ロレンス編集部
ゲロッパ!【1/100の映画評・番外編】君はジェームズ・ブラウンを知っているか?〜ファンクの帝王を映画化「ジェームズ・ブラウン 最高の魂を持つ男」
ゲロッパ!(Get Up)
ジェームズ・ブラウンといえばゲロッパ。ジェームズ・ブラウンといえばセックスマシーン。若い読者はわからないかもなっ。
(彼の代表曲『「Get Up (I Feel Like Being Like A) Sex Machine」』からきてるんだけど。聴いたことくらいはあるはずだ)
ジェームズ・ブラウン(以下JB)はファンクの帝王だ。R&B、ソウルの王と言ってもいい。
その歌声、キレのいいダンス(というよりステップ)、意味不明のアッとかウッという呼吸音というか掛け声というか、とにかく歌詞にはない声音にとびきりしびれるのだ。
全盛期といえるのは60-70年代だが、その...
ロレンス編集部
【1/100の映画評】To be frank with you, 非常に奇妙な映画なんだ、これが。仮面をかぶったミュージシャン『フランク』
心を病んだ天才が奏でる音楽は、大衆にとっては不協和音であったのか
主人公フランクは、音楽の優れた才能を持っている。
しかし、その才能はわかる人にしかわからない。
そして、彼は心に闇を抱えていて、幼少時から無表情なマスクをかぶったまま暮らしている。
そんなフランクに魅せられたバンドメンバー達もまた、どこか病んでいる。彼らは田舎の森の中の家に”リスのように”閉じこもって、レコーディングをしているが、いつになったら完成するか、彼ら自身もわかっていない。
そこに大きな成功を普通に求める、普通の青年がキーボードとしてバンドに加わったことから、物語は急展開を見せる。
青年はTwitterに日々の気分...
ロレンス編集部
【1/100の映画評】貴公子オーランド・ブルームが汚れ役に挑戦。南アの深い闇に挑む刑事たちを描く『ケープタウン』
本作の舞台は南アフリカの首都ケープタウンだ。麻薬組織と殺人事件を追う二人の刑事たちの戦いを描いているが、それだけではない。
本作の原題は「ZULU」。ZULUとはズールー族のことである。アパルトヘイトの傷跡がなかなか消えない南アフリカの、原住民族の一つだ。この原題を知るだけで、本作が単なるクライムサスペンスでないことがわかる。
『パイレーツ・オブ・カリビアン』や『ホビット』『リング』シリーズでは、海や森林の中で爽やかな美貌がひときわ光っていたオーランド・ブルームが、本作では無精髭に刺青、酒と女にだらしないアウトロー的な刑事ブライアンを演じている。
そして、主人公ブライアンの上司であり相棒...
ロレンス編集部
【1/100の映画評】マニアの心をくすぐるオムニバスアニメムービー『バットマンゴッサムナイト』
何を隠そう(隠してないが)僕はバットマンフリークである。特にティム・バートン監督のバットマン(1989年・1992年)とクリストファー・ノーラン監督のダークナイトシリーズ(2005年-2012年)には、どっぷりはまっている。
逆に言うとバートン-ノーランの間にあった数本はなかったことにしている。
アメコミヒーローでは、生まれついた超人たちや、突然変異で力を得たミュータント、あるいはサイボーグなどもいるが、バットマンとアイアンマンは自らの肉体を鍛えることや、自ら開発したテクノロジーによってヒーローとなったということで、他のヒーローたちと一線を画している。
そこが好きだ。
日米のトップアニメ...
ロレンス編集部
【1/100の映画評】国を守るために魂を悪魔に売り渡した男の哀しい伝説『ドラキュラZERO』
吸血鬼を題材にした映画は数多くある。有名な吸血鬼もまた多い。「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」のレスタト、「トワイライト」のエドワード、「アンダーワールド」のセリーン、「ブレイド」のブレイド、など、枚挙に事欠かない。しかし、その頂点に君臨する吸血鬼の中の吸血鬼、吸血鬼の王といえば、やはりドラキュラだ。
本作は、ドラキュラの誕生秘話をヒロイックに描いている。
もともとドラキュラは、アイルランドの小説家ブラム・ストーカーが記したホラー小説『ドラキュラ』(1897年)の主人公だ。モデルとされているのは、15世紀のワラキア(現在のルーマニア南部)の領主であったヴラド3世(ヴラド・ツェペシュ、...
ロレンス編集部
【1/100の映画評】野心と欲と、そして音楽。クリント・イーストウッドの『ジャージー・ボーイズ』
クリント・イーストウッドにハズレなし。
俳優としても、監督としても、痺れる作品に携わる能力はピカイチだ。
そのクリント・イーストウッドが音楽を題材に、映画を作った。しかも、ミュージカルを基にした映画だ。
本作『ジャージー・ボーイズ』はミュージカルではないが、「シェリー」や「君の瞳に恋してる」など、誰でも知っている名曲が短くてもワンコーラス以上、実際にスクリーンの中で俳優たちが歌い、パフォーマンスを行っている。本作の役者のほとんどは、ミュージカル版の『ジャージー・ボーイズ』を演じた舞台役者たちだ。
僕はミュージカルは苦手だが、本作は音楽を題材にして、音楽を多用しているが決してミュージカルで...
ロレンス編集部
【1/100の映画評】恋人同士では見ないほうがいい映画の五指に入ること間違いなしの『ゴーン・ガール』。
デビッド・フィンチャー監督が描く、理想の夫婦の愛憎劇
NYで理想的な出会いを果たした二人。ロマンティックな男と知性と美貌を併せ持つ女。
ニックとエイミーは電撃的に恋に落ち、結婚する。
ニックは男性誌の職業ライター。エイミーもまた文筆業に従事していたが、著名な小説家の娘として裕福な家の出だった。
『ゴーン・ガール』 (GONE GIRL) は、2012年発表のギリアン・フリンによる同名小説を基にしたアメリカ合衆国のミステリー/スリラー映画である。またフリンは脚本を担当している。監督はデヴィッド・フィンチャーが務め、ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、ニール・パトリック・ハリス、タイラー・...
ロレンス編集部
【1/100の映画評】ウディ・アレンの『ブルージャスミン』
『ブルージャスミン』。直訳すれば憂鬱なジャスミン、となる。
監督はウディ・アレン。主演は名女優ケイト・ブランシェット。彼女は本作でオスカーを手に入れることになった。
本作では、実際の栄誉とは真逆に、彼女が演じる主人公ジャスミンは、幸福の絶頂から転落した元セレブだ。NYで大成功を果たしていた実業家の夫は実は詐欺師であり、FBIに逮捕された挙句に自殺する。
息子は家を出て行方不明、ジャスミンはNYにいられなくなり、サンフランシスコの妹の元に身を寄せるが、セレブ時代の暮らしとのあまりの落差に精神のバランスを崩して虚言や独語を繰り返すようになる。
非常にストレスのたまる作品
そもそもジャスミンと...
ロレンス編集部
【1/100の映画評】自由を求めて流離う・・宇宙海賊『キャプテン・ハーロック』
原作を読んだのは中学生のときだ。
種の起源を異とする、植物から進化した異星人マゾーンの侵略に怯えるだけの人類。いや、怯えるというよりも、侵略されようとしていることさえ認めようとしない。面倒に向き合う気力さえないからだ。
そんな活力を失った人類に嫌気がさして、宇宙海賊として生きていくことを決意した男たち、それがキャプテン・ハーロックと仲間たちだ。
ハーロックたちにとって、マゾーンに人類が滅ぼされようが地球が侵略されようが知ったことではない。知ったことではないはずだった。
しかし、ハーロックには人類を、地球を見捨てられない理由がある。それは人類を守るために非業の死を遂げた親友トチロー。
彼が...
ロレンス編集部
【1/100の映画評】3組の男女の交錯。破滅願望と贖罪の物語・・『サード・パーソン』
『サード・パーソン』。直訳すれば、第三の人物、か。
出演者は、
リーアム・ニーソン(落ちぶれた小説家)
オリヴィア・ワイルド(リーアムの愛人であり小説家)
ミラ・クニス(実の子を殺そうとしたという罪を着せられた女)
ジェームズ・フランコ(その夫)
キム・ベイシンガー(小説家の元妻)
エイドリアン・ブロディ(バーで知り合った女に魅せられるビジネスマン)
と、非常に豪華だ。
3つのストーリーが淡々と進んでいく複雑な進行
売れなくなった小説家(リーアム・ニーソン)は、同じ小説家の年下の女性(オリヴィア・ワイルド)との不倫関係を二年も続けている。小説家は、再起を図って新しい著作に着手しているが...