繰り返される出力規制!インディアンの快進撃はいつの日か止まるのか?
WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。2021シーズンの終幕とともに、来年以降改訂されるレギュレーションが順次公開され始めたAFT = 全米プロダートトラック選手権。2017年の登場以来、ほぼ敵なしの状況が続くインディアンFTR750をめぐるマシンレギュレーションの網はシーズンを追う毎に細かく厳しいものとなっています。
来期からはエンジン回転マス = 純正フライホイールへの追加工・重量増の禁止、ECU (エンジンコントロールユニット) についての仕様変更不可・エンジン最高回転数の抑制、さらにフューエルインジェクション・スロットルボディの口径を不自然なほど絞って、"安全のためレースの際限なき高速化を抑える" という大義名分のもと、一律に大幅なパフォーマンスダウンを狙う施策がインディアン勢を狙い撃ちにして行われます。
レース現場での実際的で充実したコンペティションの内容より、テレビ放映の生中継時間帯と尺を優先し、トップカテゴリーの台数をフルグリッド18台程度に制限することで、スケジュール管理のより難しくなる複数組の予選を行わなずに進行する構成が、どうやら思いっきり裏目と出て、トップカテゴリー "スーパーツインズ" はもとより、サポートクラスである "プロダクションツインズ" クラスのエントリー数も激減。なかでも各チームの遠征距離が伸びるシーズン後半の西海岸ラウンドへの参加台数たるや、惨憺たるものなのです。
来期は市販改マシン上位数台に "スーパーツインズへの挑戦権" を与える?
過去数年、このような "不幸な分断" によってなんとなく?停滞してきた当地のお家事情ですが、ここにきてAFTは、再来年2023シーズンからスーパーツインズとプロダクションツインズという2つの2気筒カテゴリーを統合。今期のデータではハーフマイル戦 (1周800m) のラップタイムで1秒近くのギャップがある両クラスを混走させるための第1段階として、来期2022シーズンはプロダクションツインズ決勝の上位4台を、"スーパーツインズチャレンジ" と称して、トップカテゴリーのファイナルレースに出走させる取り組みを計画しているようです。
最高速の差もさることながら、決勝周回数 (単位時間 + 1周というルールです) も異なる両クラスのパフォーマンスを将来的にどのように合致させていくのか、本場最高峰・AFTの手腕が試される、まさにチャレンジングな数年間になることが容易に想像され、(ここ2年主催レースをお休み中ではありますが) 筆者ハヤシ的にはレースの内容と同じくらい興味津々です。
(マシンの) レギュレーション、(競技の) ルール、(レースの) フォーマット。3つのワードは似たようなイメージでなんとなく合意が得られていれば良さげにも思えますが (堅苦しいのは嫌い・文字を読むのは嫌い・約束事を守るのは嫌い、という御仁も実は少なくありません) 、出場者誰に対しても公正でクリアで、真に強いものだけが勝利を手にすることのできる "競争大会" を長期に渡って継続的に開こうと考えるのならば、これらのデザイン・コンストラクションに手を抜くべきではないのです。
市販改なはずのハーレーXGがトップカテゴリーのみに参加可能の不思議?
また、昨シーズンのスーパーツインズクラスに3名を出走させインディアンの牙城に挑みながら、鳴かず飛ばずのままレース活動をストップすることになった、ハーレーダビッドソンファクトリーの次世代マシン "XG750R" は、そもそも市販モデル・ストリート750改 (エンジンのみ使用) として認知されていましたが、ファクトリー解散後の同モデルの扱いはとってもグレイ?で、今期は有力プライベートチームが数名を両カテゴリーに出走させていましたが、2022シーズンは正式にレース専用マシンとしての扱いで、スーパーツインズクラスのみに参加可能となるようです。
ひと昔まえに活躍したドゥカティ・マイラーや、トップスピードでハーレーXR750を凌駕したカワサキER650とイメージの上で比較しても、どうもまだまだXGにはインディアンと互角に戦える印象まではありませんが・・・近い将来レギュレーションの改訂とパフォーマンスの調整で新たに勢力図が塗り替えられることになるのかどうか?これからも見守っていきたいと思います。
ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!