ロレンス編集部
【1/100の映画評】神が寄越した自然界の悪魔による、人間への復讐を描く。『白鯨との闘い』
H.メルヴィルの名作『白鯨』といえば、アメリカの小説としては『老人と海』と同じかそれ以上知られている作品だと思う。巨大な白鯨(マッコウクジラ)モビィ・ディックを復讐の相手として執拗に狙う義足の船長エイハブと、彼の狂気に引きずられていく船乗りたち。彼らとモビィ・ディックの壮絶な闘いを描いた、自然界の神と人間の対決をテーマにした傑作だ。 何度も映画化された『白鯨』だが、本作は『白鯨』そのものではなく、作者のメイヴィルが着想を得た、実際に起きた”白鯨”と捕鯨船の衝撃的な闘いをベースに、『白鯨』成立の真実を描いた作品である。
ロレンス編集部
【1/100の映画評】炭坑労働者とLGBTの若者たちの友情に胸を熱くする・・『パレードへようこそ』
1980年代のイギリス・サッチャー政権下、政府の廃坑命令を回避するため、ストライキを敢行する英国全土の炭鉱労働者たち。彼らを救うために募金活動をしようと立ち上がったのは、ロンドンに住むゲイの青年マークたちだった。 マークたちは、LGSM(ストライキ中の炭坑労働者をサポートするゲイとレズビアンのグループ=Lesbians and Gays Support the Miners)を立ち上げ、募金活動を開始するが、彼らの援助を受け入れる炭坑労働者はほとんどない。1980年代、ゲイへの偏見は根深いものがあったからだ。それでもくじけず連絡するうちに、ディライスというウェールズの小さな炭坑の町が、マ...