50歳で独身。離婚歴もない。健康食品卸会社の外商部で課長をしている男、芽多比 孝。彼には、若くて美貌の恋人と、彼女のマンションに置かせてもらっている愛車BMW2002ターボという二つの大切な存在があった。
1ヶ月ぶりに彼女のマンションを訪れたが呼び鈴に返事はなく。それならば、と芽多比は、2,000cc以下のクルマでは最強と信じるBMW2002ターボの暖機を行うのであった。
©西風先生・モーターマガジン社
1ヶ月ぶりに彼女のマンションに訪れた俺だが、彼女はどうやら留守らしい。しょうがないので、彼女の地下駐車場に停めさせてもらっている愛車、BMW2002ターボの暖機した。
十分に暖まったので、自宅への帰路に着いた俺は、ふと嫌なことを思いだしてしまった。
![画像: 2リッター以下では最強と信じるBMW2002ターボ。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782553/rc/2016/07/01/1a0faad94d65c47dfc2aa5c8e3b53297295fdc69_xlarge.jpg)
2リッター以下では最強と信じるBMW2002ターボ。
![画像1: BMW2002ターボに乗る男の奇妙な冒険?(後編)
〜『GTroman STRADALE』より](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782553/rc/2016/07/01/6bf519f57eac53c588d5b8c65029361faa0c516d_xlarge.jpg)
ミニやスーパーセブン、HONDA S2000、ランエボやインプレッサなど、軽量クラスの速い車との勝負には、ことごとく打ち勝ってきた俺だが、最近200キロ巡行しているときに、ある車にあっさりと抜かれてぶっちぎられてしまったのだ!
![画像2: BMW2002ターボに乗る男の奇妙な冒険?(後編)
〜『GTroman STRADALE』より](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782553/rc/2016/07/01/bdc8fb49f539c8907959169779abd65e7352c33f_xlarge.jpg)
![画像: 200キロで走る俺(2002ターボ)を無視してドォーンと抜いていったのはメルセデス・ベンツ300SL!](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782553/rc/2016/07/01/617b73319bc11d41af472d9917b4d670d5159778_xlarge.jpg)
200キロで走る俺(2002ターボ)を無視してドォーンと抜いていったのはメルセデス・ベンツ300SL!
その車は古いメルセデス・ベンツ300SL。3リッターとはいえ、俺のBMWはターボマシン。しかも1954年から63年の間に生産された300SLに対して、BMW2002ターボは73年生産。こっちのほうが新しいんだ、言い訳はできない・・。
嫌なことを思いだしてしまったものだが、敗北は復讐の味を引き立てるスパイスさ。必ず仇を討ってやる、そう心に誓いながら俺は夜道を歩き出した。
ところが、その帰り道に、一台の路駐車を発見して俺は息を呑んだ。その車こそ、にっくきあの車ではないか!
![画像3: BMW2002ターボに乗る男の奇妙な冒険?(後編)
〜『GTroman STRADALE』より](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782553/rc/2016/07/01/d91e351d91f52d253ea95af91ef66616001b7af2_xlarge.jpg)
![画像4: BMW2002ターボに乗る男の奇妙な冒険?(後編)
〜『GTroman STRADALE』より](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782553/rc/2016/07/01/3af1bfc54be57083e7dc6eb35b98095b936140de_xlarge.jpg)
ここで遭ったが100年目!俺はとっさにBMWを取りに引き返そうとした。暖機運転は十分にしてある、300SLがどこかに消えてしまう前に戻ってこられるかもしれない。
![画像5: BMW2002ターボに乗る男の奇妙な冒険?(後編)
〜『GTroman STRADALE』より](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782553/rc/2016/07/01/a997fb02a8393938095f45e07bed8a11d9870618_xlarge.jpg)
・・・しかし、結論をいえば、俺は2002ターボを取りに戻ることができなかった。
そして、メルセデスもまた、どこかへ走り去ってしまったのである。
しかしチャンスはきっとまた巡ってくる。そのときこそ、俺の2002ターボが300SLをぶち抜いてやるときなのだ!
![画像6: BMW2002ターボに乗る男の奇妙な冒険?(後編)
〜『GTroman STRADALE』より](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782553/rc/2016/07/01/748a18375741947b8b45c6687b1f8d13225eb570_xlarge.jpg)
ところで。
俺は知らなかったが、俺の彼女は実はマンションにいたらしい。しかも、他の若い男と二人で・・・。
イイ女だが完全に俺に惚れていて、酒もタバコもやらない、ある意味都合がいい女だとたかをくくっていたのだが、それは大きな間違いだったらしい。
![画像7: BMW2002ターボに乗る男の奇妙な冒険?(後編)
〜『GTroman STRADALE』より](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782553/rc/2016/07/01/66e18a341f37e085e8b44630f11662bb9dc85530_xlarge.jpg)
![画像8: BMW2002ターボに乗る男の奇妙な冒険?(後編)
〜『GTroman STRADALE』より](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782553/rc/2016/07/01/cefd0d0fa6cbbc7433c5a26245460a3500b27e95_xlarge.jpg)
女は怖い。いや、女を甘く見ている俺の方こそ、とんだ間抜け、ということだろう。