高崎市中心部を遥かに望む南緩斜面・趣きある新ローカルトラックが誕生。
WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。東京都心からおよそ100km・群馬県高崎市の中心部からは北西に30分ほど走った、榛名山の南麓エリアにあるモトフィールド榛名は、モトクロスをはじめ多彩な趣味をもつオーナーの内山氏が、ご自身の手でじっくりと切り開いた、美しいロケーションのライディングスポットです。
自然地形のMXコースの一部を切り拓いた"タイニーサンダーマウンテン"。
トラックサイズは内々寸法でおよそ120m、外周目一杯でなら180m級といったところ。手始めに小さく回れば、初めてオーバル走行を経験するライダーにも十分な安心感の得られるスケールです。
元々が自然地形を活かしたモトクロスコースの一部を大きく改修して造成されている由来から、オープンを迎えたこの日の段階では、トラックの長手方向・各ターンにいくらかの高低差があります。ターンをつなぐそれぞれの直線部が僅かに、スロープ様態の上り・下り坂となっているのが特徴です。
一般的に平坦で起伏がないことがダートトラックの特徴ですが、実際の走路の状況はといえば、微地形的な、ほんのわずかに下りながらのターン (逆バンク) や、大勢が走り込む中でコーナーのインからアウト側へとトラック表面の土が飛ばされ自然にバンクが形成されることもしばしば。というよりも、それらコンディションの変化を瞬時に読み、適切な操作でより合理的なラインを探し、同時にライバルたちと丁々発止の攻防を繰り広げること "こそ" が、この種目最大の醍醐味なのですが。
下りながらのターン進入は、車体の勢い (モーメンタム) を適切に抑えて速度と車体の進行方向を調整するのが難しく、後輪主体で旋回し過ぎての転倒や、いわゆるプッシュアンダー・後輪に押されて前のめりになった状態から前輪のコントロールを失っての転倒、最初はこの2つのパターンのクラッシュに特に注意が必要です。あるいは速度を削れず = 止まりきれず (あるいは前走者の転倒を回避しようとするなどして) コース外に飛び出しそうなケースにも巧く対応しなければなりません。
上りながらのターン進入は下りと逆に、スロットルを戻し過ぎると (戻すタイミングと量のそれぞれに) 勾配でブレーキがかかることでモーメンタムが維持できずにガクっと速度が落ち、ターン前半で必要な動作、そのすべてが実行できなくなります。止まっちゃう・遅過ぎる・寝かせられない・向きが変わらない・・・そしてストレートに向けての立ち上がりで慌ててスロットルを開き、パワースライドですべての帳尻を合わそうと試み・・・転倒するケースもしばしば出てくるでしょう。
"キープ・モーメンタム"を低い速度域から修練できる貴重なトラック?
このように上りと下りとで大きくキャラクターの異なる各ターンに、それぞれにより適したアプローチを用いて進入し、周回を重ねるトレーニングを、小さいトラックだからこその低い速度域 = 結果として少ないリスクで重ねることができるのが、こちらのトラックの第一の特色だと言えます。
ダートトラック走法の中で最も重要なポイントのひとつは "キープ・モーメンタム" 。必要に応じた加減速はどのようなサイズや土質のトラックでも当然ありますが、モーメンタム = 車体の勢いをどのように維持するか、このことを緻密にコントロールしてこそ、よりスムーズでアグレッシブ、高度なライディングが可能となるでしょう。
左足が引っかかる?それなら出し方を変えましょう。
今回のオープニングでお目にかかったライダーの皆さんのうち、他のトラックで頻繁に練習を重ねる方の何人かからは、"ターンで左足 (鉄スリッパー) が路面にひっかかって難しい・・・" という感想を耳にしました。
解決法は簡単です。ひっかからないよう、地面に鉄スリッパーを接地させるTPO (タイミング・接触するゾーン・場面) を変えてやればいいんです。こちらのモトフィールド榛名、国内では他にあまり多くない "クッショントラック" 。硬く締まって走れば走るほどグリップレベルの増すハードパック = グルーブトラックに比べ、ザクザクとした土質で摩擦係数が高いため、足に体重を預けるタイプのライダーには厄介な路面かもしれません。
左足が接地している限り、直進加速する力は完全に得られません。足の取られるクッション系オーバルで、いかに車体を前方に進めるか、試行錯誤を繰り返すことは、間違いなく速さを得る近道です。
地域に根ざした新たなダートトラックムーブメントに期待大!
イベント当日はオーナー自らトラック整備や撒水をしていただき、終日和やかなムードで新たなローカルトラックの門出を迎えることができました。
こちらのモトフィールド榛名、実は入浴も可能だったり、オートキャンプができたり、走行のあと飲食が楽しめるラウンジがあったり、とにかく魅力たっぷりです。ただ走りに行くだけでなく、眼下に広がる町の灯りや星空なども含めて、まる1日いや2日?ゆったりと過ごすのにも良さそうですよ。
内山オーナーはじめ、今回のスタートアップに際してお誘いをいただいたロデオモーターサイクルさん、ナチュラルスチールワークスさんからは、ぜひどんどん使って盛り上げて頂戴、というお話でしたので、筆者主宰のダートトラックレース団体FEVHOTSでも、楽しめるイベントをなにか皆さんと協働でご提案したいと考えているところです。我々としてはまずはレースってよりキャンプありの走行会や合宿スクーリング的な感じが有力です。おそらく。
いかがでしたか?このような各地でのローカル・ダートトラックムーブメントの勃興がこれから大変重要な鍵になるでしょう。というわけで、筆者ハヤシと仲間たちはこの春、他にもあちこちへと外遊する予定です。おっとその前に、今週末4月14日 (日) は埼玉県川越市のウェストポイント・オフロードヴィレッジで、当シリーズの開幕戦もございます。ダートトラックレーシングにご興味おありの方はぜひ一度足をお運びください。ではまた金曜の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!