"ブルーディーゼル"に次いで、"ブルーガソリン"がデビュー!
すでに2018年末よりドイツのボッシュは、石油メーカーのシェルとともに開発した「R33ブルーディーゼル」という、最大33%の再生可能物質を含むディーゼル燃料をリリースしています。
ディーゼルエンジンを搭載するボッシュの社用車や車内配送車には、ボッシュの各拠点にある給油所から補給される燃料は現在100%がR33ブルーディーゼルになっているとのことです。またR33ブルーディーゼルは、ドイツ国内の8ブランドの給油所でも提供されるようになっており、その数は今後も増えていく予定です。
この度、新たにボッシュ、シェル、フォルクスワーゲンの3社が開発した「ブルーガソリン」はR33ブルーディーゼルに続いて生み出された燃料です。最大33%の再生可能物質を含む・・・というのはブルーディーゼル同様で、その33%というのはISCC(インターナショナル・サスティナビリティ・アンド・カーボン・サーティフィケーション)システムで認証されたバイオマス由来のナフサ、またはエタノールを使っていることを指しています。
ボッシュは早ければ今年の5月に、シュヴィーバーディンゲンの拠点を皮切りにフォイヤーバッハとヒルデスハイムの拠点にある自社の給油所でブルーガソリンをデビューさせることを計画しています。また2021年中にはフォイヤーバッハとヒルデスハイムの拠点にある、自社の給油所でもブルーガソリンを展開する予定で、それに従って従来販売していた欧州基準ガソリンのSP95-10供給は、縮小されることになります。
なお気になるブルーガソリンの販売価格ですが、シェルV-Powerなどのプレミアム燃料と同程度の価格を目指す・・・とのことです。既存のガソリンよりもeフューエル系ははるかに高価格になってしまう、という世の中のeフューエルを貶す人々の声を封じるような目標価格ですが、ブルーガソリンを普及させるというボッシュの意気込みを感じさせますね。
内燃機関を使った乗り物を、環境に優しくする燃料の将来性に期待したいです!
eフューエルの理念である、100%カーボンニュートラル燃料には程遠い(失礼!)のがブルーディーゼルやブルーガソリンですけれど、従来のガソリンを使用した場合に比べ走行距離1kmあたり20%以上のCO2排出量削減を実現できるとのことです。具体的な計算としては1,000台のVWゴルフVIII 1.5 TSIに使用した場合、1台あたりの年間走行距離を10,000kmと仮定すると、年間230トン以上のCO2を削減できる・・・とボッシュは説明しています。
ボッシュとしては、ブルーディーゼルやブルーガソリンのような低炭素燃料や、将来開発されていくeフューエルのようなカーボンニュートラル燃料は、EVに代表されるエレクトロモビリティに取って代わるカーボンニュートラル化の手段・・・とは考えていないと明言しています。やはりボッシュにしてみても、カーボンニュートラル化の本命の手段は"電動"なんですね。
ただ、EVが普及するまでの期間、カーボンニュートラル化を補完するものとして、ICEV用の燃料として低炭素燃料やカーボンニュートラル燃料は有用であるという信念で、ボッシュはこれらの燃料を開発しているわけです。
NGOのT&E=欧州交通・環境連盟が「eフューエルが経済的または環境的に意味をなさない理由」というレポートを4月末に公表したことを筆頭に、世の中にはeフューエルに懐疑的な声があふれているのも事実ですが(※このあたりも面白い話題なので、稿を改めて紹介したいと思います)、現実問題として今後5〜10年くらいの将来に、電動化が非常に難しい自動車以外の乗り物・・・航空機、大型船舶、そして大型トラックなどが社会に求められる限り、環境に優しい燃料を開発する意義は非常に大きいのではないでしょうか・・・?
ともあれ、2&4輪のICEV愛好家にとっては、環境に悪い・・・というやましさ? を感じることなく使用することができるであろう低炭素燃料やカーボンニュートラル燃焼が普及することは、多くの方が両手をあげて大歓迎するのではないでしょうか? 今後も"電動化"の流れとともに、低炭素燃料やカーボンニュートラル燃料の発展にも注目していきたいです!