世界ラリー選手権(WRC)グループBを制すため開発されたモンスターマシン「フォード RS200」
ラリーカーとしては珍しい流線型。グループBでは悲運の連続で、活動期間がとても短かったちょっと切ないラリーカーです。

クワトロを意識したラリー・プロトタイプ 「フォード RS200」(1985年)

画像: 丸型ヘッドランプやフロント・スポイラーなどスタイリング担当のギア社は実用性に徹している。

丸型ヘッドランプやフロント・スポイラーなどスタイリング担当のギア社は実用性に徹している。

1979年に世界ラリー選手権からフォードが退いてから6年目、再びラリーの舞台に登場しようとするフォードの切り札がこの4輪駆動のRS200。まだプロトタイプだが、グループBのホモロゲーションを得るために200台の生産が予定されている。フォードがRS200の開発に踏みきった背景には、4輪駆動車の公認とともに出現したアウディ・クワトロの影響とモータースポーツ部門最高責任者の新旧交代があった。実際問題としてクワトロを乗りこなすには熟練を要求されるが、4駆動による走破性は大きな利点であり、コンセプトとしてミッドシップのメリットを持つ4輪駆動ということになったわけだ。

フォードとして既存のFF車がらの転用は避けて、白紙から設計をすることにし、基本設計はジョン・ホイーラーに、シャシはトニー・サウスゲート、ボディ・エンジニアリンクは、ピルビーム・レーシングがそれぞれ担当し、スタイリングはギアが行った。ライバルのグループBカーと異なる点は、コックピットから切り換えできるパートタイム式を採用して、センターデファレンシャルにロックアップ機構を設けたことだ。従ってヒューランド5速ギアボックスを操作するシフトレバーは、後輪駆動、4輪駆動とデフをロックすると50%50%となる。

画像: リア・ウインドーがミッドエンジンのカバーとなり、通風スリットがあけられている。ルーフにインタークーラーをのせたのもユニークだ。

リア・ウインドーがミッドエンジンのカバーとなり、通風スリットがあけられている。ルーフにインタークーラーをのせたのもユニークだ。

またファーガソンがパテントを持つビスコース・カップリング(現:ビスカス・カップリング)をエスコートRSターボと同じようにLSD(リミテッド・スリップ・デファレンシャル)に採用し、操安性への影響を消去しようとしている。

パワー・プラントは縦置き全輪合金DOHC4バルブの1803ccBDTエンジンにエアリサーチT.04ターボチャージャーが組み合わせられ、230PS/6000rpm、28.43kg-m/4500rpmの出力を得る。ラリーチューンは380PSという。現在のところラリー計画の具体案は未定である。しかしホモロゲーションをとるため生産は開始されている。

*社名・車名ともに掲載誌の表記に合わせ、原文のままとしております。

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