2014年のマン島TTは、マイケル・ダンロップがドイツのBMW久々のセニアクラス勝利・・・しかもスーパーストック、スーパーバイク、そしてセニアの合計3勝をBMWにプレゼントしたことが大いに話題となりました(車両はBMW S1000RR)。ではその前のセニアクラスのBMWの勝利はいつだったのかというと、なんと3/4世紀前・・・第二次世界大戦前の1939年のことでした。

プロパガンダとしてのモータースポーツ参戦

画像1: 1939年TT・・・マン島TT今昔物語 #4


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1939年9月のナチスドイツによるポーランド侵攻で、欧州は第二次世界大戦の泥沼にはまり込むことになるわけですが、その直前に開催されたマン島TTはそんな時代背景もあって非常に政治色の強い大会となりました。当時ナチスは2輪・4輪のモータースポーツを国威高揚のプロパガンダ(政治宣伝)に活用しており、メルセデスベンツ、アウトウニオン、そしてBMWなどのロードレースや速度記録をバックアップしていました。

画像2: 1939年TT・・・マン島TT今昔物語 #4

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過給器付きBMWフラットツインの活躍!


この風刺画は、正義の英国ライダーがまたがる車両を見て、悪のプロパガンダ軍団=ナチスがビビるの図です。英国車のモデルとなったのは、スーパーチャージャー(過給器)付きの2気筒「ベロセット・ロアラー」ですが、風刺画に描かれたBMW タイプ255 コンプレッサーも、その名が示すとおりスーパーチャージャー付きのマシンでした。1930年代後半の時代は出力アップの手段として、スーパーチャージャーの採用が欧州ロードレース界のトレンドだったのです(戦後は禁止されることになりましたが・・・)。

画像3: 1939年TT・・・マン島TT今昔物語 #4

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しかし現実は風刺画の内容とは真逆に、英国勢がBMWコンプレッサーのポテンシャルの高さにビビる結果となりました。60馬力を発揮するスーパーチャージャー付きのフラットツインは、ノートンやベロセットら英国勢を圧倒。1位ドイツ人のショルシュ・マイヤー、2位英国人のジョック・ウェストの順に1-2フィニッシュという完全勝利で、外国勢初の最高峰セニアクラス制覇の偉業を達成しています。

画像4: 1939年TT・・・マン島TT今昔物語 #4

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なお余談ですが、2013年にシャシーナンバー2番のBMWコンプレッサーがオークションに登場しました(この写真の車両ではありません。念のため)。その落札価格は48万ドル! ビックリですけど、それくらいヒストリックな価値のある1台と言えるのでしょう。


果たして2014年から75年後の2089年、マイケル・ダンロップが乗ったBMW S1000RRにはいくらのプライスがついているのでしょうか? ・・・これはちょっと、品のない想像でしたかね。反省します(苦笑)。

画像5: 1939年TT・・・マン島TT今昔物語 #4

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出典:BMW Motorrad UK

*第5回は、こちらのリンクからお読みください。

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