つい先日、最後に街乗りして以来15年ぶりに、ナンバー付きの2輪車を買いました。(レース用) ナンバープレートのついてるマシンはその間おそらく20台ちかく乗り換え&増車してますが、(公道用の) ライセンスプレート付きはチョー久々。手に入れたのは1958年の初代スーパーカブに良く似せた、タイホンダ製のC125というモデル。今回は筆者が、ほぼ現行最新型のこちらのマシンを自腹にて新車購入!から純ダートトラッカー的視点で忖度なしのインプレッションをお届けしようと思います。

キーレス・インジェクション・フルLEDの超豪華"NEWスタンダード"?

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。10年ほど前から世界中の2輪4輪メイカーで流行中の "リバイバル・デザイン" ・・・過去の優れたモデルにフォルムや製品コンセプトをふたたび求め、アレンジする手法・・・を採用し、過剰とも見える現代的装備を各所に取り入れた "C125スーパーカブ" 。歴代シリーズを愛する人たちからは賛否両論あるみたいですが、丁寧に織り上げられたそのデザインは、上質で好ましい感じに思えます。

画像: 元ネタの初代C100が登場する1963年の有名な日本映画のスチル写真。相当高度に雰囲気寄せてます。

元ネタの初代C100が登場する1963年の有名な日本映画のスチル写真。相当高度に雰囲気寄せてます。

キーレス・・・というか運転者のポケットに入ってればエンジン始動可能なスマートキー・・・を採用してるので鍵穴がありません。ハンドルロックもシート開閉も電気仕掛けなので、もしかしてバッテリーが死んだらなにもできなくなるのかな?セキュリティアラームとかアンサーバック機能とかもついてて慣れると便利・・・なのだと思います。説明書よく読まないとキーっ!てなりますけど。

画像1: キーレス・インジェクション・フルLEDの超豪華"NEWスタンダード"?

ホンダ製としては最大排気量の125cc・4速遠心クラッチ仕様の横型エンジンは、当然ながら?時代に即した現代的なフューエルインジェクション + セルスタート式。キックスターターの付いてないオートバイに乗るの自体だいぶ久々なんですけど・・・。各ギアの変速ショックはちょっと恐ろしいほどスムーズで、カブらしいメカニカルな "ガチャンガチャン感" 一切なし。まるでVベルトのスクーターかのようにシュルシュルと加速し、シフトペダルちょい踏みでの半クラッチも操作感よく、シフトダウン多用して交通の流れを思い切りよくリードできます。お前さんホントにカブか?みたいな。

画像2: キーレス・インジェクション・フルLEDの超豪華"NEWスタンダード"?

ウィンカーもヘッドライトも灯火類はすべてLED。フロントブレーキは油圧ディスク式で半デジタルメーターにはシフトインジケーターやら燃料計まで装備。今やストリート用のオートバイってみんなこんな感じなんですか?ちょっとした浦島太郎状態だなぁ。最近は左右両方バックミラーついてないと怒られるんですってね?

画像3: キーレス・インジェクション・フルLEDの超豪華"NEWスタンダード"?

カブってこんな感じだっけ?まるでナンバー付きの"ヒャク"みたいだけど?

毎週ダートトラックの話題づくしでお届けしている当コラム、個人的に買ったストリート・コミューターがなぜ登場するのか?といえば、それは全く想定外で新感覚だったコイツの乗り味のせいです。

スーパーカブシリーズ独特のフロント・ボトムリンクサスペンションでなく、一般的なテレスコピック・フォークを採用 (郵政カブは昔からこっちです) したことや、このモデルの特徴のひとつでもある前後1.85幅のアルミキャストホイール (チューブレスタイヤ仕様でパンク修理もらくちん) の生み出す効果なのか、C125の乗り味は過去モデルよりだいぶ硬く、路面状況からのキックバックも多めで "運転してる感" を強く印象づけます。うーん、このハンドリングとドライブフィール、なにかと良く似たような・・・???

ものすごくニッチなところで、乗ったことある人にしか伝わらない可能性も極めて大ですが、C125の乗り味は、前後17インチのダートトラックレーシングタイヤを履いた、小排気量オフロードバイク・・・良く知られるところのいわゆるCRF100F = "ヒャク" 的なもの・・・に酷似、というか瓜二つです。これには正直驚きました。こんなのカブじゃない!みたいな。良い意味での裏切りです。

画像1: カブってこんな感じだっけ?まるでナンバー付きの"ヒャク"みたいだけど?

だからといっていきなり未舗装路に突っ込んでいきたいとかじゃないんですが、前後タイヤからの適度な情報量とか車体バランス、ニュートラルな乗車ポジションなどなど、ストリートの日常を走る中で小さめダートトラッカーと限りなく近い操作感をここまで自然に得ることができるというのは、他にはない希有な存在だと言えるように思います。

"ヒャク" と同系統のエンジンで、12インチサイズのミニバイクだとか、安価で手に入れることができダートトラック入門マシンにも最適な230ccクラスのストリートバイクなどもありますが、あれらは多分、気持ち的にカブより頑張って乗っちゃうのでもしかすると免許も危うい (!) し、街中でスポーツごっこ、というあたりがちょっと日常からはみ出しちゃうかなぁ。ストリートでのハンドリングはC125のほうが、圧倒的にダートトラック的、なんです。ちょっとうまく説明できませんけど。

画像2: カブってこんな感じだっけ?まるでナンバー付きの"ヒャク"みたいだけど?

カスタムしたい?これでオーバル走りたい?そんな気持ちはわりとなし!?

スーパーカブと言ったら荷台に箱くくりつけるとか、ハンドル周りにスマホホルダーだの外部電源だの付けるとか、あるいは軽くて音の良いマフラー交換するとか・・・弄り方楽しみ方はそれぞれですが、筆者は当面このまんま、なにも手を加えず静かに乗り回していこうかな、と考えています。デザインが秀逸だからとかキープコンセプト重視とかって小難しいことじゃなく、素のままなら街中でも匿名の、風景の一部で居続けられるのが、カブの一番面白いところのひとつかな、と思うからです。

ノーマルなら夜中に家の前でエンジンかけたって、ああいつもより早く新聞屋が来たのかな?くらいで多分誰も気にしませんからね。気づかれずに背後に回りこむことだって可能でしょう (誰の?) 。

画像: 近所の八百屋のオヤジはウチの店の汚い行灯カブと交換してくれといつも言います。いやなこった笑

近所の八百屋のオヤジはウチの店の汚い行灯カブと交換してくれといつも言います。いやなこった笑

このC125でオーバルトラックを走りたいかと言われると・・・エンジンが元気なので多分そこそこ面白くはなると思うんですけどね・・・フットステップが固定式なのでフルバンクしたら間違いなく引っ掛けてリアタイヤ浮いてしまうし、それじゃあステップ変えてアレしてコレして・・・本体価格40万円のこの車両にさらにお金かけて手を加えて・・・ってのはちょっと違うかなぁという印象。

同じ金額を用意して探せば450ccの中古DTXでも、125ccの新車ミニダートトラッカーでも手に入るし、なんでもカブでやるのが最高だ!みたいなメンタリティは、とことんスポーツに没入するには実はあまり向かないのではないかと。100%否定はしませんけど、2人以上同じ気概のライダーが集わなければ公正な競技になりませんからね。別にね、野獣のように乗りこなすのも難しい450ccに扱い切れる軽快なカブで勝っても偉くもなんともないです。やはりクラス分けって重要なんだよなぁ。

トコトコ走る近所のオッサン、かと思ったらS・マックイーン。これくらい自然な感じがいいなー。

2020年モデル・スーパーカブC125のダートトラッカー的◎とX

C125の2020年モデル、4速125ccエンジンはクラス的には必要十分にパワフルで、2速で思い切り引っ張れば街中でも法定速度の外側まで多分行っちゃえるような絶妙のギア比です。筆者が購入後、2021年モデルには標準でABSがついたり、エンジンもロングストローク化と高圧縮化がなされて出力と燃費が向上してるらしいですがお値段もちょっぴりUP。 COVID-19禍の影響でタイからの入荷が遅くなりそう、とのことで探しに探して国内最後の旧年式在庫を買ったんですが結果オーライ。

デザイン良。喧々諤々の賛否両論は歴代スーパーカブユーザーとかホンダフリークだけからの話で、街の声としてはピカピカの単なる原付としか見られていない。だがそれがいちばん良いところ。

カブなんて所詮こんなもん、を値段もパフォーマンスも最高レベルで実現した恐ろしい逸品。結果ダートトラッカーにそっくりな、これまでのカブとまるで違う乗り物になっているのも大変愉快。

このエンジンで (12インチのグロムとかじゃない) 本気系のプレイバイクが発売されたらなぁ・・・オン&オフ問わず色々遊べて楽しいかもしれない。きっとそんなの出ないでしょうけど。ね。

物理キーがついてないのって防犯的にどうなの?って心配がどうしても拭い去れない・・・。Xは今のところそれくらい、ですかね。大満足です。忖度なしに。

画像: You Meet the Nicest People on a Honda youtu.be

You Meet the Nicest People on a Honda

youtu.be

モーターサイクルってきっともっと、いろいろな楽しみ方が見つかりますよ。
ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

画像: 2020年モデル・スーパーカブC125のダートトラッカー的◎とX
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