![画像1: ワインディングでのスポーツライディングも楽しい[ムルティストラーダ1200 インプレッションその2]](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16781465/rc/2016/03/14/2cba555adf9e8a3f71681dd684b6325491183e67_xlarge.jpg)
バイクの理想的なカタチとはどのようなものだろう。
もちろん乗る人の用途や好みによって、様々な理想があるのだと思う。私はムルティストラーダのようなアドベンチャーモデルは、ある用途を追求して進化しているという意味で、理想型のひとつに入れてもいいと思っている。
アドベンチャーモデルはそもそも、1978年に始まったアフリカの広大なサハラ砂漠を縦断する、壮大な冒険レースである、パリダカールラリーに出場するために開発された、レーシングマシンをルーツにもつ。オフロードバイクのようなライディングポジションに、ライダーの身体を守るウインドプロテクション、大容量のガソリンタンクといった特徴は、過酷なサハラ砂漠を走破してアドベンチャーレースに勝利するためのデザインだったのだ。
![画像2: ワインディングでのスポーツライディングも楽しい[ムルティストラーダ1200 インプレッションその2]](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16781465/rc/2016/03/14/31b2068bb12de1808cd24c83108841c267bdc101_xlarge.jpg)
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そんなアドベンチャーの中でも、オンロード性能を追求したともいえるムルティストラーダに、バイクの理想のカタチを見つけられるのではないかと、東名高速を浜松付近でおりて、ワインディングロードを求め山道にわけいっていった。
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静岡は太平洋に面した大きな県、という印象をお持ちの方は多いと思うが、少し内陸に入ると南アルプスが横たわり、山岳地域が多くをしめている。なので、ワイディングロードにはことかかない。内陸側を東西に走る、新東名高速道路のインターを降りて一般道に入ると、ほどなく気持ちのいい山道となった。
![画像6: ワインディングでのスポーツライディングも楽しい[ムルティストラーダ1200 インプレッションその2]](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16781465/rc/2016/03/17/0386872ed822771b62c2a6ae21bf74ee9f5d6e7a_xlarge.jpg)
![画像7: ワインディングでのスポーツライディングも楽しい[ムルティストラーダ1200 インプレッションその2]](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16781465/rc/2016/03/17/f8a6accc31bd5f2713f7bab752e348b8137e8d4b_xlarge.jpg)
混雑している都内では、ちょっと持て余し気味だった車体も、山道をツーリングペースで走っていると大きさを感じさせることはない。むしろ、安定感のある乗り味が安心感となっている。
高速道路で「ツーリング」に設定していた走行モードを、「スポーツ」に切り替える。走行モードは走りながらでも変更できる。スポーツモードに切り替えると、穏やかな出力特性のツーリングモードから、これぞスーパーアドベンチャーという、レスポンスのいいスポーティなエンジンに変身する。
ハンドリングはスーパースポーツのようなクイックなものではないが、スポーツバイクとして遜色のないものだ。オフロードバイクのようなライディングポジションは、コーナーリングでも無理がない。Lツイン独特の心地よいパルスを感じながら、次々に現れるコーナーを試してゆくと、どんどんとペースがあがってゆく。いつの間にか、大きな車体も高い車高も忘れて、スポーツライディングに夢中になっていた。
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ムルティストラーダは、高いスポーツ性能とそのライディングポジションで、ワインディングロードでもかなりハイペースで、しかも安心して走ることができた。しかも良好なワインディングから、舗装林道のような険しい山道が、100km近くも連続するルートを、休むことなく走破していたのだ。高速道路での長距離走行能力は予想していたが、これにはちょっと驚かされた。途中には荒れた路面や、落ち葉が吹きだまっているようなところもしばしばあったが、アドベンチャーというスタイルが、いかにこうした走行条件の変化に対して、ストレスなく走ることができ、疲労も少ないということを実感することとなったのだ。
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山深いワインディングから、すっかり春色の渥美半島へ向かう。この季節、ムルティストラーダの生まれ故郷であるイタリアでは、黄色いミモザが咲き乱れているであろうけど、日本では菜の花が道ばたを黄色く染めている。イタリアンバイクはこうした色合いにとても映えるね。
![画像10: ワインディングでのスポーツライディングも楽しい[ムルティストラーダ1200 インプレッションその2]](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16781465/rc/2016/03/19/1b67f40888e7b866d877dda447db08fe1493b2e4_xlarge.jpg)
渥美半島の中程で海岸に降りてみた。遥か彼方まで続く砂浜の海岸線に、かつてパリダカールラリーのゴールであった、ダカールの海岸でのビクトリーランに思いを馳せて。過酷な冒険ラリーで勝利するためのデザインであった、アドベンチャーモデルはスポーツバイクとしても、やはり最良のひとつだった。そして、一貫してレーシーでスポーティーなモデルを世に送り続けてきた、ドゥカティが生み出したアドベンチャーであるムルティストラーダは、バイクのカタチの理想のひとつかもしれないと思うに至った。
![画像11: ワインディングでのスポーツライディングも楽しい[ムルティストラーダ1200 インプレッションその2]](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16781465/rc/2016/03/19/951e1364dbf176c1b45db5fe9f014b922d57fff6_xlarge.jpg)
東京を出発して、浜松から山奥の道を走り、名古屋を経由して渥美半島を巡る。およそ900kmを2日間をかけて走ったが、帰りついてもほとんど疲れを感じることがなかった。むしろもっともっと走り続けたいと、思うほどだったことは特筆すべきだね。いつもは革ジャンなのだけど、アドベンチャーに革ジャンは似合わないだろうと、 OVERTECHの「CROSSOVER JACKET」 を着てでかけた。これはレインウエアが必要ないほどの防水性能を備えたアウターで、バイクウエア然としていないファッショナブルなウエアだ。
ツーリングで出会うあらゆるシーンに応えてくれ、ドゥカティらしいスポーツ性能と、スタイリッシュさをあわせ持つムルティストラーダ。私はアドベンチャーモデル好きなので、もちろんバイアスはかかっていると思うが、ツーリングとスポーツ走行を両立するバイクとして理想的な1台であろう。あ〜、でも仲間とツーリングすると、ペースが合わないってことが悩みになるかもしれないけどね。