皆さまあけましておめでとうございます。当コラム連続45週目の今回は、新春年頭にあたり、どうやら近頃ジワジワ人気の出てきたらしい?あちこちから注目されつつあるっぽい?我が国ダートトラックカルチャーが秘める可能性を、これまでの有り様などを元に分析的に考えてみたいと思います。

ダートトラックは"流行れない"?仮初めのトレンドを超えスタンダードへ。

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。ノッケから不穏なニオイの小見出しですが、悪い意味は全くありません。流行に乗ってちょいと気楽に挑戦→いきなり楽しさに目覚めた新人がそのままこのコミュニティに定着する・・・までには、ダートトラックライディングはなかなか課題の多い = ハードルの高いスポーツだということ。これは主に走法そのものの難易度からの問題です。

画像1: 2018FEVHOTS Rd.5 2018-12-10 撮影 山田晃生(FEVHOTS90)

2018FEVHOTS Rd.5 2018-12-10 撮影 山田晃生(FEVHOTS90)

各メディアからの取材を受ける場面、あるいは他カテゴリーのアスリートの方々とこの種目についてのお話をさせていただく機会に、筆者は "ダートトラックライディングは他のおそらくどんな二輪カテゴリーより、基本となる周回動作の習得までに時間と手間のかかるメンドクサいスポーツ" という言い回しを付け加えることにしています。

単にクラッシュや怪我という側面から捉えても、本人の想いでは準備万端で臨んだ初レースで鎖骨を折るとか、年間ほぼ毎週参加して鍛錬に励む練習走行の場でアバラを6本折るとか、このスポーツにはノッケから、決して少なくないリスクが伴います。どちらもここ1年で我々の目の前で起きた、真剣に取り組む1年目のライダーの (極端な) 実例です。いずれも全くメゲる気配がない、どころかさらに燃えたぎっておられるのは本当に素晴らしいことで、せんせい誇りに思っていますが。

では、気楽なイチゲンさんライダーは?そんなつもりじゃないのに大きな怪我をする可能性は?シリアスモードより必ずしもリスクが低いことはないはずです。すげー勢いで転ぶのは同じですからね。

一過性の "流行り" の多くは、あとから現れた "より魅力的っぽい新しいなにか" に取って代わられたり、その結果やがて淘汰され廃れていくものがほとんどで、一時の盛り上がりを絶好の機会ととらえて広く世の中に浸透し、やがて "スタンダード" として深く刻まれるものはごくわずかです。

ダートトラックレーシングは競技の形態としてこれ以上ないほどシンプルですが、ライディング = 運動のプロセスまでもが単純なわけではありません。やってみるとそうそう簡単でないその絶妙なバランスこそ、このカテゴリーが確かなスタンダードとして存在感を示す、今後の有り様のひとつの方向性なのではないでしょうか。

ヴィンテージバイクでのダートトラック、あるいはカスタムビルダーが真剣に取り組むダートトラック。ここ数ヶ月、様々なメディアでこれら目新しい切り口のトピックを目にする機会は、当コラムをお読みの読者の皆さんも多くなってきたはずです。シーンに少しずつ注目が集まり、盛り上がる機運が感じられる今こそ、長くこの種目に携わり、あるいはレースイベントをオーガナイズする立場として、筆者などはより長期的で安定した展開・ブランディングのさらなる重要性を強く感じているところでもあります。そのスジだとイノベーター理論、とかって言うみたいですね。

教わればできると思って気軽にスクールを受講する不勉強な皆さんへ。

筆者は2000年代のごく初めにダートトラックライディングの世界に足を踏み入れましたが、当時インターネットはまだまだ社会全体に普及しているとは言えない状況で、紙媒体も含め、この美しいスポーツについてのコアーな情報を得るには今よりはるかにメンドクサい環境でした。

それに引き換え現代はソーシャルメディアやスマートフォンの台頭により、メディアや個人が洪水のように多様な情報を発信し、受け取り手はそれを取捨選択して手に入れるのが当たり前の時代です。

そんな情報過多のいま、"正しい情報" を得るのは確かに少々難しいことなのかもしれませんが、例えばロードライディングのヒザスリや、モトクロスのジャンプテクニックを、実地で初めて学ぼうとする方に比べ、"ダートトラック初めて物語" の主人公であるはずのあなたは、あまりに何も知らない状態でレーストラックへやってきます。そんなケースが日に日に増していると感じる昨今です。

当然情報を発信する側の問題も大いにあるわけですが、実際のアクションシーンを見たことも、その仕組みを聞いたこともないスポーツに、いきなり取り組むのって、結構・・アレじゃないですか?

画像2: 2018FEVHOTS Rd.5 2018-12-10 撮影 山田晃生(FEVHOTS90)

2018FEVHOTS Rd.5 2018-12-10 撮影 山田晃生(FEVHOTS90)

どのように道具と場を選ぶかで進度と深度にも大きな差が生まれます。

2012年春のレーストラック解体により幕を下ろした、栃木県ツインリンクもてぎダートトラックレースシリーズは、足掛け15年ほどの期間、このスポーツの我が国における本丸と言える存在でした。

同地にはよく整備された200mと400mの二つのオーバルが同心円状に配置され、初心者 = ノービスクラス(100cc / 230cc / 250ccの3クラス)は200mのみを使用。年間ランキング3位内がエキスパートジュニアクラスへと昇格し、初めて400mトラックでの練習走行とレース参加が許可される仕組み。ずーっとノービスならずーっと200mしか走行できません。走れば始末書です。

中級 = エキスパートジュニアクラスは、当初100ccと250ccの2クラスのみが用意され、ノービスからの230ccユーザーはいずれかに車両を買い替えねば行き場を失います。ここからさらに年間ランキング3位内が最高位のエキスパートクラスへと歩を進め、初めて251cc以上・450ccとか600ccの"オープン排気量"でのマシンカテゴリーが設定される形式。

なお同シリーズ末期にはジュニア + エキスパートクラスのライダーが、230ccで400mを走る余興クラスが新設されました。企画書を出し実現したのは一介のエントラントであった当時の筆者です。

画像1: 2018FEVHOTS Rd.5 2018-12-10 撮影 菅原健大(garage SUGAWARA)

2018FEVHOTS Rd.5 2018-12-10 撮影 菅原健大(garage SUGAWARA)

昇格形式のレース・ピラミッドは我が国の他カテゴリーでも一般的ですし、安全面からも、技術レベルのばらつきを排除するためにも、必要な方法ではあったのかもしれません。が、エントリー台数が大会の成長にそのままつながる参加型イベント、という側面からはどうでしょうか。

230ccクラスがピラミッド中段でなくなってしまうこと (ホンダにはFTR223があるのに!) や、大排気量車で当初から楽しみたいエントリーユーザーに対し、大幅に門戸を狭めてしまう結果となったのは想像に難くありません。昨年末のコラムで申し上げたとおり、まさにこの国にはSRがあるのに。

これまでの我が国ダートトラックシーンでは、エントリーユーザー向け、あるいは初歩のスクール車両として最適なのは100 ~ 125ccのミニ・オフロード車。もう少し大きめで安価なベーシックマシンとしては230 ~ 250ccクラスの空冷単気筒マシン、というのが定説となっています。

確かに本場アメリカのダートトラックスクールでは、低い速度・低いリスクでこの難解な走行テクニックを反復して習得させるため、125cc以下のミニ・オフロード車を使うのが長年のセオリーではありますが、これはあくまで "教習車両・トレーニングマシン" としての方法論です。

画像2: 2018FEVHOTS Rd.5 2018-12-10 撮影 菅原健大(garage SUGAWARA)

2018FEVHOTS Rd.5 2018-12-10 撮影 菅原健大(garage SUGAWARA)

230 ~ 250ccの空冷単気筒車というのも、免許制度の違いや広大なオフロード空間が広がるアメリカでは、そもそも市販車の選択肢が少なく、レース車両として気軽な最有力の候補車両となりません。

オーバルトラックという限定的状況を走り込み、ターンごとに美しく激しく滑り込もうと思うのであれば、手に入れやすく先々の発展性が広がるマシンを用意するべきです。我が国で入手が容易 = 玉数豊富な230 ~ 250ccに非はひとつもありませんが、今年からは "どうせ乗るならデカいほう路線" を推進したい感じです。

2019シーズンの "俺たちのレースシーン" はひと味違う?

現在日本のダートトラックシーンは複数のレースシリーズ、スクール、各種走行イベントが、それぞれ固有の魅力をもって徐々に参加者を増やし、認知度を高めている状況です。検索下手の皆さんへの課題として、ここでは敢えてそれらを個別に詳らかに紹介することはしませんが (ggrks) 、率直に言って、かつての "もてぎ一極集中時代" に比べ、はるかに健全な状況だと言えるようにも感じます。

それぞれが競争意識を持つことでシーン全体がより一層磨き上げられること。
そのことで、しばしば内向し硬直しがちなコミュニティを、つねに風通しのよい状態に保つこと。

筆者ハヤシの主宰する "日本で最も刺激的なダートトラックレースシリーズ" FEVHOTS: Far East Vintage Hotshoe Series は昨年末に新シーズンの暫定スケジュール (全8戦予定)を発表。他団体との共催によるさらなるビッグイベントの計画や、首都圏から見て南と北の2カ所で新たなレーストラック開拓に向けたお話なども頂戴しており、ますます慌ただしい一年となりそうです。

と言ったところで新春放談はここまで!皆さま2019年もご高覧よろしくお願いいたします。
また金曜の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

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