アメリカが誇る一流専門誌、CYCLE WORLDに掲載されたエッセイが、非常に面白いです(英語に自信ある方はぜひご一読を)。内容を要約すると、伝統の「デイトナ200」が、選手権シリーズから外れた単独イベントになることについての業界の反応、将来の展望がつづられています。
注目される伝統の一戦の行く末
1937年からフロリダ・デイトナの地で開催されてきたデイトナ200ですが、1961年にそれまでのビーチコースから2マイルのスピードウェイにその舞台を移し、1964年からは現在のレイアウトの原型となった3.8マイルレイアウトを採用しています。舗装路のスピードウェイで繰り広げられる、外周のバンクを使った高速バトルは多くのモータースポーツファンを魅了しましたが、近年のマシンの高性能化による危険性の増加を理由のひとつに、2009年からは「デイトナスポーツバイク」という600ccカテゴリーで競われることになっています。
1990年代までは全米1のプレミアイベントとして、ファクトリーチームも力を入れて参加してきたデイトナ200ですが、次第にそんな華やかさは薄れ、2000年代以降はすっかり北米ローカルイベントっぽくなっていきました。海外メディアがわざわざ取材に出向いていたのは、すっかり今は昔です・・・。
今年からFIM、AMA、そしてDORNAの協力を得て、新たにスタートした選手権シリーズ「モトアメリカ」ですが、このシリーズのカレンダーからデイトナ200は外れています。モトアメリカはモトGPとのコネクションを強化することで、従来の全米選手権の底上げを図っています。かつてロードレースGPの世界で「アメリカン・インベーション」と表現されたような、アメリカ人GPライダー大活躍の時代が、モトアメリカの発展によって再現されるのか・・・どうかは定かでないですが、その成り行きに多くの人が注目しているのは確かです。
CYCLE WORLDのエッセイの著者、P.ジョーンズは、今のデイトナを取り巻く状況は、マン島TTが世界ロードレースGPのカレンダーから外れた時代に似ていると、評しています。このままデイトナ200は、北米ローカルのイベントに埋没するのでしょうか? それとも今日のマン島TTのように、世界に類例のないプレミアイベントとしての地位を守り続けるのでしょうか? その答えは来年3月以降にならないとわかりませんが、独自色を強めることで再びデイトナ200がプレミアイベントとして復活することを期待したいです。
ちなみにデイトナ200マイルのレース内容は、AMAプロレーシングのYouTubeチャンネルで、フル動画!を見ることができます。2時間22分強とめちゃめちゃ長いのでここでは紹介しませんが、興味ある方はぜひ覗いてみてください。やはりバンクでの高速接近戦は見ていて迫力満点です(下の動画は2014年度のダイジェストです)。