日本時間12月26日の本日、風間深志、晋之介親子はアブダビを経由する38時間の移動を経て、パラグアイのアスンシオンに到着しました。
アスンシオンは南米パラグアイの首都。日系人も多いここパラグアイが2017ダカールのスタート地点となります。ここでざっと、2017ダカールラリーのルートと日程を確認しましょう。
2017 DAKAR RALLYのルート
1月2日(月) STAGE 1 アスンシオン>レジステンシア 454km(SS39km)
1月3日(火) STAGE 2 レジステンシア > サン・ミゲル・デ・トゥクマン 803km(SS275km)
1月4日(水) STAGE 3 サン・ミゲル・デ・トゥクマン > サン・サルバドール・デ・フフイ 780km(SS364km)
1月5日(木) STAGE 4 サン・サルバドール・デ・フフイ > トゥピザ 521km(SS416km)
1月6日(金) STAGE 5 トゥピザ> オルロ 692km(SS447km)
1月7日(土) STAGE 6 オルロ > ラパス(ボリビアの首都) 786km(SS527km)
1月8日(日) 休息日
1月9日(月) STAGE 7 ラパス > ウユニ 622km(SS322km)
1月10日(火) STAGE 8 ウユニ > サルタ 892km(SS492km)
1月11日(水) STAGE 9 サルタ > チレチト 977km(SS406km)
1月12日(木) STAGE 10 チレチト > サン・フアン 751km(SS449km)
1月13日(金) STAGE 11 サン・フアン > リオ・クアルト 754km(SS288km)
1月14日(土) STAGE 12 リオ・クアルト > ブエノスアイレス 786km(SS64km)
標高3000m以上のルートが6日間も
スケジュールを見てもわかるとおり、もっとも走行距離の長い日は1日977kmも走ります。977kmと言えば、東京から山口県の下関くらいまでの距離です。最も短い日でも454kmと東京〜大阪間くらいということを考えると、その厳しさが想像できるんじゃないでしょうか。
しかも、ラリーのうち6日間は標高3000m以上、とくに前半は標高3500m以上の高地をアップダウンする場所での闘いとなります。走る晋之介にとってきついのはもちろん、恒例である風間深志にとっても厳しいサバイバルラリーとなりそうです。
ラリーの基本について
ダカールラリー、そもそも「ラリー」ってなんなの? という人のためにわかりやすく書いておくと……
①ビバーク地(宿泊地)から、グランド・スタートに向かう。
②グランド・スタートを指定された時刻に出発し、SS(セレクティブ・セクション、競技区間)のスタートに向かう。
③SS(セレクティブ・セクション)をいかに速く走るか競う。
④SS(セレクティブ・セクション)のゴールに着く。
⑤SSのゴールから、グランド・フィニッシュ(ゴール)まで移動する。この移動区間がリエゾンと呼ばれる。日によっては、リエゾン〜SS〜リエゾン〜SS〜リエゾン となることもある。
⑥ゴールはビバーク地。ライダーはテントなどで休む。メカニックやサポートがバイクをメンテナンスする。メカニックのいないライダーは自分でメンテナンスすることも。
⑦翌朝、次のステージをスタートする。
⑧全日程のSSの区間タイムの合計が少ない人が勝ち。
おおざっぱに言うとこんな感じです。
すると、やっぱり乗るのが速い人が有利なんですね、となりますが、それは正解でもあり間違いでもあります。現在のダカールラリーで上位に入るようなライダーは、ほかのオフロード競技でもトップランクに入れるライディングスキルを備えていることは当然。
しかし、じゃあモトクロスなどで凄く速い人がみんなラリーで活躍できるかと言うと、これが違うんです。実際のラリーでは、速さに加え、正しいルートを見つけるナビゲーション能力、ルートファインディング能力が非常に重要になってきます。また、12日間競ってもタイム差が数秒差なんてこともあるトップランカーの世界では、ミスをしないことも重要になってきます。
トップランカーの場合、走りのスキル差で出る差は、毎日せいぜい数秒から数分程度。なのに、分単位や時間単位のペナルティを受けるようなミスをしたり、バイクを壊してしまったり、壊して修復できなかったりすると大きな差がついてしまうのです。
とはいえ、長期間の競技であるがゆえに、前半で数時間差がついていたのに逆転……なんてこともあるのがダカールラリーの面白いところです。
晋之介君だけでなく、日野チームスガワラ、チーム・ランドクルーザーも応援しよう!
2017年のダカールラリーには、風間晋之介君だけでなく、「ダカールラリー史上最多連続完走20回」「同史上最多連続出場33回」の世界記録についてギネスブックの認定を取得(2016年)した菅原義正氏、その次男でありクラス8連覇を目論む日野チームスガワラがトラッククラスに参戦。
また、4輪部門市販車クラスにも、4連覇を目論むトヨタオートボデー・チームランドクルーザーから2台のランクルが参戦する。
親日家であるリンドン・ポスキットにも注目!
また、今年のダカールラリーには日本へも複数回訪れているワールド・トラベラー、リンドン・ポスキット(Lyndon Poskit #100)も参戦する。
イギリス人ライダーの彼は、世界中をKTM 690 Rally Replicaで旅をしつつ、ラリーに参戦するというユニークな取り組みに挑戦しているライダー。ダカールラリーには2013年に初参戦、ステージでは最高9位に入る活躍を見せて完走している。
2016年9月には北海道で行われた日高ツーデイズエンデューロに参戦したり、2015年は北海道から九州までバイクで旅するなどして日本人の友人も多いリンドン。彼のこともぜひ注目してほしい。
もちろんホンダの初勝利も期待したいところ!
さらに、2013年にファクトリー参戦を再開し、2001年から連勝しているKTMに勝つべく邁進しているのが我らがチームHRC。熟成を重ねたCRF450RALLYで、今年こそ勝利を獲得してほしいところ。過去に何度も優勝に手が届くところまで行きながら残念な結果に終わっているだけに、今年こそは!と思っているはずだ。
とはいえ、現在王者に君臨するKTMも参戦から優勝するまで10年以上の時間がかかっている。HRCの関係者も「そんなに簡単なことではない」と言っていたが、その目には燃える闘志が光っていた。今年はホアン・バレダ、パウロ・ゴンサルベス、マイケル・メッシ、リッキー・ブラベックの4人体制。ケビン・ペナパイズがケガのためキャンセルになったのが残念だが、何度も優勝台に手をかけているライダーばかりなのでぜひこちらも応援してほしい。
というわけで、晋之介君の話がほとんどなかったけれども、現地からの情報が入り次第、またお伝えしていきます。ぜひお楽しみに!