50ccスクーターユーザー層の、"EVシフト"を見込んだ製品!!
周知のとおり、近年日本国内では原付一種=ICE(内燃機関)50cc車市場が"バイクブーム期"・・・1980〜1990年代のレベルに比べると圧倒的に縮小してしまっています。なお欧州でも、50ccクラスの規制変更や125ccクラススクーター人気により、50ccクラスは日本同様に停滞気味なのが実情です。
しかし欧州では近年電動スクーターの普及とともに、いわゆるモペッド免許で乗れるモデルへの注目が高まっているそうです。つまりNEO'Sは、これから50ccスクーターに代わるものとしての需要増が見込まれる、欧州向け電動スクーターの第一弾と言えるモデルです。
駆動方式は、ヤマハ電動モデル伝統の「YIPU」の進化版!!
1997年から欧州ヤマハで販売されてきたICE50ccスクーターの名を受け継ぐ電動のNEO'Sは、専用開発した空冷ブラシレスモーターを搭載しています。駆動方式は伝達ロスの少ないダイレクト駆動のインホイールモーターで、ヤマハ独自技術の「YIPU」を熟成させた「YIPUⅡ」になっています。
「YIPUⅡ」はバッテリーや走行状況などを反映し出力を制御するMCU(モーターコントロールユニット)、モーター、ハブ、リアブレーキをリアアームと一体化したユニットで、タイヤ交換などの整備性に優れるのが特徴です。
NEO'Sのフレームは、専用開発されたバックボーン型を採用。フロントホイールは10本スポークの新作アルミダイキャスト製、リアホイールは低圧ダイキャスト製専用リムを装着。またリアタイヤには新開発低ロスタイプを採用することで、省電力化に貢献しています。
気になるバッテリーの仕様・・・そして、欧州での販売価格ですが・・・?
NEO'Sに搭載されるバッテリーは50.4Vリチウムイオンを採用しており、付属する専用充電器を使って欧州の家庭用電源(AC220V、2極プラグ)で充電できます(フル充電まで約8時間)。なおバッテリーは車載した状態でのプラグインでも、車体から取り外した状態でも充電可能です。つまりガレージに電源がある人はプラグインで、ない人はバッテリーを自宅室内に持ち込んで充電・・・と、住環境に合わせた充電方法が選べるようになっています。
航続距離はフル充電で約37kmと短めですが、別売りのセカンドバッテリーを併用することで約68kmまで伸ばすことが可能になります。なお使用バッテリーの切り替えは、走行中に自動的に行われる仕組みになっています。
3月3日の「Yamaha Motor Switches ON」の発表では明らかにされていなかったバッテリーは、ヤマハが台湾で協業しているGogoroの1.7kWhバッテリーとも、ホンダの50.26V・26.1Ah/1,314Whのモバイルパワーパックイーとも、全く異なる「BFM-00」という型式のものでした。
昨年9月、ヤマハがホンダ、KTM、ピアッジオと協業契約を締結した"SBMC"=スワッパブル バッテリーズ モーターサイクル コンソーシアムにより、生まれることになる交換式バッテリーが、NEO'Sに搭載されていたら・・・と期待していましたが、「BFM-00」の形状や装着方法、そしてスペックから判断するとヤマハE-Vinoに搭載されているタイプに似た、ヤマハ独自規格製品のようです。
E-Vino用の「ESB4」は50V・10Ah(10H)ですが、NEO'S用の「BFM-00」は50.4V・19.2Ah(5H)というスペックになっています。Gogoro交換式バッテリーやホンダモバイルパワーパックイーに比べるとちょっと容量が少ないな・・・と思ってしまいますが、ICE51〜125cc相当の電動スクーターでなく、50cc相当の電動スクーターであるNEO'Sでは、これくらいが価格やサイズ的にちょうど使い勝手が良い・・・ということなのでしょう。
バッテリーの仕様とともに気になっていた・・・欧州でのメーカー希望小売価格は2,999ユーロ≒38万4,640円でした! 4ストローク50ccの現行型Neo'sの価格が2,674ユーロ〜という設定ですから、これは非常に"戦略的"な価格設定と言えるでしょう!
欧州での販売計画は年1万台・・・とのことですが、2022年にどれだけのNEO'Sが売れることになるのか・・・注目したいですね!
ヤマハ NEO'S 主要諸元