モーターサイクルと四輪 (特にレースカーのような速いやつ) をこよなく愛した映画スター、スティーブ・マックイーンの膨大なコレクションの中に、近所にコーヒー飲みに行ったりちょっとブラつく用として2ストローク100ccのちっちゃなストリートトラッカーがあったことは、一部のマニアを除けばおそらくあまり知られていません。メイカーがプロモーションのため彼に贈った "ベイビーグリーンストリーク = 緑の稲妻 (小) " は、アマチュアダートトラック・スクランブルレース界でビギナークラスのゲームチェンジャーとして、1970年ごろの表彰台を大いに賑わせた存在だったのです。

タンクを塗り替え"リンガディングドゥ!"と名付けられたカスタムマシン

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。マックイーンといえば、当時としては軽量ハイパワーなトライアンフとかハスクバーナ、あるいはホンダ・エルシノアのイメージがとても強いですが (すごいぞ映像の力!) 、映画撮影現場のバックヤードやプライベートでは、さらにちっちゃな軽量級モーターサイクル・・・ホンダ・スーパーカブや、今日ご紹介するカワサキ・G31Mセンチュリオンなども扱いやすく大のお気に入りだったようです。

画像: タンクを塗り替え"リンガディングドゥ!"と名付けられたカスタムマシン

前後ノビータイヤ (ブロックパターン) を履き、マックイーンの最も好んだと言われる競技スタイル・・・デザートレーサー風にカスタムされたこのマシン、ライムグリーンからオレンジに再塗装され、ピンストライプとレタリングを施されたフューエルタンクは、著名なアーティスト "Von Dutch" ことケニー・ハワードの作品だそうです。 $560で市販されたカワサキ・G31Mセンチュリオン、彼の死後2007年にオークションにかけられたこの個体の落札価格は・・・$55,575(≒¥6,389,300)!うっへー。

たったの!$560!18.5馬力!80kg!ビギナーを喜ばせる好パッケージ

ムービースターのプライベートコレクションについての深掘りは熱狂的なマニアの方々にお任せすることにして (・・・ダートトラック愛好家より実は多数派だったり?) 、我々はこのG31Mセンチュリオンというモデル、カワサキが生んだ市販ダートトラックマシン!?のリサーチを続けましょう。

画像1: たったの!$560!18.5馬力!80kg!ビギナーを喜ばせる好パッケージ

G31Mセンチュリオンが1970〜71年ごろ、ごくごく短期間とはいえ全米各地のローカルレース・アマチュア100ccクラスを席巻したのは、最高級のサスペンションや洗練されたハンドリング、優れた血統によるものではありませんでした。そのころまで同クラスで人気だった日本製のホダカなどに比べ、およそ2倍となる最高出力と、価格・車両重量のバランスが、レースビギナーにとって好適でまた手の届きやすいものだったことが一番の理由だと言えるでしょう。

画像: ローカル・ハーフマイル100ccアマチュアクラスの模様。G31Mセンチュリオンばっかり。

ローカル・ハーフマイル100ccアマチュアクラスの模様。G31Mセンチュリオンばっかり。

画像2: たったの!$560!18.5馬力!80kg!ビギナーを喜ばせる好パッケージ

目を惹くロータリーディスクバルブ式の2ストロークエンジン、前後細身の18インチユニバーサルタイヤなどディテールはしっかりオールドタイマーの雰囲気ではありますが、軽さと高出力、さらに価格とのマッチングも合わせて、そうそう、こんなのがあると良いよね!を存分に匂わせる好パッケージだと言えます。

画像3: たったの!$560!18.5馬力!80kg!ビギナーを喜ばせる好パッケージ

1960年創業マルチパーパス・ミニバイクフレームKITでお馴染み、VanTech社製ローラーシャシーに搭載された、さらに戦闘力ありげなこんな素敵な個体も現存しています。もし今日このようなパッケージを再現するとしたら、エンジンを始め各所どんな組み合わせが考えられるでしょうね?しかしやはりアレもコレもとゼロから作り出しちゃうと最大のネックはコストなんだよな・・・。うーむ。

なにも結論は導き出せませんでしたが今回はこのへんで。
ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

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