既存モトクロッサーの骨格に高出力モーターの組み合わせはリアルかも?
WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。つい先日、宮城県で開催された全日本モトクロス選手権第4戦の決勝日、ホンダと無限が共同開発中とされる試作電動モトクロッサー "E-REX" が、増田一将選手のライドでデモンストレーション走行を行いました。
250ccクラスの現行モトクロッサーに近いパワーはすでに得ているというウワサのこちらのプロトタイプマシンですが (車体は既存のCRF250Rから基本コンポーネンツを流用?) 、まるでドローンかラジコンみたいにモーター音だけを響かせて疾走する様子は、内燃機モーターサイクルに長年慣れ親しんだ人々・・・特にバーボーバーボー大音量を発するレーシングマシンが特にお好みの?我々ダートトラッカーには、まだちょっと奇異というかだいぶ見慣れない感じではありますが、ある種の現実的な解として、これから徐々に浸透していくのかもしれません。
前後19インチのダートトラックコンペティションタイヤを履いて、短いサスペンションにモディファイしたDTXを200mとかのショートトラックで走らせてみたら・・・その真価を窺い知るのにピッタリなんですけどねー。早く観てみたいなあ。
と思ったらハーレーに食われた?アルタ・モータースが既にやってました!
2009年創業の2輪EVメイカー、アルタ・モータースは、2016年に電動オフロードバイク "レッド・シフト" の生産を開始しています。同社の興亡はこちらの記事をご参照いただくこととして・・・
残念な事に2018年には事業を停止することとなったアルタ・モータースですが、いずれも注目度の高い人気イベントであるレッドブル・ストレート・リズムやエルズベルグ・ロデオへの初参戦と並行して、ローカルショートトラックレースにDTX化したスペシャルマシンを持ち込み、その活動の幅と深度を増す試みがなされていました。まだまだ貴重な電動モーターサイクルによるダートトラックレースシーン、是非ご覧ください。ライダーはAFTプロライダー、ジェームズ・モナコらです。
モーター駆動特有のパワーフィールにより、トラクションを常に維持する面で独特の難しさがあるようですが、このパフォーマンスならもしかして勝負になるかも?と思わせてくれますよね。昨今の "にわかトラッカースタイル" の全世界的な流行の兆し (全然否定しません!むしろ大歓迎です) に乗じて、第2・第3のメイカーがこのような "戦える" マシンを発表することにも期待が持てるかも?
"ほぼ無音" はやたら騒々しい原始的スポーツにとって飛躍の鍵となる?
スロットル全開⇄全閉をひたすら繰り返し、限られたエリアを延々周回し続けるダートトラックレーシングは、他の2輪レースカテゴリーと比べても圧倒的に騒音問題の元凶となりうる悲しい定めを背負っていますが、その点排気音を生まない電動モーターサイクルは大きなアドバンテージを持っています。たとえば都市中心部などでの走行も条件次第では不可能ではないでしょう。
とはいえさっと思いつくだけでも課題も少なくはないでしょう。路面との摩擦から生じるスキール音や埃対策も必要ですし、参加する全車が電動でなければその利点は生かせません。パワーありげなハイスペックマシンを選ぶ場合、価格帯もそうそうお安いものではないのかもしれません。
しかしまぁ、遠出のしづらい閉塞感のある今日的状況から脱するひとつの手段としても、近い将来音を気にせず乗れる (かもしれない) 乗り物でこのスポーツを続けられる選択肢が増えることは、新たな希望を感じさせてくれます。個人的には今出たら欲しくなっちゃうかも?
古き良き伝統のスタイルを継承する意義とともに、"新しい風" を逃すことなく捉えて前進する力へと変えていけるよう、心身ともに柔軟な姿勢を可能な限り維持していきたいものです。
ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!
とりあえず我が家は "電動貯金" 開始でーす (気が早い) 。