"行き過ぎローカライズ"はあなたのライディングの幅をグーンと狭めます。
WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。ダートトラックレーシングのフォーマットは、"ダートのオーバルを左に回ること" が基本形。標準的なライディング技術は、とあるひとつのトラックで、一定条件のもとで十分に学び体得することができますが、残念ながらレースとは基礎力のテスト会場ではありません。出場する上でそれは全員ができて当たり前の範疇。勝つ気で挑むのなら貯金も引き出しも (たとえですよ) あるに越したことはない。
ライバルたちに如何に手の内を明かさず近づき、賢く上品に思い切りよくズバっと勝負を仕掛けられるかは、基礎のその先の応用力や走らせ方のアイディアの有無と、様々なフィールドでしつこく有意義に実走した経験こそがものを言います。マシンの排気量、トラックレングス (1周の距離) 、硬柔様々な走路の表情などなどによって、トラックごとの攻略法は大きく異なりますが、各地で培った特別な経験は、必ずやあなたにとってレースでの大きなアドバンテージになることでしょう。
雨はあなたの頭上にだけ降っている。
かつて・・・と言ってもまだ10年も前じゃないんですが、我が国のダートトラック競技人口が一気に半分以下に減ってしまった、残念な出来事がありました。当時日本で唯一のコンペティティブな年間シリーズ戦が開催されていた、万全の夜間照明と管制設備、200mと400mという2つのトラックを有する国内屈指のレーストラックが、運営側の経営上の方針転換で閉鎖となったあの一件です。
それまで親しんできた競技の場がこの国からなくなってしまうという大ピンチに、反対する気持ちを持たなかった参加者・関係者は皆無でしたし、当時は請願署名を集めたり各方面に協力を仰いだりと我々もやるだけやったことなので、今更コトを蒸し返す気なんか全然ないのですが、あの美しいレーストラックの終焉とともにほぼ半数 (いやそれ以上) の競技者がキッパリスッパリと鉄スリッパを脱ぎ捨てて、このスポーツの現場を去って行った "事実" は、今も心の片隅に引っかかっています。
なぜなのか・・・端的に言えば、"一極集中していた牙城" が崩れてしまったからだと思うんですね。当時ここ以外に、いわばガチのダートトラッカーが目指したい戦場はこの国にはありませんでした。あったとしても遠方からの参加者は翌年から目的地を変えるだけでしたが、逆にこれまで寝グセのまま軽トラにサンダルで通ったりできていた近県近傍のライダーにとっては、遠征してまで毎週練習とかレースとか、おそらくは絶望するほど非現実的だったのかなとも考えてしまいます。
このビッグトラック閉鎖という一件以外にも、各地のトラックが一時的に・あるいは未来永劫走れなくなることって、これまでも実はまぁ度々あったんです。理由はそれこそ様々ですが、多くの場合は騒音問題とか使用権とか安全面で、あるいは先日の台風による増水被害なんてのもありえます。
そんな時、次なるフィールド・ターゲットを自ら見出すバイタリティ、というか単純にフットワーク?機動力ですかね、皆さんないよりあったほうが絶対良いと思いますよ。この世に止まない雨はありません。と言いますか、そもそも他では全く降ってないのかもしれませんから。
何時何処でも鋭い走りを追求すべし。
前回自身が走った時の印象 (データと感想は当然ノートに記録済み?) や他人のマシンのセットアップなど、今日あなたが乗って探っていく方向性を手助けする情報は数多く存在するはずですが、もっとも重視するべきは、乗車当日その場で得た感触とリアルタイムの環境変化 (路面やライバルたちの動向) です。
昨日までの自分や目の前のライバルに勝つためには、当然ながら自身の過去の経験の上に立ち、しかしかえってその情報に振り回されることもなく、瞬間的・直感的に数々の判断と正確な操作・運動をレース終了まで持続する集中力が要求されます。
同じトラックを走るからといって前回と同じセットアップを一切疑わずに進めるのも大きな間違いでしょう。常に変化する状況に (他者より素早く) 正しく対応して勝利するためには、決して一本調子でない、豊かな経験こそが非常に重要なのです。乗る時間で稼げないのなら、幅広い挑戦こそ必須。
筆者主宰のレースシリーズFEVHOTSは天候不順に祟られまくった1年でしたが、来シーズンのさらなる飛躍を目指して鋭意計画を練っているところ。もちろん参加者にも同じく期待、しています。
ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!