継続から得るものと失う可能性のあるものを冷静に天秤へかけてみたのです
WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。FEVHOTS が過去前例のないシーズン開催断念というネガティブな道を選択した背景は、自粛 or 強行 (大流行り中の悪魔的フレーズ!) の両極で悩んだ結果、というよりは、我々の小さなレースシーン・コミュニティを取り巻くそれぞれの日常や未来に想いを馳せた時、"なんとか現状を維持継続" より "思い切って一時中断" のほうが、結果リスクや将来的なダメージを回避できるだろう、というシンプルなイメージ、ただそれだけのことでした。
筆者ハヤシをはじめ、FEVHOTSのレース運営スタッフはその多くが都内または近県在住です。うち数人は全国津々浦々の当コラム読者の皆さんからすればちょっと身構えちゃう?巷で噂の "夜の街" こと東洋一の歓楽街の隣町に住んでいたりしますので、本人自覚のないままノコノコ各地に出向くことは、感染拡大防止の原理原則としても、都会 ⇄ 地方のヒト同士の関係性・あるいは医療キャパシティの対比からいっても、厳に慎むべきシビアな時が未だ続いていると言ってよいでしょう。エラいヒトが何をどう薄皮に包んでくれようが、それは誰にでもわかる間違いのないことです。
また、とある場所でレースイベントを開催する局面で、当然ながら我々言い出しっぺは新たなヒトの流れを生み出すことになります。大したボリュームでこそないものの、それはさざ波のように、参加者・関係者の家族や近しい方々にも影響を与えることでしょう。もちろんなにもなければそれで良いですが、その波及効果たるやどんなものなのか、実際ことが起きてみるまでは誰にもわかりません。我々の小さなダートトラックレースイベントでの不確実な要素は、当日の天候とレース結果とクラッシュからの病院送りの有無、あとは競技に白熱するあまりパドックでの競技者同士の小競り合いの仲裁くらいでもう充分です。それ以上をあれもこれもとお引き受けすることはできかねます。
誰にでも怪我すら起きうるハードなモータースポーツイベントを主催しておいてやや矛盾するようですが、筆者のもつ知識と覚悟のうちでは、イベンター・開催事業者には参加者の健康や安全に可能な限り配慮してイベントを行う "安全配慮義務" があります。本筋 = レース中の受傷ならいざ知らず、現在世界に吹き荒れるこのリスク禍で参加者の身になにかが起きた場合、主催者はその義務を怠ったとして損害・・とか賠償・・とか請求・・とかが話題とされる可能性は、ないとは言えません。
かつて国内レースシーンでは通年で僅か1戦しか開催できず、なんてことも
ダートトラックレーシングは雨天中止が当たり前の珍しいモータースポーツです。一定のトラックコンディションが保てない状況は安全面からも公正さからも競技の進行を大変困難にします。そんな特殊な事情から、本場アメリカのレースシーンでは、開催の中止判断は尊重されるべきものであり、時にはライダー側からのアピールで、当日客入れまで済んだプロの大会がキャンセルになる場合すらあるのです。まぁそれはさすがに数年に一度のレアケースですが。
我が国では雨天中止・順延・予備日設定といった "回避オプション" への抵抗感がなぜか強いように感じます。本場をオトナの雰囲気と見なすならほとんどお子様みたい。15年ほど前、北関東某所での年間シリーズ戦は、たしか5戦予定のうち4戦が雨に泣いて中止となりました。イカってその年でスッパリと鉄スリッパを脱ぎ捨て、競技を止めて歴史の舞台袖へと消えていった選手たち、ずいぶん大勢いたことを憶えています。
走りたい競いたいは皆一緒なんですけどね。無理なものは無理、今じゃないでしょ!の諦念も、これから長く永くこのスポーツを続けていきたいのならば、心の隅に留めておくべきかもしれません。
風邪みたいなもん、はあまり賢くない発言だと思いますが、雨天中止みたいなもん、はダートトラッカーの気概の確認?少なくともいくらかの気休めにはなりますよ。慣れてしまえば。
次なるステージへと底上げする好機?とでも捉えて刃の研ぎ方考えよ・・・
現在の、地域により極端に色むらのある過酷な状況が、果たしてオリンピックイヤーの?来春には好転するのか否か、それはわかりません。今年のシリーズ戦はリスク回避のため全ボツとしたものの、秋冬にでも事態が好転すれば、何か別の新たな可能性を探るときがやってくるのかもしれませんし。
その時まで皆さん、油断は禁物・過度の期待なしのクールな姿勢で、ご無事でお待ちくださいね。
次週からはふたたび面白ネタを取り上げて参ります。
ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!