ベース車はゼロ モーターサイクルズのSR/Fです!
E-レーサー モーターサイクルは2019年のEICMAに、ゼロ モーターサイクルズのSR/FとFXSベースのカスタムを出展し、当時話題となりました。当時は2020年春から生産・販売すると予告されていましたが、Covid-19パンデミックの影響を受けたためか、その話はいつの間にか立ち消えになったのかな・・・と思われました。
しかし2022年1月12日に、E-レーサー モーターサイクルはSR/Fベースのエッジを発展させた仕様である「ビースティアル-e」を発表。あわせて、イタリアのトスカーナにあるゼロ モーターサイクルズのディーラー、E-モーション イタリーと提携して、新たに世界的な流通プログラムを行うことも明らかにしました。
ビースティアル-eは、フロントヘッドライト、タンク、バックテールの3つのセクションをカスタムしたことで、元のSR/Fからより精悍なルックスを得ています。タンクとバックテールはカーボンファイバーを使用することで、軽量化をはたしています。
オーディオで安全性を電動バイクに与える試み!?
2019年のエッジにも採用されていた、ユニークなオーディオ機能はビースティアル-eにも継承されています。BOSEのサウンドシステムを搭載する「オーディオフォースバックシステム - E-RAF」は、2つの機能を有しています。ひとつは、ICE車よりはるかに静かな電動バイクの存在を周囲の交通に知らせるためにサウンドを発する機能。もうひとつは、速度に応じて変化する音を発することで、ライダーにスピードを意識させる機能です。
電動の2輪車のあまりの静かさは、新たな安全性の問題を生み出すことになる・・・というのは、多くのメーカーの研究対象になっていますが、E-レーサーの試みはそのひとつの解答例といえるでしょう。
ビースティアル-eは基本的にボルトオン構成で作られているため、ストックのSR/Fにそのまま各パーツが取り付けることが可能です。
なお、最新のリリースには記されていませんが、2019年のエッジ公開時にはE-レーサーは1960年創立のイタルジェットと提携していることを公表していました。多くの日本人にとってイタルジェットは、スクーターの意欲作である「ドラッグスター」を生み出したブランドとして知られています。
旧ビューエルや旧ヴィクトリーの関係者が在籍するというゼロの電動バイクは、ビューエルやヴィクトリーなどの過去作に通じる「アメリカ」的なデザインがスタイリングの特徴です。それはそれで、無骨かつ質実剛健さがあふれていて好ましく思える人も多いでしょうが、「美的」かとたずねらると・・・どちらかというとそのセンスとは無縁かな? という感じです(ファンの方、ごめんなさい!!)。
その点、イタリアのE-レーサーが手がけたビースティアル-eは、外装パーツの変更によってドゥカティモンスターなどに代表される「イタリアン・ネイキッド」の文法を、見事にその意匠に落とし込んでいるように思えます。日本にも輸入されたときにはぜひ現物をこの目で見て、その品質や仕上がりぶりを確認してみたいですね!