MVアグスタ、そしてフェラーリで栄光を掴む
英国の一流メディアBBCの報道によると、サーティーズは呼吸器疾患で入院していたロンドンの病院で、10日(金)の午後にお亡くなりになったそうです。
世界ロードレースGPと4輪グランプリの長い歴史のなかで、2輪出身者が4輪に転向した例は枚挙にいとまがないですが、最高峰の世界ロードレースGP500ccクラス(元MotoGP)とF1の両ジャンルでタイトルを獲得したのは、この英国の英雄が唯一の例です。

1951年、当時アプレンティスとして働いていたビンセントの市販レーサー「グレイフラッシュ」に跨る、若き日のビッグ・ジョン。
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マンクス・ノートン、NSUスポーツマックスに乗るプライベーターとして頭角を現したサーティーズは、イタリアのMVアグスタのファクトリーライダーに抜擢されます。そして、世界ロードレースGPの500ccクラスで、1956、1958、1959、そして1960年と4度タイトルを獲得。また350ccクラスでも、1958、1959、1960年に王者となりました。
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1960年から4輪に転向したサーティーズは、ロータス、クーパー、ローラ、フェラーリ、ホンダ、BRM、マクラーレン、そして自身のチームのマシンでF1のキャリアを積み重ねました。タイトル獲得は1964年のフェラーリ時代ですが、日本ではホンダにF1の2勝目(1967年イタリアGP、RA300)をプレゼントした人物として広く知られています。写真は1968年モナコGPでホンダRA301をドライブする勇姿です。
www.f1fanatic.co.uk偉大なるライダー&ドライバー
引退後のサーティーズは、趣味のヒストリック・ロードレースに参戦したり、世界中のヒストリックイベントに目玉ゲストとして招待され、デモ走行を披露したりすることを楽しんでました。1990年代には来日し、当時盛んだった「タイムトンネル」という2輪旧車イベントで、ホンダコレクションホール所蔵のRC181(1967年型の世界ロードレースGP500ccクラス用マシン、M.ヘイルウッド車)などに乗り日本のファンを喜ばせてくれました。
その際、サーティーズと親交が深かったエンスージャストのN氏のおかげで、当時編集部員として在籍していた雑誌記事のインタビューを行うことができたのは貴重な体験でした。また海外イベントでお会いしたときも、気さくにチャッティングに応じてくださる優しい人柄に感動したものです・・・。
こちらの動画は、英のスターシェフであるポール・ハリウッドがサーティーズの自宅を訪れ、MVアグスタやノートンのファクトリーマシン(Fタイプ)、そしてフェラーリF1などのコレクションを見せてもらう2年前のBBCの番組のひとこまです。2&4輪エンスージャストとしてのサーティーズの素顔が垣間見れる映像ですね。偉大なるチャンピオン・・・どうか安らかにおやすみください。
John Surtees shows his garage to Paul Hollywood.
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