豪雨の中を駆け抜けたのは、HONDA CB1100Rだった。
東本昌平作品のファンならば、非常に馴染みの深い一台だろう。

そう、この男。
バイク漫画の金字塔の一つ『キリン』(少年画報社)の中で、主人公キリンとともに空冷ポルシェ911との東名高速バトルに参加。その後はNinja GPZ900RやZZ-R1100と乗り継いで、物語の主要人物として数々のエピソードを残す、喫茶店ランブルの マスターあるいはモヒ、と呼ばれるこの男だ。

画像: CB1100Rといったらさ、やっぱモヒことマスターでしょ。©東本昌平先生/少年画報社&モーターマガジン社

CB1100Rといったらさ、やっぱモヒことマスターでしょ。©東本昌平先生/少年画報社&モーターマガジン社

バーンストーム・トゥルップスというバイクチームの主要メンバー(実質リーダーだと思うが記述はない)として、『キリン』の複数のシリーズにまたがって登場する、ある意味 もっとも東本先生に愛された男だと言えるだろう。

RIDE13では、このCB1100Rに加えて、空冷4発のCBたち(CB1100R・1100F・900F・750F・・・)が紹介されているのだが、やはり、この1100Rは別格と言える。

マン島TTなどのレースで勝つために作られたイレブン。それがCB1100R 。1981年に発売開始され、当初1年きりで生産終了されるはずだったのが、人気が続いたため、1983年まで生産された。いわゆるレーサーレプリカの元祖とも言えるこのCB1100Rは、究極の空冷直4CB、と言って差し支えない一台だろう。

キリンシリーズにおいて、もっとも特別扱いを受けた車両は、言うまでもなくカタナなのだが、モヒとともに登場したCB1100Rもまた、鮮烈な印象を読者に与えた。

いまこの名車を手に入れようと思えば、やはり数百万円は覚悟しなければならない。
本書のこの特集では、求めよ、さらば与えられん、と煽るが、我々にその覚悟があるかどうかを、実に官能的に試しているかのようである。

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