ロレンス編集部
「シークレット・アイズ」の秘められた真実を、あなたなら胸にしまっておけるか?- 1/100の映画評
2002年のLA(ロスアンジェルス)。9.11のテロの余波に怯える全米。 FBIの黒人捜査官レイと女性捜査官のジェスは、変わり果てた姿でゴミ捨て場に放置された一人の女性の死体を見て、慄然とする。それはジェスの一人娘キャロリンだったのだ。 レイとジェスの友人である検察官クレアは、レイとともに犯人マージンを追い詰め、逮捕するが、証拠不十分で釈放されてしまう。マージンはFBIのテロ対策本部の情報屋であり、レイプ殺人の科を課すより、泳がせてテロリスト情報を得ることの方が重要であると、FBIと検察の情報部が判断したのだ。 それから13年。行方をくらませていたマージンの手がかりを見つけたレイは、再び...
ロレンス編集部
「サヨナラの代わりに」は、与えられた試練を嘆くだけでなく、残された時間を精一杯生きる勇気をくれる。- 1/100の映画評
難病(ALS)に冒されて日常生活もままならなくなってしまった女性ケイトの看護を引き受けたのは、自由奔放で天真爛漫な女子学生ベック。気丈に振る舞うケイトだが、徐々に体が動かなくなり、迫り来る死への恐怖を胸の内に抱えていた。不治の病に罹る病人と知りながら常人と一緒にいるときと全く変わらない振る舞いをする明るいベックもまた、実は心の中に深い傷を負っていた。 最初は衝突ばかりしていた二人だが、徐々に打ち解け、心の内を互いに打ち明けるようになる。 大ヒットしたフランス映画「最強のふたり」によく似た設定ながら、女性二人に置き換え、また、ケイトの病状が進んでいくことでさらに切ないエンディングを予感させ...
ロレンス編集部
「帰ってきたヒトラー」の”ホンモノ”のヒトラーが、あの国のあの人に見えてくる- 1/100の映画評
史上最悪・最大の悪人を一人挙げよと言われれば、恐らくはぶっちぎりでトップの座を得ると思われる。それがアドルフ・ヒトラーだ。1945年に死んだはずの彼がなぜか現代にタイムスリップするが、モノマネ芸人と勘違いされてテレビで引っ張りだこになる。 大衆を洗脳し扇動することにかけては空前絶後の稀代の天才の彼は、テレビやインターネットの力と相まってあっという間に多くの人々を熱狂に巻き込んでいく・・・。 圧倒的なアジテーションの才能を持つ者が、メディアやネットの力を借りて、人々を先導していく様は、民主主義・自由主義を標榜していたどこかの国のどこかの指導者を見るようで、ブラックコメディと笑って済ますには...
ロレンス編集部
「ブラック・スキャンダル」ジョニー・デップが禿頭の悪党役を邪悪さを湛えた抑えた演技で好演- 1/100の映画評
1975年から始まった、FBI、ギャングスタ、そして政治家の癒着による汚職事件。 FBI捜査官のコノリー、急成長中のギャングスタ ジミー・バルジャー、ジミーの弟であり政治家のビリー・バルジャーの3人は同じダウンタウンで生まれ育った幼馴染だった。 イタリア系マフィアのとの勢力争いを続けるジミーは彼らを壊滅させるため、出世欲の強いFBI捜査官のコノリーと密約を結ぶ。彼らはそれぞれの野望に忠実であるがゆえに悪の道を突き進むが、やがてメディアに嗅ぎつけられ、彼らの共謀は白日の下に晒される。実際に起きた米国最悪の汚職事件をテーマに描き出された、上質のクライムストーリー。
ロレンス編集部
『64-ロクヨン-前編/後編』昭和から平成へと切り替わったわずか数日に閉じ込められた、多くの人の情念と悔恨- 1/100の映画評
佐藤浩市主演で、横山秀夫原作の推理小説を映画化。 わずか7日間で幕を閉じた昭和64年。その短期間に起きた児童誘拐事件は、警察の必死の捜査にも関わらず、身代金を奪われたうえに児童も殺害される最悪の結果を迎えた。事件に関わった警察関係者はこの事件を64(ロクヨン)と呼び記憶にとどめていたが、犯人の手がかりもないままに時効を迎えつつあった。事件の担当刑事の一人だった三上(佐藤浩市)は県警の広報官になっていたが、ロクヨンの手口をなぞるような女子高生誘拐事件が起こる・・・。