ゆっくりで満たされる、けど!
エンジンの存在感と味わいが一級品すぎて、136万円がだんだん『お高くない』と思えてくる恐るべきバイクCB1100EX。
だけどその理由はのんびり時間の価値のため、だけではないんです。
まだあるんですよ、二番底が。
ご存じのかたも多いとは思いますけれど、CB1100には足周りを走りの方向に振った『CB1100RS』という兄弟車が存在します。
RSは前後17インチホイールにスポーティな前後サスペンション、ブレーキシステムが特徴ですね。
ですがまぁ、骨格というか……フレームは当然CB1100EXと共通です。
あまり主張されることはありませんけど、フレームは走りの基盤をつくるもの。
なので、という訳ではありませんが……
のんびりキャラと思わせておいて、EXってワインディングがけっこう(想像する以上に)楽しめてしまうんですよ。
もちろんコーナーでの『しっかり感』とか純粋なスピードみたいな部分ではRSのほうが上です。
だけどEXにはEX独自のオモシロさがあるってこと、ちゃんと伝えておきたい。
CB1100EXは『バイクと一緒に走る』バイク
ワイヤースポークホイールだけど、フロントはきっちり2基掛けのディスクブレーキ。
きちんと止まる。絶対的な制動力もけっこう高いと感じました。
ですけど、穏やかな走りのCB1100EXは前後サスペンションもすこし柔らかめ。
ご覧のとおりリヤサスペンションも十分なストローク量が確保されています。
これで何が言いたいかっていうと、CB1100EXはサスペンションをライダーが積極的に動かして乗るバイクだってことです。
もちろん、コーナーの進入時はブレーキでグイグイ荷重を掛けろ!なんて話じゃないですよ。
CB1100EXに乗っていて、それはむしろ無粋です(笑)
コーナーに進入していく時は、パーシャル状態じゃなく、ちゃんとスロットル全閉。
すこし強めのエンブレだけでも十分に前輪の手応えは作り出せます。
そうするとフロントフォークが沈み切る手前で、まだ動ける余力を残してサスが粘る。
ちゃんとフロントの接地感を感じて、変わらないどっしり感と共にコーナーへ飛び込んでいけるんです。
緊張を強いられないスーパーリラックスな乗車姿勢のおかげで、腕に余裕は作りやすいですし、
フラットなシートは前後左右ともに座る位置の自由度がハンパなく高い。
だから普段は気楽な姿勢でも、ワインディングで走るときのフォームを取ろうと思えば、それもできます。
座る位置を後ろにすれば、ハンドルが手前過ぎると感じることもありません。
ハンドルを腕で抑えないように。
バイクが曲がろうとするのを邪魔しないように、気を付ける。
基本中の基本ですけどリヤタイヤが細いEXだからこそ、さらにそれが活きるんです。
どっしりとした安定感の中でも、スッと車体がバンクして曲がろうとする。
峠の切り返しだって、RS以上に自由度が高いと思う。
RSのほうは、もっと路面にがっつり食らいつくような走りかただったと記憶してます。
EXはもっとコーナーをいなして走るようなイメージ。
連続するコーナーを流れるように抜けていけると、それがものすごく気持ちいいんですよ!
車体とタイヤに負荷を掛けるばかりが、バイクの走らせかたじゃないって改めて教えられますね。