本日は大晦日・・・今年も2輪業界はいろいろな出来事がありましたね! この記事では皆様とご一緒に、2017年のモーターサイクルにまつわる注目ニュースの数々を、順不同ということで振り返ってみたいと思います!

1: 9月1日から「平成28年規制」が完全施行!

欧州の環境規制「ユーロ4」と足並みを揃えるように、日本国内でも新たな環境規制として「平成28年規制」が秋に完全施行されました。新規制は昨年10月にスタートしてましたが、9月からは継続生車種にも新規制が適用されるなどことになったわけです。その規制値のキビシサからそのままでは規制対応できず生産中止となったモデルが多く、国内向けラインアップがかなり整理されたことは記憶に新しいでしょう。

画像: 1978年からの歴史をもつロングセラー、ヤマハSR400も「新規制」によって一旦生産終了・・・となりました。その名を受け継ぐ後継モデルの登場はいつになるのか・・・注目です! www.yamaha-motor.co.jp

1978年からの歴史をもつロングセラー、ヤマハSR400も「新規制」によって一旦生産終了・・・となりました。その名を受け継ぐ後継モデルの登場はいつになるのか・・・注目です!

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多くのモデルが生産停止となった一方、新規制に対応するニューモデルが続々各メーカーから発表されています。願わくば、旧規制時代より新規制時代のほうが、魅力的なラインアップになったと後々語られるようになっていって欲しいですね・・・。

2: ニッキー・ヘイデン、天国へ旅立つ・・・

2006年にアメリカ人7人目のGP最高峰王者となったニッキー・ヘイデンが、5月17日にイタリア・リミニ近郊で自転車トレーニング中に交通事故に遭い、12日に逝去したというニュースは、モータースポーツ界だけでなく世界の2輪ファンを悲しませることになりました。

画像: 2016年、雨のSBKマレーシアラウンドで、戦闘力の劣るホンダCBR1000RRで勝利したニッキー。この勝利が、彼の世界選手権レベルでの最後の勝利となりました・・・。 www.motoamerica.com

2016年、雨のSBKマレーシアラウンドで、戦闘力の劣るホンダCBR1000RRで勝利したニッキー。この勝利が、彼の世界選手権レベルでの最後の勝利となりました・・・。

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誠実で飾らない性格から多くの人に愛されたニッキー・・・天国で安らかにお休みください・・・。

3: ホンダとヤマハが提携し、電動バイク普及の実証実験を開始

昨年10月、ホンダとヤマハが原付一種領域における協業の検討を開始・・・というニュースは、2輪業界を大きく驚かせました。

かつて1980年代初頭、激しい国内シェア争い・・・「HY戦争」を繰り広げたライバル同士だったホンダとヤマハは今は昔・・・? なんとホンダからヤマハへの、50ccスクーターのOEM供給を計画するというその発表内容は、世界戦略商品からは外れた「ガラパゴス」な存在となった国内向け50ccモデルという存在を維持することが、今いかにメーカーを苦しめているかを明らかにしたともいえるでしょう。

今年9月からさいたま市で行われている実証実験は、先の発表の流れをくむものです。

 ホンダとヤマハ発動機は21日、さいたま市と電動二輪車(EVバイク)の普及へ向けた実証実験を始めると発表した。ヤマハ発が市販しているEVバイクを市民に貸し出して、さいたま新都心駅で電池の交換サービスを提供。両社は利用状況を調査する。将来のシェアサービスなども念頭に置く。
 実証実験は9月から始める。さいたま市民の希望者30人に原付き1種クラスのEVバイク「E―Vino」を貸与。駅では充電器や交換式の電池を設置する。さいたま市が実施している電気自動車の普及策「E―KIZUNA」プロジェクトに両社で参加する。
 EVバイクは航続距離や充電インフラの不足などの課題もあって、日本での普及は遅れている。ヤマハ発の渡部克明取締役は「EVバイクは(公共交通機関と自宅を結ぶ)ラスト1マイルの移動に適している。実験で改善点を洗い出す」と話した。

画像: さいたま市での実証実験に使用されるのは、ヤマハの「E-Vino」。満充電での航続距離は約29kmで、別売りのスペアバッテリー使用で58kmまで距離は伸びます。 www.yamaha-motor.co.jp

さいたま市での実証実験に使用されるのは、ヤマハの「E-Vino」。満充電での航続距離は約29kmで、別売りのスペアバッテリー使用で58kmまで距離は伸びます。

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電動アシスト自転車の伸張により販売減が続く原付一種のスクーターですが、各メーカーへのコスト的負担は結局販売価格の高騰というカタチでユーザー側の負担にもなります・・・。日本も世界市場に合わせて125ccをスクーターのベーシックな排気量にすることを、みんなが真剣に議論するころになったのかもしれませんね。もっとも、このまま「ガラパゴス」を続けているうちに、内燃機→EVスクーターへのパラダイムシフトになっちゃうような気もしますけど・・・。

4: 40回目の鈴鹿8耐は、ヤマハファクトリーが3連覇を達成!

1978年からスタートした鈴鹿8耐は、今年記念すべき40回大会を迎えました。ロレンスでも"コカ・コーラ" 鈴鹿8時間耐久ロードレース第40回記念大会特設サイトを開設し、この日本を代表するロードレースイベントの魅力をとことんお伝えしました!

この大会の注目は、2015、2016年の大会を制したゼッケン21のヤマハファクトリーに対し、ホンダ、カワサキ、スズキの各有力チームはリベンジできるのか? でしたが、中須賀克行、アレックス・ローズ、そしてマイケル・ファン・デル・マークの3名で構成した今年のヤマハファクトリーが、またまた圧勝ぶりで3連覇を達成しました!

画像: 3連覇の喜びをスタッフ全員で分かち合う・・・ヤマハファクトリーのみなさま、おめでとうございます! race.yamaha-motor.co.jp

3連覇の喜びをスタッフ全員で分かち合う・・・ヤマハファクトリーのみなさま、おめでとうございます!

race.yamaha-motor.co.jp

先日、2018年の鈴鹿8耐ではホンダが「HRC」の名でファクトリー参戦することを発表しました。これ以上鈴鹿8耐でのヤマハファクトリーの連勝をのばさせるわけにはいかない・・・と、ホンダも決意したのでしょう。カワサキおよびスズキ系チームも奮起するでしょうから、来年の鈴鹿8耐も見逃せませんね!

5: カフェレーサー&ネオレトロ路線は、来年もアツい!・・・かな?

近年のトレンドとして、世界各国のカスタムビルダーの作るカフェレーサーやチョッパーの作風を取り入れた、メーカーメイド・カスタム的なモデルが数多くリリースされるようになりました。

今年はカワサキからZ900RSが登場し、大いに注目を集めることになりました! そのほか、ヤマハからはXSR700、トライアンフからはボンネビル ボバーなども、メーカーメイド・カスタム的な2017年のニューモデルとして話題になりましたね。

ただ個人的な予想ですが、カフェレーサー&ネオレトロの流行は、今年で「ピークアウト」になるような気がしています。もちろん、急速に流行がしぼむことはないでしょうけど、これだけメジャーメーカーがこぞって「カスタム業界の文法」や「ブランド力に頼るネオレトロ」をカタログモデルに採用するようになると、これはそろそろ終わりの始まり・・・かなぁ、と思いました。

そもそも在野の、目新しいことをしたい人たちが起こしたのが、昨今のカフェレーサー流行の興りでした。それが目新しいモノではなく、ありふれたモノになっていくとすると、次第に魅力を失っていくのがブームという現象の自然な流れですからね・・・。その点では流行という側面が強いカフェレーサーよりも、商品力アップに"伝統"を活かすネオレトロの方が、もうちょっとトレンドとして長続きするような気もします。

次に何が来るか! にも注目しつつ、現在のカフェレーサー&ネオレトロブームの行く末がどうなっていくか・・・来年もロレンスはお伝えしていきたいです!

6: ホンダが誇るスーパーカブ、ついにシリーズ累計1億台突破!!

1958年デビュー後、日本国内で、そして世界の市場で多くの人に愛されたのが、ホンダの初代スーパーカブC100系でした。1960年代の世界ロードレースGPでの栄光、4輪F1への挑戦、鈴鹿サーキットや鈴鹿製作所の完成、そして4輪生産事業へのステップアップ・・・これらの偉業はすべて、スーパーカブの商業的大成功がその背景にありました・・・。

その後スーパーカブ系は時代ごとに改良が加えられ、排気量や用途のバリエーションも増加していくことになりますが、ついに今年シリーズ累計生産台数が1億台を突破することに! これほど多く売れた製品というのは、2&4の自動車史だけにとどまらない大記録です。

画像: 2017年型スーパーカブ50。 www.honda.co.jp

2017年型スーパーカブ50。

www.honda.co.jp

来年2018年は、記念すべきスーパーカブ60周年となります。この不朽の名シリーズが今後どのような発展をしていくのか・・・注目しましょう!

7: ライダーエイド技術は、どこまで進化していく?

今ではスーパースポーツモデルなどに、ABSやトラクションコントロールなどの「ライダーエイド」技術が採用されることが当たり前になっています。そんな状況のなか、今年ホンダは世界最大の家電見本市CES2017でバランス制御技術を2輪車に応用した実験車、「Honda Riding Assist」を発表して世界を驚かせました。なんとこのマシン、ライダーが乗っていなくても「コケない」のです!

画像: Honda Riding Assist youtu.be

Honda Riding Assist

youtu.be

ASIMOに代表されるヒューマノイドロボット研究で培ったHonda独自のバランス制御技術を二輪車に応用した、世界初公開の実験車です。ライダーが乗っていても、乗っていなくても自立することができ、ライダーが少しバランスを崩しても、バイク自体がバランスを保つことで、低速走行時や停止時のふらつき、取り回しの際の転倒リスクを軽減します。一方で、通常の走行時には、既存の二輪車と同等の操縦性を実現しています。ツーリングやバイクのある日常をより楽しいものにする提案です。

またヤマハも、今年の東京モーターショーで、更に進化したモトボットVer.2を公表。こちらは車両側ではなく、ロボットを使って自律走行をさせるというプロジェクトですが、モトボット開発を経て得た自律走行やライディング技術解析に関するテクノロジーは今後ヤマハの製品にもフィードバックされることになるのでしょうね・・・。

画像: MOTOBOT Episode 3: Racing the Clock 挑戦 youtu.be

MOTOBOT Episode 3: Racing the Clock 挑戦

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ロレンス調べ? では、保守的なライダーほどライダーエイドの類を親の仇のように? 嫌う傾向があるみたいです。でも、これらの技術によって2輪車の事故で障害をおって2輪車に乗れなくなった人がライダーとして復帰し、2輪車に乗る喜びを再び噛みしめる・・・みたいな話も夢物語ではなくなったワケです。そういう未来を考えると、ライダーエイドの発展ってとても良いことではないかと思ったりします。

また事実として、グランプリライダーのようなライディングの達人でも、突然のロードアクシデントには対処できずに事故に遭ったりするものです。ライダーエイドの技術が、2輪のネガティブイメージの最たるもの・・・「危険」という要素を今後も減らしてくれることに期待したいです! もちろん、一番大事なのは乗り手の「安全マインド」であることは未来永劫変わらないですけどね・・・。

8: ジョナサン・レイ、SBK初の3連覇を成し遂げる!

1988年からスタートしたSBK(世界スーパーバイク選手権)ですが、その歴史のなかで2連覇を達成したライダーは、フレッド・マーケル(1988、1989年)、ダグ・ポーレン(1991、1992年)、そしてカール・フォガティ(1994、1995年および1998、1999年)と、過去に3名しかいませんでした。

2015年にカワサキに移籍したジョナサン・レイは、同年、そして昨年とSBK王者となり、今年は初の3連覇にのぞむことになりました。そして蓋を開けてみたら・・・2位に150ポイント以上の差をつける圧倒ぶりでゆうゆう3連覇を達成! 

今年からSBKは混戦を「演出」することを試み、レース1の結果を受けて1〜9位をリバースグリッドとし、レース2のスタートを実施するルールを策定しましたが、レース序盤に下位から楽々と前に出るレイの安定感だけが皮肉?にも強調される結果に・・・。本当にレイは強すぎぃ! としか言いようがありませんでした。

画像: 最終戦カタールでは、今季6度目のダブルウィンを達成。年間最多ポイントも更新するという、圧倒的な強さでジョナサン・レイは3連覇を達成しています。 www.kawasaki-cp.khi.co.jp

最終戦カタールでは、今季6度目のダブルウィンを達成。年間最多ポイントも更新するという、圧倒的な強さでジョナサン・レイは3連覇を達成しています。

www.kawasaki-cp.khi.co.jp

レイは英国BBCのこの年最も活躍したスポーツ選手を表彰する「BBC Sports Personality of the Year Award」でも2位を獲得! モータースポーツの選手が、ちゃんとアスリートとして評価されることの少ない日本と違って、あちらは公正な視点で選ばれるのが嬉しいですね。

来期はライバルたちがレイの4連覇を阻止できるのか・・・注目しましょう!

9: ドゥカティ、主戦マシンをV4へスイッチ!

長年V2・デスモドロミック機構のスーパースポーツで、SBKなどで活躍してきたドゥカティですが、今年頭に報じられたV2→V4への主戦マシン変更のニュースは、世界を驚かせました!

そして7月のSBKのU.S.ラウンドでは、現行の主戦マシンのパニガーレRのファイナルエディションを発表。同時に11月のEICMAで新型V4を発表することを、同社CEOのクラウディオ・ドメニカリが公表。その宣言どおり、パニガーレV4が秋に登場したことは記憶に新しいですね!

そもそもドゥカティ伝統のV2は、1960年代に失敗に終わったアポロ計画用空冷V4の反省を活かし、天才エンジニアのファビオ・タリオーニが90度V4の「半分」のV2を作ったことからスタートしています。

そして今度はV2からV4へ・・・既報のとおり伝統のV2がすぐに廃盤になるわけではないですが、2018年モデルとしてパニガーレV4が登場し、2019年からはSBK用ホモロゲーションモデル版V4が登場・・・というスケジュールになっています。V4によってどのような歴史が記されていくことになるのか・・・ドゥカティファンならずとも気になりますね!

10: マルケス4度目のMotoGPタイトル獲得! そしてドヴィの健闘が光りました!

今年のMotoGPは、シーズン前のテストからヤマハ新加入のマーベリック・ビニャーレスが大活躍。今年の台風の目になるか・・・と多くの人が予想しました。

しかし、ミシュランタイヤとのマッチングやら諸々の問題でヤマハファクトリーは低迷。大本命の前年度王者、マルク・マルケス(ホンダ)のライバルとなったのは、あまりタイトル争いのメンツとしては注目されることの少なかったドゥカティのアンドレア・ドヴィツィオーゾでした。

画像: マレーシアGPのワンシーン。今季新加入の元MotoGP王者、ホルヘ・ロレンソの前を走るアンドレア・ドヴィツィオーゾのデスモセディチGP17。 andreadovizioso.com

マレーシアGPのワンシーン。今季新加入の元MotoGP王者、ホルヘ・ロレンソの前を走るアンドレア・ドヴィツィオーゾのデスモセディチGP17。

andreadovizioso.com

ドヴィツィオーゾは最終戦までマルケスとのタイトル争いを継続させましたが、最後はリタイアに終わり万事休す・・・でした。しかし王者と同数の年間6勝という奮闘ぶりは、素晴らしいのひと言でしょう!

そのほか、旧型マシンでヤマハファクトリーを喰う走りを見せたりしたヨハン・ザルコやヨナス・フォルガーの活躍など、いろいろ見所のあった今年でした。今年低迷したヤマハとスズキ、そして徐々にではありますが力をつけているKTMやアプリリアの、来年の逆襲を期待したいです・・・。

みなさん良いお年を! 来年もロレンスをよろしくお願いいたします!

私(宮﨑)が選んだ10大ニュースでしたが、ほかにもいろんなモノ・コトがありましたね・・・。250ccのアドベンチャーおよびスポーツモデルの充実ぶりとか、ピックアップするにふさわしい話題がいろいろあるとは思いますが・・・そこは"独断と偏見"ということでご了承ください(苦笑)。

みなさんは2017年、そんなモノ・コトが印象に残りましたでしょうか・・・? 2018年もロレンスでは、いろいろと皆さんにお楽しみいただけそうな話題をピックアップしていきます! なにとぞ、よろしくお願いいたします。それではみなさん、良いお年を〜!!!!!

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