東本先生が描く女には、どこか エロティシズム がある。モーターサイクルを描くのと同じように、実に緻密で精細なラインで描き出された彼女たちは、漫画的なデフォルメはなく、リアルな美しさを持っている。

エロさを感じさせると同時に、彼女たちの多くは男どもをハッとさせる強さを持っている。男に媚びる狡さをちゃんと持っているくせに、それを意識して使う図太さ、オンナのしたたかさを隠さない。そして、時として男がいなくても一人でどこかに行ってしまう気ままさが、男たちを戸惑わさせるのである。

要するにだ。一言で言えば、東本昌平先生が描き出す女性は、実にいい女ばかり、ということなのだ。

The Red Snake Come On! - Episode3 500SS MACH III part 2

RIDEXは、東本昌平先生の短編を集めたコミックのムック本である。
そして今回紹介しているのは、そのうちのRIDEX KAWSAKI Special Edition、つまりカワサキ特集の一冊からのエピソードだ。

画像: ©東本昌平先生/モーターマガジン社。 KAWASAKI 500SS MACH III エンジン	498.7cm3 KAE 型(空冷2ストロークピストンバルブ並列3気筒) 内径x行程 / 圧縮比	60mm x 58.8mm / 6.8:1 最高出力	60hp / 7,500rpm 最大トルク	5.85kg-m / 7,000rpm 乾燥重量	174kg

©東本昌平先生/モーターマガジン社。
KAWASAKI 500SS MACH III
エンジン 498.7cm3
KAE 型(空冷2ストロークピストンバルブ並列3気筒)
内径x行程 / 圧縮比 60mm x 58.8mm / 6.8:1
最高出力 60hp / 7,500rpm
最大トルク 5.85kg-m / 7,000rpm
乾燥重量 174kg

主人公の女性は、自分を置いてどこかに消えた男を追って、彼が残したモーターサイクルにまたがって旅に出る。泣くのではなく恨むのではなく、エンジン音を轟かせて、追うのである。ここからしてすでにカッコイイ。
そのバイクとは、 KAWASAKI 500SS MACH III 、いわゆるマッハだ。女性が簡単に乗りこなせるバイクじゃない。なにしろ1969年製造であるうえ、当時からして速すぎて扱いづらい、ジャジャ馬と称される”止まらない曲がらない”バイクなのだ。

男ではなくマッハと共にあることに生きがいを見出す女

しかし、彼女はマッハとともに全国を回りながら、キャバクラや飲み屋のアルバイトをしながら旅費を稼ぎ、また旅に出る。それは自分とマッハを置いて去った男を見返すためなのか、それを乗りこなしている自分を見せるためなのかは、彼女自身にも徐々にわからなくなっている。

画像1: ©東本昌平先生/モーターマガジン社

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画像3: ©東本昌平先生/モーターマガジン社

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彼女はマッハを駆って全国を旅する。旅しながら彼女は腕を上げていき、前を行くバイクには片っ端から噛み付いて、それを抜き去るようになるのだ。

いわば、彼女は自分を捨てて去った男を探しているうちに、恋愛以上に、マッハにスピードに憑かれ惹かれていくのである。男を探すのは、もはや彼女にとっていいわけにすぎなくなっていると思う。

画像4: ©東本昌平先生/モーターマガジン社

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画像5: ©東本昌平先生/モーターマガジン社

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思いがけず女の背中を見せつけられて 慌てるのは男たち

東本先生の作品の主人公たちの大半は男だ。
女性は多く現れるが、その多くは男の物語を彩る美しい華であり、男の弱さを映し出す鏡としてである。
もちろん、そうした役どころであっても(冒頭に書いたような)彼女たちの魅力は存分に発揮されている。

しかし、この作品「The Red Snake Come On! 」のマッハ乗りのヒロインのクールでハードボイルドな魅力は、ちょっと別格だ。男が思い惹かれる”女”であると同時に、男を怯ませる強さを持つ”オンナ”でもある。

ぜひ本書を手にとって、マッハの3気筒エンジンが奏でる激しいサウンドと振動に痺れ、彼女の魅力に痺れてもらいたい。

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