よーいドン!でスタートしてイチバンを目指す以上、目の前のライバルにどうやって仕掛けて抜くかは (考えるにせよ感じるにせよ) 常にフラットトラックレースでのライディングの重要なパートを占めますが、6台 x 3列スタートのさらに後方、4列目ペナルティラインから発進して1周30秒足らずのハーフマイル級TTトラック・25周の決勝で自分以外の17人全員抜いて優勝!ってどれだけ凄いんでしょう?それも実力伯仲の世界最高峰・全米プロ選手権での伝説的なエピソード、ですよ。

まずはスタートで前列6人のうち最低半分以上食ってターン1に飛び込むか

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。時遡ること21年前の2002年イリノイ州ピオリア、第二次世界大戦直後から毎年1戦、5/8マイルTTレース開催の続く由緒正しきレーストラックで、このにわかには信じ難い逸話は生まれました。

画像: まずはスタートで前列6人のうち最低半分以上食ってターン1に飛び込むか

25周の決勝で1列目スタートのはずだったライダーがジャンプスタート (フライング) の反則で6台 x 3列のさらに後方、最後尾ペナルティラインからスタートすることになります。前には17人。すぐ目の前の3列目スタートグリッドですら5メートル以上先です。1周30秒以下 (今年のAFT・2気筒クラスの決勝中ベストラップが26.169秒) のトラックですから、想定されるレース時間はおよそ12分前後。

まずはスタートダッシュで前列6台のできれば全員・最低でも半数を抜き、75m先のターン1に12番手+くらいで飛び込めれば・・・あとは2周に1人ちょっとのペースでコンスタントに前走者を仕留め続ければ・・・もちろんタイムは毎周ファステスト・ラップを出すくらいの凡ミス一切なしの高次元の走りで・・・言うは簡単ですけどこれ相当な集中力と胆力が必要ですよ。

もしも12周とか15周のレースだったら伝説は生まれなかったのかも?

しかしそれをやってのけたのが当時イケイケどんどん若手筆頭で全米ダートトラックコミュニティ期待の★、レースナンバー69、motoGP参戦を始める前年のニコラス・パトリック・ヘイデンというライダーでした。

画像1: もしも12周とか15周のレースだったら伝説は生まれなかったのかも?

13年連続でこの伝統のピオリアTTで勝ち星を上げ、"プリンス・オブ・ピオリア" の異名をとった鉄人クリス・カーを22周目のターン2で捉え、2位に上がったニッキー・・・2周で1人抜く以上のペースです・・・、ホワイトフラッグが掲示された最終ラップのターン1、インサイドのレコードライン (浮き砂が弾き飛ばされタイヤラバーが表面にこびりついたグリップレベルの高い路面) を確実に走る暫定首位の33・J.R.シュナベルに対し、ザクザクに荒れた大外のゾーンへオーバースピード気味に進入して並ぶと、立ち上がりのターン2で見事抜き去り、そのままトップチェッカーを受けて優勝したのでした!

25周フォーマットのレースだったからこそなし得た快挙、だったのかもしれませんが、さらに短い15周とかだったらどんな戦略で走ったのか、自分に置き換えて?シミュレーションしてみるのも面白いかもしれません。

2002年といえばYouTube誕生以前、ライブ配信なども当然ない時代のレースなので、今この伝説の1戦の映像を皆さんにご紹介できないのは大変残念なのですが、当時筆者はどんな方法だったか全く覚えてないんですが、ニュース映像かなにか?を観ることができたんです。ラッキーだったなー。

画像2: もしも12周とか15周のレースだったら伝説は生まれなかったのかも?

今シーズンのピオリアTTはつい先日7月30日に開催され、ニッキーの遺志を継ぐ同郷ケンタッキーの雄、J.D.ビーチ (ヤマハ) が今期TT戦2連勝。ランキングはミース (インディアン) ・ダニエルズ (ヤマハ) ・バウマン (KTM) ・ビーチ (ヤマハ) とジェネレーションもスタイルもメイカーも異なる4人のライダーによる上位争いが残り4戦、シーズン終盤に向けて猛烈に加速しています。

ではまた次週、金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

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