さまざまな企業が、チームスズキCNチャレンジの取り組みに協力
GSX-R1000Rをベースとする「チームスズキCNチャレンジ」の車両は、エティエンヌ マッソン、濱原 颯道の2名に託され鈴鹿8耐を戦い抜きました(登録ライダーの生形 秀之の決勝走行はなし)。強力なライバル勢相手に、総合8位という結果をおさめたのは大健闘といえるでしょう。
同チームのGSX-R1000は、「エルフMoto R40 FIM」という40%バイオ由来原料を使用していることが話題となりましたが、そのほかにも多くのCNを意識したパーツや消耗品が使われていました。ヨシムラジャパン製の触媒内蔵サイレンサー、ブリヂストンの再生資源・再生可能資源比率を向上したタイヤ、モチュールのバイオ由来ベースオイル、トラス スイスのBcomp(天然亜麻繊維を使用した革新複合材料)の前後フェンダー、サンスター技研の熱処理廃止鉄製ディスクとローダストパッドからなる前ブレーキシステム、そしてエリーパワーの車載LFPバッテリーおよびピット電源供給用蓄電池も、環境負荷の低い新開発部品や消耗品として、実戦の舞台に投入されていました。
CO2排出量を新品比1/10にした再生CFRP(炭素繊維複合材料)
ハイレベルなロードレースの現場ではおなじみのCFRP製フェアリングおよびカバー類についても、JHIの再生カーボン材(プリプレグ材)が使われていました。ちなみにプリプレグとは樹脂があらかじめ予備含侵された炭素繊維シートのことを指しており、JHIは東京R&Dコンポジット工業よりCFRP事業を2022年に継承した会社です。
JHIの再生CFRPは、航空機製造メーカーから調達した賞費期限切れ3k平織りクロスプリプレグの乾留品を、再度プリプレグ化することでバージン材と同様の取り扱いを実現することを目指し開発中の製品です。熱風により樹脂を解離させ、低ダメージで連続カーボン繊維を抽出する製法が採用されています。
これらの地球に優しい新開発部品や消耗品が普及して、私たちが普段接しているバイクにも普通に使われるようになるのはちょっと先のことになるでしょうが、環境が悪くなることを望む人は誰もいないでしょうから、その日が早く来ることを期待したいですね。