ダートトラックレーシングは "左足を地面に擦りつける芸術点や接地時間の長短を競う種目" ではありません。あたりまえ。横滑りするマシンとライダーが高いレベルでバランスし、より速くターンを駆け抜けるために有効な "手段" が、このスポーツの象徴となっているのは間違いありませんが。というわけで本日は、よく転ぶ方、鉄スリッパーが減りまくる方、乗ったことないけどなんとなく補助輪代わりだろうと思い込んでいる方に、よりスマートな足さばきの "ヒント" をお届けしましょう!

左足接地は目的ではなく、より速く走るための技術・・・"のひとつ"!

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。冒頭の写真はつい数週間前オハイオ州ライマで開催された伝統のクッション・ハーフマイルレースから。ホームストレッチを抜けてターン1に飛び込むジェフ・カーヴァー (レースナンバー23) とブライアン・スミス (同4) のいずれとも、足元の影をよく見ればお分かりいただける通り、左足を接地させずにコーナーリングを開始しています。これは・・・"カメラが捉えた偶然の一瞬" なのでしょうか?

ダートトラックの基本的ライディングスタイルにおいて、ターン進入時のバンク角が深くなるほど、フットペグを離れた左足はより高い位置に保持されることになりますが、横滑りする前後タイヤと足裏の三点は、マシンとライダーの重さを等しく1/3ずつ分担して支えているわけではありません。

よくスベるヤツ・粘着系なヤツ、どっち寄りのコンディションも要注意!

前後輪を横滑りさせることで急激に減速 → 方向転換を開始する進入区間でも、可能な限り後輪のパワースライドを控え効率的にマシンを前進させるべき脱出区間でも、鉄スリッパーを履いた左足に、マシンとライダーの重さを必要以上に委ねてしまえば、当然ながら反比例して、前後タイヤが地面を捉える機会は失われてしまいます。

画像: 撮影: 中尾省吾

撮影: 中尾省吾

ダートオーバルのトラック表面は、天然自然の地球の一部。各地のそれぞれのトラックごと、季節ごと、のみならず路面整備の方向性によってすら、さまざまにその表情 = グリップレベルは変化します。今日これから走ることになる路面の特質をいかに繊細に (文字通り) 捉え、タイヤを通してエンジンパワーを大地へと伝え、マシンを前方に押し出していくか、その技術をめぐる試行錯誤から得られる経験こそが、速さと安定したスムーズさを獲得するための最大の武器となるでしょう。

オートバイが横向きに走る!チョー珍しい走法の足を引っ張らないで。

よく滑る路面でツルっと滑り過ぎた左足が先行してしまうと、マシン全体の方向転換が遅れます。また逆に、滑りの悪い = グリップする路面で左足が必要以上に食いつけば、ライディングフォーム全体が乱れ、適切なタイミングからの過不足ない加速を妨げることになってしまうでしょう。

画像: www.americanflattrack.com
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一般的に、オートバイの前輪は操舵・後輪は駆動の伝達という、明確に分担された基本機能を持っていますが、滑る可能性のある路面条件を逆手にとって横滑りしながら競われる、一見シンプルなダートトラックレーシングでは、後輪が先行して車体の進行方向を変えたり、あるいは前輪でマシンの前進エネルギーを減じるなど、乗り手のより能動的なマシンコントロールの可否が成功の大きな鍵を握っていると言えます。

"無駄な抵抗はヤメナサイ!"

バランスの取れたスライド状態を駆使し、マシンを確実により速くコントロールするためには、ラフな左足鉄スリッパーの接地はかえって安定を欠く原因となることに注目するべきです。

ひとり心地よくファンライドする分には、およそどんなライディングフォームでも "楽しくスライドできる" レベルに到達することはさほど難しくありません。

画像: www.americanmotorcyclist.com
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しかし "体軸のブレ" を可能な限り減らすことで、極端にいえばトラック上のどこからでも進入や加速が思いのままにできるようでなければ、2ワイド・3サイドあるいはそれ以上の混戦の中、ライバルをクリーンに打ち負かし、最終的にレースに勝利する力強いライディングは不可能なのです。

そういうライダーに、私はいつかなりたいな、と常々思っているのですが。
皆さんはいかがですか?
ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

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