COVID-19感染拡大の影響化でそれやる?やっちゃうの?のオンパレード!
WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。と言っても昨年は、件のCOVID-19禍への対応として、競技者・レーススタッフ・関係者の身体の安全と感染拡大防止を徹底するため、一切のレース・イベント主催を取り行わないことと決め、いわば当シリーズにとってはハッキリと "不作の年" となりました。現時点では2021年春からも、新シーズンを通常通り開催することは未だ困難と考えざるを得ないでしょう。
個人的には昨冬、我が家に第二子が誕生したこともあってあれやこれやと忙しくなり、実はかれこれ14ヶ月くらい?レースバイクそのものに全く乗ってないんですが、まぁ一度身に付けたスポーツのスキルと感覚は、そう簡単にゼロまで失われることもないはずですからね、ある意味では機が熟すまで、鉄スリッパ磨いてマシン仕上げて・・・まだその時間が取れてないのが次の問題なんですけど・・・今はチャンスを窺う時と捉えれば良いかな?と思っています。
さて本日の話題は欧米へ。昨年はヨーロッパとアメリカで、それぞれ真新しいレース・トピックがありました。折からの各地の感染拡大状況のもと、関係者にとって取り組むのに大きな困難があったことは間違いありませんが、どちらもイマイチ?将来のビジョンが明確でないというか・・それでいいの?と首を傾げたくなる印象で、善しにつけ悪しにつけ気になる潮目ではあります。
競技の本丸アメリカのプロたちが参戦しない"世界選手権"てどうなのソレ?
昨年4月、COVID-19への感染対策として #RidersAtHome を提唱したFIM: 国際モーターサイクリズム連盟。実は2020年シーズンから、6〜10月の間で全4戦の日程が組まれた "FIMフラットトラック世界選手権" が鳴り物入りでスタートする計画でした。
結果としては欧州全土での感染拡大のため、当初予定のドイツ・フランス戦がキャンセルとなって10月にチェコ・イタリアでの2戦のみ行われることとなり、しかもイタリア・ラウンドは直前にショートトラックからTT戦へとレースフォーマットが変更されるなど、大会運営は混乱を極めます。
我が国からは大森雅俊・岡田秀之という2人のライダーがこのシリーズに参加していますが、海外への移動に厳しい制限の課せられた今シーズンを異国で過ごし戦うことが、日本人選手にとってそれ自体が極端なハンディキャップとなったであろうことは想像に難くありません。
こちらは第2戦にしてファイナル・ラウンド、イタリアでのTT戦のダイジェスト。ホンダCRF450Rを駆るナンバー70、大森選手の姿もあります。レースフォーマットは4回のヒートレースを走った総合ポイントで8名の決勝進出者が決まる?というダートトラックレーシングの定石を外した謎仕様。FIMのもうひとつのオーバル競技、スピードウェイ・カテゴリーに準ずる形式っぽいんですが・・?
また仰々しく世界選手権と銘打つものの、そこにはこのスポーツの本場本丸であるアメリカのプロライダーの姿は全く見当たりません。アメリカ国内で行われる全米選手権: AFTのシーズン中ということもありますが、このFIMシリーズ、どうやらヨーロッパ以外の選手を広く受け入れるウェルカム・スタンスは、そもそも検討の俎上にすら上っていないようです。
モータースポーツに限らず各種プロスポーツには "スポーツ国籍" という概念があって、国を跨いで複数の競技団体へ同時に籍を置きながら、横断的に活動する事を認めていないケースが実は一般的。FIM・AMA (AFT) ・日本でいうなら一応MFJ?の競技ライセンスを同時に保有し、1シーズンの中でアッチ・コッチ・ソッチと参加することはおおっぴらにはできない・・みたいです。都度ごと煩雑な転籍手続きが必要で、しっかりその手数料?もかかるとかね・・・もはや何のためのシステムだかわかりませんけど?
motoGPの雄マルク・マルケスらが、アメリカから招いたブラッド・ベイカー、ジャレッド・ミース、あるいは世界屈指のベタ寝かしスライド王・大森雅俊と真剣勝負を繰り広げ、世界に鮮烈な印象を残したスペイン・バルセロナでの年に一度のイベントレースかつての "スーパープレスティジオ・ダートトラック" と比較しても、"百獣の王を決める頂上決戦感" は今はまだ希薄と感じられます。
motoGP劣化コピーを目指す"銭ゲバAFT"は古き良き伝統を全力破壊中?
昨年末の当コラムではハーレーダビッドソン・ファクトリーチームの全米選手権からの撤退をお伝えしました。長年に渡ってこの競技の中心に位置し、たとえ一人相撲と揶揄されても伝統を護り発展に寄与してきた大メイカーにとってすら、現在の不景気とCOVID-19の災禍がもたらす世界的なインパクトもさることながら、あるいはAFT最高峰シリーズの現在目指す方向性からも、厳しい再挑戦に値するものではない、という判断だったのかもしれません。
元々1990年代初めからトライアンフUSAの運営に携わっていたイギリス人CEOのもと、motoGP的なプレミアム感満載の "高貴なレースシリーズ" への変革を目指す途上のAFTですが、長く走り続ける古株の関係者たち、ライダー・チューナー・チームにとって目下最大の悩みどころは、新たなフォーマットで戦い続けるうえでのエントリー・コストの際限なき高騰です。
AFTのプレス向けプロモーション資料には様々な数字と景気の良い売り文句が並びますが、1シーズン1ライダーが最高峰プレミアクラスに継続参戦するための費用は、実態として4〜5万ドルほど必要なんだとか。マシンのランニングコスト、チームの運営費用や経費などはもちろん除いた、レースの会場にエントラントとして立つためのコストが、です。AFT以前は1/10だったらしいですけどね。
また、通年固定のメンバーによって競われる最高峰プレミアクラス、スーパーツインズの席数はレギュラートップライダー18人 + ワイルドカードの数人のみですが、そこから洩れてシート (と職) を失うライダーも当然出始めています。このシーズンオフにも、ある有力ライダーが継続参戦を断念するかどうか、という瀬戸際に立たされている話などがちらり耳に入ってきます。嗚呼なんて残念な。
断絶と破壊への反動から新しいなにかが生まれると良いですけどね・・・
ヨーロッパとアメリカがそれぞれ違う方角を目指して走り出した昨シーズン、アジアの小国はどちらも蚊帳の外気味・・・というのは言い過ぎかもしれませんが、COVID-19の災禍とも相まって、今起きている事は様々な場面での長年培われたコミュニティや積み上げてきた伝統と新しい事柄との間に生じる "断絶と破壊" に他ならないでしょう。そこから新たに、前向きな意味でのパラダイム・シフトが生まれるのかもしれませんけど。逆に期待大?
個人的には世界中のアマチュアオフロードシーンで見飽きるくらいお馴染みの、囚人シマシマ柄と市松模様の流行の源にも近い、重量級の2気筒市販公道車を中心にしたマシンで真剣に競う、アメリカの "フーリガン族" が次の一手を握っているような気がします。まるで見分けがつかないくらい風貌は似てるけど、英国発のSIDEBURNとか豪州あたり?のDEUSとかのファッション系ダートコミュニティより数歩先を行ってると思うんですよねー。ちゃんと走るし闘魂丸出しで競うし素晴らしい!
といった感じで色々惑わされる世相ではありますが、皆様本年もご高覧よろしくお願いいたします。まずは新年、寒さ一段と厳しい折ですので、世にホントの春が訪れるまで?今暫くご自愛ください。
では本年もまた、毎週金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!