ライダーは名手ジャレッド・ミースを起用!
テストライダーとして起用したのは、AMAグランド・ナショナル。チャンピオンシップ (GNC1) で、2012、2014、そして2015年にタイトルを獲得したJ.ミースです。Xゲームスのゴールドメダリストでもある名手ミースの実力を考えれば、マシンさえよければ2017年の本格参戦初年度から優勝争いに加われるでしょう。なお、もうひとりのファクトリーライダーが起用されることになるでしょうが、こちらはまだ未定です・・・こちらも動向が気になりますね。
エンジンは競技専用の完全新設計!
FTR750と名付けられたインディアンのフラットトラッカーのエンジンは、フラットトラック用に新設計されたもの。先日、ハーレーダビッドソンも公道車であるストリート750ベースのフラットトラッカー、XG750Rを発表しましたが、アメリカの超一流メディア、CYCLE WORLDの解説を読む限りでは、レース用エンジンとしてのポテンシャルは、FTR750のほうが高いかもしれませんね・・・。
開発は、ポラリスと組んだスイスオートが担当。その名のとおりスイスを本拠とするこのメーカーは1998〜1999年の世界ロードレースGPを走った、2ストローク500ccマシンの心臓部を生み出した会社です。また世界サイドカーロードレース選手権では、3度タイトルを獲得した実績を誇ります。
軽量・コンパクトをモットーに作られたFTR750エンジンですが、もうひとつの特徴は「リスクの少ない設計」です。エンジン内部のパーツには、チタンなどの高級材料は使っておりません。クランクシャフトはシングルクランクピンのプレーンメタル。メインベアリングもプレーンメタルで、安定した油圧を保つことで信頼性を確保。すでに登場から43年が経過したハーレーダビッドソンXR750は、毎戦新しいクランクシャフトもしくはビッグエンドベアリングの交換をしないと戦闘力をキープできないですが、FTR750は30時間のメンテナンス・インターバルを確保しているそうです。これは将来、プライベーター版が登場したとき、そのローコストぶりが大いに歓迎されるでしょう。
ボア・ストロークは、最高出力発生回転近辺でピストンスピードが十分低くなるように考慮。最高許容回転はそれより+1,000rpm以上確保され、マイルレースなど高速戦でも通用するように設計されています。FTR750でエキセントリックに思えるのは、4速のギアボックスのシフトドラムが、鉄ではなくアルミで出来ているところです。これは過去のスイスオートの2ストローク500ccロードレーサーにも使用されていたそうで、耐久性に問題はないとのこと。確かに、ロードレースほど頻繁なシフト操作が求められないフラットトラックなら、より有効な仕様なのかもしれませんね。
完成車の姿が、早く見たいです!
53度のVツインエンジンは、ちょっと後ろ側に傾いたレイアウト。これは前側への突出をおさえることで、フレームに搭載するときの自由度を高める工夫です。エンジンを車体のどこに積んで、重心やクランクセンターをどこに持っていくかは、コントロール性に優れたフラットトラッカーを作るには非常に重要なことです。
FTR750がどのような姿で完成車として登場し、そしてどのような活躍をフラットトラックレーシングの世界でするのか・・・期待しつつ、その時を待ちましょう!