世界中のどんなオートバイにも似ていないデザインと1万7000回転という超高回転までストレスなく伸びていくエンジン。そんな、まさに近未来の感覚が味わえる一台。あなたは体験したことがあるか?
4気筒マルチの革命児
2スト250ccのレプリカ化、400ccクラスの4気筒化がひと段落すると、次は4スト250ccの4気筒モデルにスポットが当たり始める。
83年3月にスズキが先陣を切ってGS250FWをリリースするが、36PS/11000rpmというスペックからも伺えるように、性能よりもまずは「4気筒の250」を具現化することが目的となっていた。
その殻を突き破り、性能的に大きな一歩を踏み出したのが、このFZ250フェーザーであった。
当時のクラス上限となる45PSを14500rpmという超高速回転で発生するスペックは、明らかに性能、走りを追い求めたものだった。
フェーザーの水冷4気筒エンジンは、FZ750で提唱された「ジェネシス思想」に沿ったユニットで、燃料質の大きさから5バルブ化こそ見送られたが、それでもクラス初の4バルブヘッドを採用。
シリンダーを大きく前傾させることで吸排気フローのストレート化も図られていた。
発売された年、ヤマハのお膝元であるスポーツランドSUGOのローカルレースで、4スト250ccマシンを対象としたSP250Fクラスが新設され、FZ250フェーザーはライバルの2気筒勢に対して圧倒的な速さを見せつける。
そのスピードもさることながら、SUGOの山々に響き渡る、排気音ともエンジン音ともつかない高周波サウンドにも多くのレースファンが魅了された。
スタイリッシュなデザインと、軽くコンパクトな車体、常用域でも意外に扱いやすいエンジンを兼ね備えたFZ250は、4気筒に乗りたかった女性ユーザーのハートもがっちりとつかんで好調なセールスを記録。
4スト250ccクラスの新たなベンチマークとなったモデルなのである。
【FZ250PHAZER】1985年4月 specifications
エンジン型式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量:249cc
内径×行程:48.0×34.5mm
圧縮比:12.0
最高出力:45PS/14500rpm
最大トルク:2.5kg-m/11500rpm
燃料供給方式:キャブレター[BDS26] 変速機型式 常噛6段リターン
全長×全幅×全高:1950×690×1060mm
軸間距離:1350mm
シート高:750mm
乾燥重量:138kg(155kg:装備)
燃料タンク容量:12L
タイヤサイズ(前・後):100/80-16・120/80-16
当時価格:49万9000円