45年くらい前のモトクロッサーのアルミタンク、40年ちかく前の市販車用フレーム、およそ20年前の450ccモトクロッサーエンジン、15年くらい前に大流行した230cc大衆車のフロントフォークなど様々な国産バイク部品・・・を、用法用量を厳しく守って正しく配し、本場アメリカ的なダートトラックレーシングエッセンスに1年ちょっとドップリと漬け込みますと・・・元AFTチャンピオンもアチラ製と見紛うチョー本格マシンの完成です!しかもちゃんとそれらしく走るって話(当たり前?)。

6歳から走ってる若者が企画したこちらの本格派、その名も"FTR450R"。

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。父上に連れられ小学1年からダートトラックを走り出し、今年26歳になるらしいので文字通り20年選手の駒崎マサヒロ選手・・・成人体型になってからは250ccのDTX、スズキC&J450、250/400cc国産フレーマーといった様々な機種にゴリゴリ親しみ、アメリカ中西部のローカルレースに幾度かウルルンホームステイ的遠征もしているチョー経験豊富な青年なんですが、1年ちょっと前?に中古の450cc水冷モトクロッサーエンジンを手に入れて、なにやら秘密裏に計画を練って、ゴソゴソと水面下で製作していたようです。というか元々ウチにあったエンジン (ミシガン出身の元AFTチャンピオンが乗っていた450ccフレーマーから降ろした個体) なので筆者はなんとなく?知ってたんですけどね。

画像1: 6歳から走ってる若者が企画したこちらの本格派、その名も"FTR450R"。

ものすごく淡白に解説すると、公道用市販車として1986年2月に発売されたホンダFTR250のメインフレームに、水冷4ストロークモトクロッサーのCRF450Rエンジン (初期型キャブレター年式) を積んだ車両、なんですけど・・・あ、いま同じフレームやエンジンをお手持ちの方とか、俺にもできるかも!なんてニヤリとしちゃいました?いきおいヤフオクだかメルカリでパーツ検索を始めたりして?

画像2: 6歳から走ってる若者が企画したこちらの本格派、その名も"FTR450R"。

いやしかし事実は小説より奇なり?でそう簡単でもなさそうです。こちらは今年の年明けあたりの写真なんですけど、まぁまぁ希少?で今じゃボロでも新車なみの中古価格で流通しているFTR250、の程度の良さそうな純正フレーム (剛性を落とすために肉薄パイプで構成され、当時のトライアル競技車より軽い!) を潔くバッサリとカットしまくり、ヘッドパイプとスイングアームピボット部分およびその位置関係のみを残してあとはゴミ箱へ。おそらくこうでもしないとエンジンがフレーム内に収まらないんですが、イチからフレーム作ったほうが簡単じゃない?という声すら聞こえてきそう。

まぁ実際のところ、この物件ではちっとも採用していませんがFTR250の純正トリプルクランプとかスイングアームをそのまま使うこともできるし、なにもないゼロから骨格を作り始めるよりははるかに目標値を設定したりイメージしやすいんだとは思うんですけどね。とはいえ治具 (英語ではjigです) とか色々必要だろうし、なかなか高度なミッションであることは疑う余地もありません。

画像: ほらやっぱりフレーム内に全然エンジン収まらないしキック回らないしこのまま進めてもラジエターとエキゾーストポートが干渉しそうだし。でもきっと青年はちっとも途方に暮れたりしないで逆に燃えたはず、の図。

ほらやっぱりフレーム内に全然エンジン収まらないしキック回らないしこのまま進めてもラジエターとエキゾーストポートが干渉しそうだし。でもきっと青年はちっとも途方に暮れたりしないで逆に燃えたはず、の図。

ローリングシャシーがすでにもうメイカー品とは異次元の仕上がりですもの

といった試行錯誤?を経てエンジン未搭載で転がせる状態の "ローリングシャシー" が立ち上がっていくわけですが、スイングアームはおそらく他車流用で (完全な新造ではないらしい) フレーマーらしい細く華奢な角パイプのものに換装され、シートレールもおそらく乗り手お好みのFRP製テールセクションにピッチリ合わせて造形。

画像: ローリングシャシーがすでにもうメイカー品とは異次元の仕上がりですもの

リアショックは筆者がデータ取りをサスペンションメイカーに依頼して独自に製作した、ウチのC&J450についてるアメリカ製ショックのレプリカ品 (リモートリザーバーありとなし2本作って、前者は他の㊙製作案件にて使用準備中) 。自分用に使おうと思って作ったんですが、モタモタしてたらどちらも仲間たちに持っていかれましたよ・・・。リアショックの取り付けはスイングアームへの補強を介したカンチレバー (片持ち) 式で、トリプルクランプと前後クイックチェンジホイールは詳しく聞いてないけど多分無限MFT用。もはやどこがFTRなんだ?と言われるとアレですけど、まぁフレームなんて素材のひとつですからね。

無塗装ストリップ状態の佇まいがもうなんと申しますか、正調レーシングマシンの雰囲気です。前輪とフレーム前端の距離感とか、スイングアームの絶妙な細さ短さとか、ちゃーんとわかってるヒトが絵を描いた感じが満ち満ちております。孤独のグルメの井之頭五郎さんじゃないですけど "こういうのでいいんだよこういうので" とでも唸りたくなりますなぁ。

全米王者が彼の地メリケン製と見紛うスキのない仕上がり!完全優勝だろ!

画像: 全米王者が彼の地メリケン製と見紛うスキのない仕上がり!完全優勝だろ!

完成して持ち主がSNSにこちらの写真を上げた途端、元全米チャンピオンのブラッド・ベイカーが "イカしてるね!初期のJ&Mフレーマーかい?" なーんてコメントしてらして、おそらく駒崎一家的にはかなり詳しく参考にした元ネタなんじゃないかと思うんですけど、本場の第一人者にもパっと見で見分けがつかない?くらいの完成度ってなかなかにエグいですよねー。走らせても相当良くって、450ccのDTXにいい具合で襲いかかれるレベルの車体にすでに仕上がってるらしいですよ。いいね!

似たような素材を用意できたりすでにお手持ちの方、アレコレ好みに合わせてこんな作品を作ってみるなどいかがでしょうか?DTXのほうがメインテナンスは容易だしカッチリとソリッドな乗り味だしサスペンションセッティングの幅なんかも広いし、やや見た目の訴求力には劣るとて比較的入手しやすい現代のマシンって感じですけど、やはりフレーマーの持つ "得体の知れないトラクション性能" ってね、実際乗ると分かりますけど素晴らしいものがありますよ。

ココは自分ならそう作らないなーってところが2つほどあるんですけど、だったらオノレでやれって話ですね。アルミタンクもフレームも同じの持ってるし、ホイールや三つ又もワンサカ在庫があるんで・・・今回の記事でフレーマーの価値を高めておいて、高値で売りさばこうと思います!嘘です!

ではまた次週、金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

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