これまでFIM(国際モーターサイクリズム連盟)はバッテリー火災対応などを理由に、インドア競技への電動車参加を認めない方針をとっていました。しかし来シーズン(2024/2025年)のFIMスーパーエンデューロ世界選手権のプレステージクラスに、FIMは電動車の参加を認可することを10月9日に公表したのです!

ICE(内燃機関)搭載車との、性能調整がどうなるか注目です

日本で開催されることがないので、日本のライダーにはなじみがないと思いますが、2007/2008年シーズンにFIMインドアエンデューロワールドカップの名でスタートしたFIMスーパーエンデューロ世界選手権は、アウトドア競技のシーズンオフ期間(12月〜3月)に開催される、欧州を中心に人気を集めているエクストリームエンデューロイベントです。

画像: 2010/2011年シーズンにFIMインドアエンデューロ世界選手権に改名し、2011/2012年シーズンにはFIMスーパーエンデューロ世界選手権に改名した同イベントは、屋根のあるアリーナを会場にしてシーズン7〜8ラウンドで王者を競います。なおクラスは18歳以上の「プレステージ」と、16〜23歳対象の「ジュニア」に区分されます。 superenduro.org

2010/2011年シーズンにFIMインドアエンデューロ世界選手権に改名し、2011/2012年シーズンにはFIMスーパーエンデューロ世界選手権に改名した同イベントは、屋根のあるアリーナを会場にしてシーズン7〜8ラウンドで王者を競います。なおクラスは18歳以上の「プレステージ」と、16〜23歳対象の「ジュニア」に区分されます。

superenduro.org

2024/2025年シーズンの変更点として、FIMは14〜18歳の若いライダーを対象とした、125cc車両を使うユースクラスである「FIMユース スーパーエンデューロ ワールドカップ」を新設。そしてプレステージクラスに限り、電動車の参戦を認可したことを公表しています。電動車認可の件は、FIM、プロモーターのスポーツ アップ エージェンシー、そして主要電動車メーカーの緊密な協力により決まったと報じられています。

トマス ガガット(スポーツ アップ エージェンシーCEO)
「スーパーエンデューロで電動車の扉を開くには、安全と技術的要件に細心の注意を払う調整が必要でした。FIM、メーカー、スポーツ アップ エージェンシーの協力の成功のおかげで、電動車がFIMスーパーエンデューロ世界選手権に出場できるようにするソリューションを開発しました。これは間違いなくスーパーエンデューロの興奮を高め、競争を次のレベルに引き上げます。現在、電動車はスーパーエンデューロでのみ許可されており、次のシーズンがどれほどユニークであるかを示しています」

ホルヘ ビエガス(FIM会長)
「これはFIMにとってエキサイティングな新章であり、電動車がICE搭載車とともにスーパーエンデューロに登場します。これはすでにこの技術をMotoE、トライアル、E-エクスプローラーに導入したFIMにとって自然な進化です。これを実現するためにFIMは時間と研究を投資して、2つの競合するテクノロジー間のパフォーマンスの正しいバランスを見つけ、公平かつ安全に並んでレースできるようにしました。電動車をプレステージクラスに含めるために、ICEまたは電気のいずれかへのバイアスを回避するためのトラック規定を含む、新しい要件、規則、および安全基準を作成しました。最後に、プレステージクラスは既存の規制に準拠したすべてのチームとオートバイに引き続き開かれているので、興味深くスリリングなレースシーズンになると確信しています」

今年3月には、MXGP(世界モトクロス選手権)をプロモートするインフロント モト レーシングが、独立した電動車のクラスであるMXEP(エレクトリック サポート クラス)を2025年から実施する構想を表明し、ICE搭載車と電動車を「隔離」する案に電動車メーカーのスターク フューチャーが不満を述べたりと、FIM統括の各競技における電動車の扱いがこの先どうなるか不安になる件もいろいろありました。しかし、今回のFIMスーパーエンデューロ世界選手権の決定は、とりあえず「隔離」は来シーズンは採用しないことが明らかになったわけです。

当然? 熱心なICEの信奉者たちは、電動車の参加を認めたオーガナイザーに不平をSNSに書き込んだりしています。排気量という明確な区分があるICEに対し、スターク フューチャーのバーグを例にすると、最大80馬力まで自由に出力を電気的にコントロールできる電動車は、混ぜた場合公平な競争ができるのか? と懸念するのも無理はありません(スーパーエンデューロの場合、出力よりもライダーの腕前の方が勝敗を大きく左右するファクターではありますが・・・)。

FIMスーパーエンデューロ世界選手権のFacebookページの主催者側とファンのやり取りのなかで、主催者は当初ICE搭載車と電動車を分離する案もあったことを認めています。そしてそうしなかったこと・・・混走にしたことにあたり、ICE車との性能バランスを確保する目的で、オン ザ フライ(無線技術)で出力変更が行われないことを保証するための、データ ロギング システムの導入を電動車メーカー側に求めていることを明かしています。

余談ですが、上述のFacebookページのやり取りなかで、主催者側は不満を述べるファンのひとりに対し、「貴方がそれを気に入らないのはわかった。私たちは両タイプのバイクが同じ土俵で戦えるようあらゆる努力をしてきた。しかし、貴方にとって満足のいくケースにならなかったとしても、私たちはかまわない」と毅然とキッパリ述べているのが面白かったです。

インドア競技参加が認可されてる英国では、電動車がすでに活躍してます

スターク フューチャーが同社のバーグをモトクロスだけでなく、エンデューロ向けにも開発していることは先日の記事でお伝えしたとおりです。

スターク フューチャーは現在、2009/2010年から2014/2015年シーズンまでスーパーエンデューロ6連覇を果たしたタディ ブラズシアクや、エディ カールソンといった名手を擁し、積極的に各国のエクストリームエンデューロに参戦しています。

10月5日、英ニューカッスルで開催された「インドア エンデューロ オブ チャンピオンズ」は、ジョニー ウォーカーがトライアンフファクトリーのTF250に初ライドし、3ラウンドすべてで勝利したことが話題となった大会でしたが、スターク フューチャー勢のブラズシアクはいずれのラウンドもウォーカーに次ぐ2位に入賞し、彼と電動車のポテンシャルの高さを誇示しています。

画像: 英「インドア エンデューロ オブ チャンピオンズ」で、スターク フューチャーの電動車を駆るタディ ブラズシアク。なおチームメイトのエディ カールソンは、ラウンド1でチェーン脱落という見舞われるというトラブルもあって、8位、5位、3位の総合5位にとどまりました。 starkfuture.com

英「インドア エンデューロ オブ チャンピオンズ」で、スターク フューチャーの電動車を駆るタディ ブラズシアク。なおチームメイトのエディ カールソンは、ラウンド1でチェーン脱落という見舞われるというトラブルもあって、8位、5位、3位の総合5位にとどまりました。

starkfuture.com

近年スーパーエンデューロでは、2019/2020年シーズンから4連覇を果たしているビリー ボルトが王者として君臨しています(2020/2021年シーズンはCovid-19禍によりキャンセル)。かつてこのカテゴリーでキングだったブラズシアクと、昨年度ランク8位のカールソンの2人は当然? 来シーズンのスーパーエンデューロにスターク フューチャーから出場すると思いますが、ICE搭載車に乗る強力なライバルたちを相手にどのような戦いを魅せてくれるのか? 楽しみですね!

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