ホンダの2輪事業は、営業利益的にとても「優等生」
12月23日、日産、ホンダ、そして三菱自動車の3社は、協業形態の検討に関する覚書を締結しました。そして三菱自動車は2025年1月末を目処にして、日産とホンダによる経営統合への参画・関与の可能性に対する検討結果を出すことを目指すことが明らかにされました。
計画としては、それぞれの会社を傘下におさめる持ち株会社を設立し、3つのブランドは活かし続け、再来年の2026年8月には持ち株会社を上場することを予定しています。かつての独ダイムラー ベンツと米クライスラー、そして独フォルクスワーゲンと日本のスズキがそれぞれ失敗した例が示すとおり、自動車会社の大型再編はとても難しいものですが、首尾よく今回の試みがうまくいった場合、世界3位の巨大自動車メーカーが誕生することになります。
日本の経済の「話題」としては4輪のハナシがメインとなるため、ホンダの事業の柱のひとつで、創業時からの製品である2輪のことについては、ニュース記事で触れられることはほぼありません。その辺の話があまりないので、経営統合によってホンダの2輪製品作りに何らかの悪影響があると嫌だなぁ・・・と不安に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
上のグラフは2020〜2024年の間の、ホンダの売り上げ収益と営業利益をあらわしたものです。ご覧のとおり、売り上げ収益については市場規模の大きい4輪事業が2輪事業を圧倒していますが、営業利益については2輪事業が相対的に超優良であることがわかります。
もちろん経営統合のホンダ2輪事業への影響はあるでしょうが、総じてうまく行ってるといえる2輪事業を引っ掻き回すことになるようなことは、極力排除されることになるのではないでしょうか? まぁ楽観的というか、そうなるでしょうという希望含みではありますが・・・。
2輪電動化については、プラスが多いかもしれません?
去る2023年の11月29日、ホンダは2輪電動化の加速と事業体質強化に関する「2023 Honda 電動二輪事業説明会」を開催し、2030年までの電動化ロードマップを明らかにしました。
過去、ホンダは2030年の2輪EV年間販売台数目標を350万台に設定していましたが、アップデートされたロードマップでは50万台上積みして、400万台という新目標を新たに掲げました。そこには2030年の需要に対応できる2輪EV生産体制を構築できるという、ホンダの自信のあらわれといえます。
矢野経済研究所の2023年7月のレポートによると、2030年に2輪EVのマーケットは1,735万9,000台まで伸長すると予想されています(アグレッシブ予想。コンサバティブ予想は1,082万2,000台)。この予想どおりの2輪EVマーケットが形成されるとしたら、予想が上振れでも下振れでも、いずれにせよホンダの400万台という計画値は世界シェアのかなりの部分を占めることになります。
日産とホンダの経営統合には、2023年度の4輪EV販売で世界16位の日産と同28位のホンダが手を組むことで、来る「EVシフト」時代に対応できる体制作りができるというシナジー効果が期待されています。バッテリー開発技術、ソフトウェア技術などEV開発体制が統合により強化されれば、それはホンダの2輪EV開発にもプラスに作用することになるのではないでしょうか?
今回の統合発表を受け、ホンダの2030年までの2輪電動化ロードマップはさらにアップデートされることになるのかもしれません。2025年にどのような内容が発表されるのか、楽しみにそれを待ちたいですね。