ロレンス編集部
バイク小説の金字塔『汚れた英雄』を君は知っているか?
『汚れた英雄』(大藪春彦原作・角川文庫)を知らないバイク乗りも、だいぶ増えてきた。
自転車にくくりつけられた荷台に50ccのレーサーを乗せて、浅間レースに出場するところから始まる、若き主人公 北野晶夫の挑戦。 当時はあまりに絵空事のように思われたと思うが、その後実際に日本人のGPチャンピオンや、F1レーサーまで生まれて、真剣に望みさえすれば、そして才能にさえ恵まれていれば、リアル北野晶夫になれるチャンスが、現代の日本にはある。
大藪作品では異質なヒーロー
大藪春彦作品は、ほとんどすべて読んでいる僕だが、この『汚れた英雄』は彼の作品としてはかなり異質だ。世界観や人生の無常に対する虚無感や屈...