼はBSAなど英国車を好んで走らせます) ね。最高だよ!あの会場のレースに次は友達を100人くらい呼びたいね"

バーカウンターを愛したり教会に通うこと同様、レースを信仰するヒトたち

チャック・ディキンソンの家族たちは、例えば仕事のあとの飲酒であったり神との対話から精神の解放を求める人々と同様、レースへの参加が彼らの心の平安においても大きな意味をもっていると感じているようです。妻はレース会場でチャックの身の回りの世話をかいがいしく焼いてやり、息子たちはマシンの整備、娘たちは記録係を買って出ます・・・それぞれ自分自身のレースに出る時以外は。

画像: バーカウンターを愛したり教会に通うこと同様、レースを信仰するヒトたち

チャックおじさんの "キャリア60年目のシーズン" と、我々自身の開幕と・・・世界の平穏と感染の終息の訪れるまで、まだもう少し我慢の時なのかもしれませんが、その日の遠からずやってくることを!親愛なる読者の皆様におかれては、引き続き #STAYHOME , #RidersAtHome にご留意のほど。

ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

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