ロレンス編集部
【1/100の映画評】富と貧困の境界線に怯むか挑むか。音楽に全てを賭けた若者を切なく描く青春映画の傑作『8 Mile』
舞台は1990年代半ばのデトロイト。富裕層が住む都市部と、貧困層が住む郊外の境界線となる一本の通りは8マイルロードと呼ばれていた。タイトルの「8 Mile」とは、この通りの名前から来ているわけで、郊外に住む貧しい人々からすれば8マイルの向こう側に行くこととは、成功して金持ちになるという無謀な野望を意味する。 アル中の母親と健気な妹とトレーラー暮らしをしている白人青年ジミーの唯一の希望は、得意なラップで認められることだが、白人であるがゆえに、ラップは黒人のものという先入観や偏見に自らも囚われてしまい、実力を発揮することができずにいるー。 人気ラッパー エミネムが主人公ジミーを演じて話題にな...
ロレンス編集部
【1/100の映画評】完璧な美と知性はあってはならない存在かもしれない『エクス・マキナ』
世界の90%以上のシェアを誇る検索エンジン最大手企業ブルー・ブックに勤めるケイレブは、社内の抽選に当選し、CEO ネイサンの別荘に招かれる。彼はネイサンが開発した人工知能(AI)を搭載したロボット エヴァが本当に感情と知性を持っているかどうかをテスト ー『ブレードランナー』にも引用されるが、チューリングテストというー することをリクエストされ、これを受ける。 テスト開始の当日、ケイレブの目の前に現れたロボットは、美しくも魅力的な女性の姿を持ち、その表情や言葉はケイレブを瞬く間に魅了したー。